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男二人、行き当たりばったりすぎる南東北旅【2日目】

 2月12日、朝。

仙台の地下を歩く(by shiosai)

 寝床が変わると寝られない僕は前夜あまり眠れず、疲れの抜けきらない体をおしてホテルをチェックアウト。友人に「なんかむにゃむにゃ言ってた」と言われながら、男二人旅二日目の始まりです。
 昨日に続き、また地下鉄に乗って本日最初の目的地へ向かいます。仙台の地下鉄には初めて乗りましたが、アナウンスや警笛の音が東京メトロとほぼ同じで非常に親近感が湧きました。そして南北線には意外と人が乗っている。さすがは東北一の都市です。

東西線の電車(by shiosai)
国際センター駅の駅舎は現代的なガラス張り(by shiosai)

 仙台駅でまだ新しさの残る東西線に乗り換え、国際センター駅で下車します。現代的なデザインの駅舎を持ち、地元出身の羽生結弦さんの写真が飾られているここは仙台城跡の最寄り駅。山上に向けて歩きます。

所々に石垣など遺構が残る仙台城跡(by shiosai)
急坂が続く。ようやくゴールが見えてきた(by shiosai)

 仙台市の西部は地形が山がちで、そこに築かれていた仙台城も市街地とはかなりの高低差があります。おかげで駅から登るのも一苦労です。今が寒い2月だからよかったのですが、夏だと相当厳しそうですね。
 時刻はまだ朝9時過ぎ、人はまばらで気温もちょうどよい、街歩きにはぴったりの時間帯です。

仙台といえば伊達政宗(by shiosai)
仙台城跡から仙台駅方向を眺める(by shiosai)

 駅から20分ほど歩いたでしょうか、城の本丸跡に到着しました。騎馬武者姿でどんと立ち、はるか城下を見渡す伊達政宗像が凛々しいです。
 この場所は展望台のようになっていて、澄んだ青空の下、いっぱいに広がる仙台の市街地を眺めることができます。ビルが立ち並ぶ様子はまさに大都市の風景です。日が暮れてからの夜景もきっときれいなことでしょう。
 ここはアイマスを含めアイドルコンテンツにも何かと縁のある場所なので、ある意味聖地巡礼のようです(Wake Up, Girls!に至ってはそもそも仙台が舞台ですし)。

 ばたばたしながらとりあえずカメラと目にはこの光景を焼き付け、駅へと引き返します。偶然にも、この日は国際センター駅までバスが出ていました。実証運行だったためかなんと無料、調査協力も兼ねてお世話になることにしました。
 先程せっせと自分の足で登ってきた青葉山の急坂を、バスはゆっくりと下ります。道がちゃんとしている分、乗り心地は上々です。将来は自動運転も計画しているとのことで、グネグネ曲がった運転の大変そうな道ですが、技術が進歩すれば安心して乗ることができそうです。
 15分ほどで国際センター駅に戻ってきました。移動手段として定着していけばよいですね。

地下鉄で広瀬川を渡る(by shiosai)

 再び地下鉄に乗って、仙台駅に戻ってきました。すでに10時をまわっていますが、このまま昼まで何も食べないのもお腹が空きそうなので、遅めの朝ごはんタイムです。どこで食べようかという話になり、東北に初めて来た友人に僕がどうしてもおすすめしたかったあるローカルチェーンに連れていくことにしました。

仙台発祥の食堂チェーン、半田屋で朝食(by shiosai)

 こちら、大衆食堂半田屋です!
 仙台発祥で、東北地方を中心に展開している食堂チェーンで、関東地方にもわずかながらお店を出しています。3年ほど前に工事で閉店してしまったいわき駅前のお店に、僕は何度もお世話になっていました。
 せっかく仙台に来たからには、半田屋にも久しぶりに行っておきたかったのです。

 昼ごはんが入らなくなってしまってはいけないので、僕は小ごはんとみそ汁とハムエッグというシンプルな3品、350円を切っていてかつしっかりと空腹感も満たされるので、すごいものです。すごいと思いませんか(謎の問いかけ)
 友人も満足してくれたようで、何よりです。再訪を誓いました。

仙台駅の東口にはピカピカのビルが並ぶ(by shiosai)
地下ホームから仙石線に乗る(by shiosai)

 さて、移動再開です。帰りの列車までにどこへ行こうか、と計画を練っていた時に話し合った結果、どういう感じで検討したかはもう覚えていませんが、最終的に仙台から比較的近い名所である松島に決まりました。
 そんなわけで、仙台駅の地下ホームから青い帯を巻いた仙石線の電車に乗り込み、松島海岸駅を目指します。

 ビル街を抜け、しばらく住宅地の中を走って、本塩釜駅の辺りからは海の近くに出てきます。船が停泊し、大きなクレーンがどっかと鎮座しているのが見えました。

車窓から松島湾をわずかに眺められる(by shiosai -2022.3.27)

 東塩釜駅から先で松島湾が少しだけ見えて、目的地の松島海岸駅に到着です。今日は祝日、降りる人が多いです。

 松島に着いたはいいものの、ここで何をするかはまったく決めておらず、観光案内所でいただいた地図を見ながら行く場所を選びます。遊覧船に乗ってみるか、とも考えましたが、連休とあって混んでいるうえに僕は半年前に乗ったばかりということで、却下です。配慮させてしまったようで非常に申し訳なかった。
 何はともあれとりあえずお昼にしないかと、駅から歩く途中にあったお店でごはんを食べることにしましたが、いざお店に行ってみると見事な行列ができていました。いや、しかしここまで来て三陸の海の幸をいただかないわけにはいかない、と覚悟を決めて列に並びます。意外にも、風はそこまで冷たくありません。降り注ぐ日差しが少しあたたかく感じられました。

三陸の海が生んだごちそう、海鮮丼(by shiosai)

 かれこれ1時間半、もしかしたらそれ以上待ったかもしれません。ようやく席が空いて入店し、海鮮丼を注文しました。お店の雰囲気はいかにも地元のお食事処といった感じで、好みです。
 それから少しして、海鮮丼がテーブルに運ばれてきました。観光地価格というほど高くない上に量も見た目もしっかり割に合っています。もちろん味も上々、2人で三陸の海が育んだグルメをじっくりと味わうことができました。待った甲斐があります。

円通院(by shiosai)

 お店を出ると、乗る予定の電車までは少し時間があります。かといってあまり遠出もできないので、この近くを歩こうと円通院まで行ってみることにしました。円通院は、若くしてこの世を去った伊達忠宗(政宗の子)の子・光宗の墓所として造られたお寺です。
 拝観料を納めて門をくぐると、そこには山が間近に迫る静寂の空間が広がります。同じ松島にある国宝・瑞巌寺も荘厳な雰囲気を持つ立派な寺院ですが、円通院はそれとはまた違う空気が漂っているように感じられます。
 光宗の御霊が眠るこの場所で、僕たち2人もしばし時間と言葉を忘れ、ししおどしが岩を打つ音をじっと聴いていました。

松島海岸駅の駅舎(by shiosai)

 さて、そうこうしているうちにタイムリミットが迫ってきたので、松島海岸駅から仙石線の電車で仙台に戻ります。帰りの電車も混んでいましたが、幸運なことに座ることができ、うとうとしているうちに車内に人が増えてきました。

 仙台駅に着いたのは15時過ぎ、乗り換え時間のうちにお土産と夕食を買っていきます。僕は分けやすいということでずんだパイ、それからやはりアイマス絡みで5年前に店頭から消えたことのある牛タンラー油を買いました。初来仙の友人は萩の月を買っていた記憶がありますが、もはや定かではなく別のものを買っていたかもしれない
 そしておやつにエキナカのお店でずんだパフェ、夕食用に駅弁を買い、いざホームへ向かいます。

宮城県で見る行先「品川」の文字(by shiosai)
仙台駅で発車を待つ特急「ひたち」品川行き(by shiosai)
E657系電車、品川までは4時間半を要す(by shiosai)

 6番線にはすでに特急「ひたち26号」が入線してきていました。これに乗れば、東京までは乗り換えなしです。新幹線ではなく在来線特急での長旅、どんなものになるでしょうか。

ずんだ茶寮のパフェを食べながら、仙台を出発(by shiosai)

 列車は仙台駅を出発、ゆったりと駅構内から外れて、車内放送のお声が途中の停車駅を読み上げます。その数20、長距離列車ならではの多さです。
 スピードを上げて途中駅をすっ飛ばし出したところで、仙台駅で買ったずんだパフェをいただきます(いただいています)。僕は枝豆含めた大豆以外の豆類全般が苦手なので、ずんだも若干敬遠していたのですが、アイスクリームや白玉との相乗効果もあってか、とても美味しく食べられました。ずんだ、今後も仙台で度々お世話になりそうです。

阿武隈川を渡る(by shiosai)

 岩沼で東北本線と分かれて常磐線に入ります。阿武隈川の長い鉄橋を渡っていると、雲間からオレンジがかった光がさしてきていました。もう日暮れ時です。

田畑の中を駆け抜ける(by shiosai)
鹿島駅を通過(by shiosai)

 しばらくのどかな景色の中を走り、宮城県から福島県へ入ります。すっかり日が傾いてきました。
 最初の停車駅である相馬を過ぎ、やがて鹿島を通過します。親戚の家がここにあり、いつもは普通列車での旅を経てここに降り立つので、こうして特急列車で通過するのは何だか不思議な感触です。
 原ノ町を出て、双葉郡に入る頃には気づけば外は暗くなっていました。広野から四ツ倉にかけての区間も海は見えません。車窓さえ見ることができれば、仙台発着の「ひたち」の旅はとてもよいのですが、仕方ない。

 仙台から2時間ほどでいわきに到着です。この辺りに来ると、お客さんの数も増えてきます。
 18時をまわったということで、ここでごはんとすることにしました。

仙台駅の網焼き牛たん弁当(by shiosai)
温めて開けてみるとこんな感じ(by shiosai)

 仙台駅で売っていた「網焼き牛たん弁当」1280円です。昨夜牛タンにありつけなかったその未練をせめてこれで晴らそうと、奮発して買いました。牛たん弁当といえば、という紐を引いて温めるタイプの駅弁です。
 数分待って蓋を開けてみると、見事にホカホカの状態で出てきました。あまりにも湯気が立ち上るので周囲の目が気になるくらいでしたが、これはすごいです。
 お肉はしっかりと味が付いていて、また量も決して少なくありません。何より温かいというのが美味しさを倍増させているように感じます。美味しいのですがしかし、厚みが足りない……! 少し欲が出てしまいました。今度こそ本場のお店の味を堪能すべく、また訪れたいものです。

 お腹を満たし、この2日間の疲れも出てか友人は隣でうとうと。僕も眠気が襲ってきました。外は暗く、列車の乗り心地もよいのでついこうなってしまいます。快適な時間を過ごせました。

東京が近づいてきた(by shiosai)

 水戸を出てから1時間、上野までの100km余りをノンストップで走り抜け、列車は東京の夜景に迎えられます。街中を煌々と照らす明かり、帰ってきたという感じがします。

東京駅に到着(by shiosai)
東海道線のホームは帰宅客でいっぱいだ(by shiosai)

 仙台からはるばる4時間半かけて、ついに東京に到着です。700km以上にも及ぶ長旅を経て戻ってくると、東京の空気感も新鮮に思えます。

 このあと、お土産の袋を引っ提げて僕たち2人は総武線で千葉方面へと帰りました。

(by shiosai)

 十年来の付き合いの中で何度か乗り鉄をやってきた2人ですが、プライベートで泊りがけの旅をするのは初めてのことでした。僕は普段1人を好むものですから1人で旅に出ることがほとんどですが、ここまで付き合いが長い気の置けない関係だと楽しいです。たまには誰かとの旅もいいなぁ、と思った2日間でした。またどこかに行きたいです。今度は、きちんと下調べをしようと思います。

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