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ギャンブルと人間社会

 最近なにかと話題にあがるギャンブル。それ以前にも幾度となくギャンブル依存症が社会問題として取り上げられたことがありますよね。そんなギャンブルと人間社会への影響を記していきたいなと思います。
 まずギャンブルの影響について知るために、ギャンブル依存症のメカニズムについてみていきましょう。参考資料の一つ目を参照すると、ギャンブル依存症は、神経伝達物質「ドーパミン」が原因だとわかります。これはギャンブルに限らず、さまざまな依存症の根幹にあるものです。なんらかの要因によるドーパミンの大量放出と早い鎮静によって、さらにドーパミンの放出を促すためにまたギャンブルなどを続けるという循環が依存症につながっていきます。この連鎖を断ち切るには相当な努力と忍耐が必要で、一度依存症に陥ってしまうと完全に治療するのは厳しいです。さらにギャンブルはお金が関係します。最初は少ない金額の賭けで満足していたのが、次第に額が上がっていき、失敗するとそれを取り返すためにさらに額が上がっていき、という負の連鎖に陥り、最終的には膨大な借金で生活は圧迫され、自己破産申請をする人や借金に耐え切れず自殺したり犯罪を犯す人も出てくるくらいです。ではなぜそんな危険なギャンブルに手を出してしまうのか?それはギャンブルのシステムに原因があります。ギャンブルは単純にみると苦労せずに手持ちのお金を増やすことができるゲームに見えます。そしてそのゲームをやってみようという無邪気な心で手を出してしまい、依存症という深い沼に落ちていくことになるのです。ではギャンブル依存症の話はここまでにして次にほかの影響を見ていきましょう。
 ギャンブルは違法賭博などのほかにも日常生活に存在しています。宝くじや投機(短期間で莫大な利益を狙った投資)、ソシャゲのガチャなどもこれに該当します。これらは私たちにどのような影響があるのでしょうか。
 まずは学問の観点からです。学問の世界においてギャンブルは大きな成果を残しました。そう「確率論」の提起です。もちろん提起したのは数学者ですが、その発端はギャンブルからという説があるくらいです。(参考資料二つ目)確率においては「何回の操作で、どれくらいの頻度で事象が起きるのか」ということを考えるものですが、確率100%以下は絶対に起きるとは言い切れません。そしてギャンブルにおいてはどれほど確率が高くても100%はあり得ません。ましてその半分もいかないものがほとんどです。そんな中で数学者は絶対勝てるギャンブルを模索し、それに付随するように確率論が形成されたのです。
 そしてこの確率論という学問体系は今の私たちの生活を非常に豊かにしてくれています。天気や保険などはこの確率論から派生したものなんですよ。そんな学問的な影響のほかに生活面への影響も見ていきましょう。
 まずは天気予報や保険など社会生活を豊かにしてくれたことです。このほかには現代社会に「リスク」の考えを広めたことも言えます。リスクという考え方は一昔前の日本ではあまり聞かれなかった言葉です。ですが依存症の話題が出てきてからこの「リスク」や「リターン」という単語が現代生活に登場してきました。(主に株や投資の関係で耳にする機会が多い単語でもありますよね。)
 それらの言葉の登場でどのような影響があったのか。それは現代人がリスクに対して消極的になったことで、物事への興味・関心が減り、人との交流にも消極的な傾向を見せ始めたことです。これは多様性を認めるという社会背景ももちろんありますが、やはり「リスク」社会の考え方が形成されたことも原因といえるでしょう。日本人は特に周りの空気を読むという独自の文化があることも相まって、なおのことあらゆることに消極的になっている傾向が見られます。ハラスメント問題もこの消極性が引き金の一つになっているとも考えられます。当然過度なハラスメントの規制やグローバル化による多様性の容認などの意味合いもありますが、風習や伝統に関しての関心が薄れてきたことがこれら問題が表面化した原因とも言えます。このように「リスク」という言葉の登場により現代日本人は自分の好きなこと以外へ対して消極的な姿勢がみられるようになったのです。
 ではこれらを受けてどうすべきか。消極的なままでいいのか。否、今日はAIの登場もあり、今まで以上に主体性を求められています。主体的に、積極的に行動できる人を社会は求めているのです。なので皆さんに改めて認識してほしいのがリスクをとることが必ずしも悪いことではないということです。先ほども述べたように現代人はリスクや面倒を避ける傾向がありますが、これでは現状が変わらないどころか、むしろ劣化していく一方です。リスクを避けるということはそれの対価であるリターンを受け取れなくなるということになり、いわばチャンスを逃しているということです。それはもったいないですよね?ですが、何でもかんでも挑戦すればいいというものではありません。ここで必要なのは「自分で判断する」ことです。自分でやるかどうかは決める。これだけは守らなければ自分で満足いく選択はできません。つぎに必要なのが「メリハリ」です。自分なりの基準を設けて、メリハリをつけて挑戦、出資する。これによって自分がするべきことやしたいことへ力を注ぎ、それ以外はセーブすることができます。すると自分で判断し、決断する「決断力」と、中途半端に浪費することがなくなります。すると長期的には損は格段に減ります。効率的かつ客観的な判断がこれからの社会で最も求められる価値ある行動なのです。
 最後にギャンブルから現代の生活につなげていける知恵を見て締めとしましょう。ギャンブルに勝つことを考えたとき、よく「負け続けたら、そのまま負け続ける」という言葉を聞くと思います。これは私たちの領域で表すと失敗して理性的な判断ができていない中で、次のことに手を出しても失敗すると言い換えられると思います。これは失敗したなら一度立ち止まって反省して、課題点・改善策を見つけたうえでもう一度挑戦しなければ、また同じ失敗をする「無駄な」リスクを背負うことになる。とも言えて、失敗の正しいとらえ方を語ってくれています。ギャンブルは運要素の強い試行ですが、皆さんが日常的に遭遇する試行は運要素よりも、方法や考え方を工夫することで突破できる実力要素の強い試行が多いと思います。仕事も勉強も運要素はある程度あっても実力をつければその引きたくない確率を減らし、引きたい確率を大幅に上昇させることが可能です。つまり努力して運をつかむこともできるということです。こうしてニュースで見ているだけで自分には関係ないと思われたであろうギャンブルから、人生において学ぶべきことを見つけることができました。私が言いたいのは身の回りのことにもっと関心をもつことが非常に重要であるということです。勉強・学習は机に向かって本や参考書と睨めっこするだけではありません。ニュースで気になったことを少しリサーチしたり、ライフハックなどの豆知識を実践してみることも勉強・学習の一つです。むしろこうして積極的に情報にアプローチしていく姿勢が大事なのです。「塵も積もれば山となる。」少しの努力も積み重ねていくと大きな財産になり、思わぬところであなたを助けてくれます。ここまで読んでいただきありがとうございました。皆さんの日常生活の一助になれば幸いです。
(参考資料)
① ギャンブル依存症の原因・要因 - 依存症治療と家族相談、回復施設|大石クリニック (ohishi-clinic.or.jp)
② 確率論の原点!ギャンブルで負けないための方法とは | 数学・統計教室の和から株式会社 (wakara.co.jp)

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