見出し画像

中国に引っ越してきました。 ―中国・江蘇省から你好(ニイハオ)!

こんにちは。
岸 志帆莉です。

突然ですが(いつも突然)、この春に中国の江蘇省というところへ引っ越してきました。
これからしばらく家族4人でここに暮らします。

自然豊かなところです。

引っ越してくるまで中国に来たことはありませんでした。初訪問でいきなり住むことになった中国は、私にとって驚きの連続です。

まず驚いたのは、飛行機の窓から見た中国大陸が黄色かったこと。黄海もその名のとおり黄色い。そのなかで街中の看板や屋根はところどころ赤くて、その色の取り合わせがまるで中国の国旗のようでした。雲の下にはうっすら色づいた空気の層があって、大地全体がベールに覆われているようで、「なんだかとんでもないところに来てしまったのかもしれない……」と感じたのが第一印象でした。

いざ降り立ってみると、視界に入る文字はほぼすべて漢字(あたりまえ)。ぱっと見て意味が汲み取れるものもあれば、そうでないものもあります。たとえば「外国人出入境」などはわかりやすいほう。一方でまったくわからなかったのが「行李提取」。「行李提」が手荷物で、すなわち手荷物受取所という意味です。スモモ(李)の手提げと書いて手荷物なんて、まるで漢詩の世界……!とすこし感心してしまいました。

それにしてもこうして漢字ばかり目にしていると、見慣れた文字が意味を失って純粋な記号に見えてくるから不思議です。普段ひらがなやカタカナと一緒に見ることに慣れているからか、漢字だけの羅列を見るとだんだん目や脳が混乱してきます。もはや記号と化した文字をまじまじと見つめながら、漢字が象形文字であることをあらためて認識したりしました。

いろいろなものが一回り大きいことにも驚きました。長江は海みたいに広いし、浮かんでいるのも小型船ではなくコンテナ船などの大型船。隅田川の屋形船に親しんできた私にとってはかなりインパクトのある光景です。民家も日本の民家と比べたら一回り大きいし、マンションもお城みたいに大きい。高層ビルも乱立しています。そのわりに空はだだっ広く感じられて、景色の奥行きにそこはかとない「大陸感」を感じます。

耳に飛び込んでくる音もいちいち大音量。街なかのクラクション、建設現場からの作業音、人々の話し声――。ガリバー旅行記の逆バージョンで、巨人たちの国に迷い込んでしまったような錯覚を抱きます。

到着した日の夜、地元の方が我が家を訪ねてくれました。引っ越す前からお世話になってきた地元の語学学校の先生です。マンションの家賃をぼったくられそうになっていた私たちを助けてくださったことがきっかけでご縁ができました。彼女の登場とともに、その日一番の驚きがやってきました。挨拶もそこそこに駐車場と玄関を往復しはじめたかと思えば、冷蔵庫に入りきらないほどたくさんの食材を届けてくださったのです。野菜、肉、卵、米、パン、餃子、メロン、ドラゴンフルーツ……。極めつけは、小さい銅鑼(どら)くらいの大きさはある深い中華鍋!なにもかもが大きい中国だけれど、人の親切の大きさはまさに桁外れ。子どもたちをハグして頭をわしゃわしゃと撫でてくれている彼女の姿を眺めながら、そんなことを感じました。

そんなここ中国で、新しい生活を紡いでいきます。

14億人が暮らすこの大陸の片隅で見たことや感じたことなど、ときどき綴っていけたらと思います。

**********

作家・辻仁成さん主催のウェブマガジン「Design Stories」でも不定期でエッセイを寄稿させていただけることになりました。
先日公開された第一弾、よければご覧ください。

**********

この記事が参加している募集

新生活をたのしく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?