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プチ専門家としての小さな一歩 | 宣伝会議 米光講座 第一回講座レポート


「半年後までに、めちゃくちゃニッチな分野で世界一詳しい専門家になれ」

開講初日、我々受講生に課せられた課題だ。


9月26日、宣伝会議「編集・ライター養成講座(即戦力コース)」がスタートした。

10年目を迎えた本講座は、多くの編集者やライターを輩出し、これら職業を志す者たちにとって一つの登竜門のような役割を果たしている。ゲーム作家、ライターなど多くの肩書きを持つ米光一成氏が講師を務め、通称「米光講座」とも呼ばれる。

急遽秋からウェブメディアでの執筆が決まった私は、駆け込むようにして本講座に申し込んだ。開講3日前のことだった。心の準備ができているとは言いがたい状態で当日を迎えた。開講直前に送られてきた課題リストに目を通し、言葉を失う。

課題図書の通読。書評および受講レポートの執筆。自身の専門分野に関する本を10冊選書。専門分野でのオフ会企画、チラシ作り。Twitter選手権……。

課題の量もさることながら、もはや何の講座を受講しているのかわからないほど多様な課題に面食らう。

開講以来初のオンライン開催である。我々はzoomを介して集う。開始時間にログインすると、既に米光氏と受講者達がいた。米光氏のことは、メディアが伝える限りにおいてのみ知っていた。幼い頃は勿論「ぷよぷよ」で遊んだ。あのゲームを作った人。彼の文章にも幾度となく巡り合った。スクリーン越しに初めて対峙した氏は、勝手に抱いていた「ベテランスーパークリエイター」の像とは違った、ユーモアと物腰の柔らかさがスクリーンから溢れてくるような人だった。

二時間の講座の内容は盛りだくさんだ。ゲーム作家の米光氏が講師というだけあり、ぼうっと聴いているだけでやり過ごせるようなものではない。受講者参加型のアクティビティがふんだんに盛り込まれている。

一例を紹介する。「自分マトリクス」。受講者は数名のグループに分かれ、自分自身を表すキーワードを各自5分以内で紙に書き付ける。できるだけ多く、目指すは75個。その中から3つのワードを自分で選び、グループに発表する。聞く側は質問をしても良い。答える側は簡潔に答える。これらを通して、各自が自身の「プチ専門」を決める。

5分という時間制限が上手く機能している。限られた時間の中で、自分の過去や現在、脳内体内、周囲までを竜巻のようにブレインストーミングする。おのずと自分の芯に関わる言葉だけが、数珠のようにつながって出てくる。私のグループでは「人ん家に泊まる」「税金」「セルフパートナー」など興味深い言葉が出てきた。一つ一つがあまりに面白く、3巡目のキーワードまで辿り着くことはできなかった。

これらアクティビティや内省を通して、それぞれが己のプチ専門を決める。後はひたすら、「バリバリ書く」。半年後、この講座から二十数名のプチ専門家たちが巣立つだろう。そのひとりになれるよう、やれることはやるつもりだ。

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