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オンライン留学のお金の話 ―オンラインで海外大学院に行こう! マガジン #15

こんにちは。
岸 志帆莉です。

このマガジンでは、「オンラインで海外の大学院に行く」というテーマで定期的に情報をお届けしています。

ここ数回、「海外の大学院で必要な英語力と対策」というテーマでお届けしてきました。ところで英語と同じくらい気になるのがズバリ費用の面ではないでしょうか。

大学院への進学には費用がかかります。ただ以前にもお話ししたとおり、オンラインであることによって抑えられるコストもあります。あらかじめ大まかなコストをイメージできたら安心ですね。

そこで今日は、オンラインで海外の大学院に進むために必要な費用をテーマにお届けします。私が実際にオンラインで進学した際にかかった費用も公開します。

なお実際にかかる費用は大学やコースによって大きく異なります。ここでご紹介するのはあくまで一例です。実際の出願にあたっては、大学のウェブサイト等の公式情報を確認してください。


そもそも海外留学にはどのくらい費用がかかる?

オンライン留学の費用について見ていく前に、まずは海外の大学院に留学するにはどのくらいの費用が必要か押さえておきましょう。実際に海外に留学するにはどのくらいのコストがかかるのでしょうか?

国別に大まかな傾向をまとめると次のようになります。

この表からもわかるとおり、学費や生活にかかるコストは国によって大きく異なります。また公立か私立かによっても差が出ます。

ちなみにここでは学費と生活費のみ記載していますが、実際に海外へ留学するには他にもさまざまな費用がかかります。

【海外留学にかかる費用一覧】

・出願にかかる費用
(語学試験の受験料、出願料、書類の取り寄せおよび翻訳等にかかる費用など)

・渡航にかかる費用
(ビザおよびパスポート申請料、渡航費、引越費用、国際送金および両替等にかかる手数料、海外旅行保険料など)

・留学中にかかる費用
(現地滞在先の物件にかかる各種保険料、交通費、教材費、その他学習にかかる費用、滞在中の旅行費用、帰国時の土産代など)

こうして見るとさまざまな費用がかかることがわかりますね。

オンライン留学にかかる費用 ―現地留学との比較

それではオンライン留学の場合を見ていきましょう。オンラインで海外の大学院に進学するにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

一言でいうと、オンライン留学にかかるのは学費と出願にかかる費用だけです。(もちろん日本での生活費はかかりますが、元々かかるものなのでここでは省きます。)

まず海外に渡航しないので、上記の「渡航にかかる費用」はまるごとカットできます。「留学中にかかる費用」もほとんど省けます。旅行保険や引越費用はかかりませんし、通学しないので現地の交通費もただです。外食費や印刷費、教材費等も抑えられます。細かいところでは国際送金費や帰国時のお土産代等も不要です。

もうひとつ見逃せないのが、オンラインなら仕事を続けながら学べるため経済的にかなり安定するという点です。仕事を退職して留学した場合、その間の収入は基本的に失うことになります。しかも多くの国では学生ビザに就労制限を設けているので、現地で費用を調達することはほぼ不可能です。十分な貯金がない状態で渡航した場合、金銭的な不安を抱えることにもなりかねません。留学期間が数年にわたる場合は生涯年収にもそれなりの差が出るでしょう。もちろん「その分を将来必ず取り戻すぞ!」という気持ちで挑戦できたらそれはそれで素晴らしいことです。大事なお金のことですから、機会と損失の両面を見ながら納得のいく判断をしたいですね。

オンライン留学の学費の傾向

次に学費そのものの傾向を見てみましょう。学費こそ大学やコースによって大きく差が出るところです。オンラインと対面で別料金が設定されている場合もあれば、同額のところもあります。こればかりは個別に調べていくしかありません。

全体的な傾向として、通学でもオンラインでもカリキュラムがまったく同じコースの場合、料金も同額であることが多い印象です。しかしもとからデジタルファーストで開発されたコースなど、かなり低価格なものもあります。たとえば米ジョージア工科大学が提供するコンピューターサイエンスの修士課程(Online Master of Science Computer Science、略称OMSCS)がその一例です。このコースはデジタルファーストで開発され、100%オンラインで提供されていることもあり大幅なコスト削減に成功しています。アメリカの大学の年間平均授業料が約3万ドルであるのに対し、OMCSCは7000ドルと、破格ともいえる価格設定になっています。

そのほか各国の公開大学(放送大学)なども安価なオプションです。たとえばイギリスの放送大学にあたるオープン・ユニバーシティの学費は、日本円に換算すると一年間あたり100万円程度です(※2022年時点、学士課程の場合)。これはイギリスの大学の年間平均授業料と比較すると約6割程度の額です。

さらに単位認定や卒業を目的としない場合、無料で学べるオプションもたくさんあります。MOOCs(大規模公開オンライン講座)やOERu(オープンエデュケーションリソース大学)などがその例です。無料で学べる海外大学のコースについては、下の記事でくわしくご紹介しています。

このように、学費は大学やコースによってかなり開きが出ます。一方、オンラインであることで節約できるコストがあることもお分かりいただけたでしょうか。

ちなみにコースによっては現地での授業参加が義務づけられているものもあります。この場合、渡航する回数分の航空券代と現地滞在費がかかるのであらかじめ想定しておきましょう。教材費などもコースによって異なります。事前にコストの全体像を把握したい場合は大学側へ直接問い合わせてみましょう。

実際にかかった費用 ―私の場合

それではここで、私がイギリスの大学院にオンラインで進学した際にかかった費用を公開します。

・学費(約200万円)
・入学審査料(約1万5000円)
オリエンテーション時の渡航費(※出張とあわせて渡航したため0円)
オリエンテーション時の現地滞在費(約1万5000円 ※一週間分。学生寮を利用)
・教科書代(約1万円)
期末試験を受験した際の施設利用費(約5万4000円 ※2回分の合計)
修士論文の印刷・製本代(約1万円)
研究にかかった諸経費(約5万円)
出願時のIELTS受験料(約2万5000円)
 ※すべて2014~2016年当時の金額

これらを合計すると、約220万円程度という額になりました。

実際にイギリスの大学院に現地留学する場合、分野にもよりますが、約500万円前後からが相場といわれています。そこから比較すると半額以下に抑えられたことになるので、費用はかなり抑えることができたと思います。

ちなみに大学によってはオンライン受講生にも奨学金や学費減免制度を設けている場合があります。気になる場合はやはり大学側へ問い合わせてみましょう。

海外の大学に進むには、いずれにしても数十万~数百万円程度の費用がかかります。資金計画はあらかじめしっかりと立てておきたいですね。

※2024年6月追記:
現在、イギリスをはじめ各国の大学授業料は上昇傾向にあります。学費等の詳細は、各出願先のウェブサイト等でご自身にて最新情報を確認してください。

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