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ボロボロの職歴

ボロボロの職歴で良かった。
普通の看護師から、区役所の期間限定職員に転職して1か月が経過したころに実感した。

介護保険課。過去に携わってきた医療・福祉の知識が活かせる部署への配属だ。そこでは、区役所職員からの質問には全て答えられた。知らないことがない。なぜなら、それまで意図的に何度も転職し、それぞれの職場で知識をインプットしていたからだ。
介護に関して、医師、患者、介護職員など、あらゆる立場の視点を学習していたから、あとは然るべきタイミングで出すだけだった。毎日「色々ご存じで助かります。頼りにしています」とお礼をもらう。おかげで、予定の契約期間6か月のところ、職員の計らいで指名での更新が続き、気が付いたら3年が経っていた。

「どんな30代になっていたいのか」を常に考えていた。経験豊かな頼られる存在に、そんな大人になりたかった。だから計算をした。20代の体力を武器に職を転々とした。履歴書が傷ついたとしても、常識の数を増やすことだけを目標に、短期離職を10年は続けた。ただし、医療・介護という軸はずらさなかった。最初に選んだ職業が看護師であったこと、人間が存在する限りこの業界は衰退しないこと。これが、医療・介護を軸にした理由だった。

一つの職場で長く務めるべきだという価値観の先輩には、キャリアの自傷行為とまで言われた。ジョブホッパーの化身だと。
私には、関係のない話だった。社会から必要とされる人材の共通点は「軸があること」だ。軸があればどんな職歴にも価値がある。そのことに早く気づいたので、戦略的にボロボロの履歴書を作っただけだ。

一般的な評価指標に振り回される必要はない。自分の軸をもつこと。自分がどう在りたいかを考える習慣を持ち続けること。そうすれば、どんな経歴の自分も受け入れられる。

さて、次に向かうは40代。「この人だから勇気をもってキャリアの相談をしたい」そう思ってもらえるよう、新たな計算を始めよう。

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