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Jリーグ外国人選手の申告漏れにより、全60クラブに適切納税を通達

2023年11月10日~12日 スポーツ報知 オンラインにて掲載された記事について、Jリーグ所属クラブに在籍する外国人選手に対する所得税の申告・納付もれについてまとめてみました。

その後、2024年3月にイニエスタらJリーグ外国人選手の追徴課税のニュースについては、「Jリーグ外国人選手 イニエスタら3選手、計21億円の所得申告漏れ」に纏めております。

Jリーグのクラブにて税の申告漏れ

G大阪や名古屋などのJリーグのチームが今春頃から各地の国税局による税務調査で、外国人選手の報酬に課される所得税や住民税が契約実態に見合わないケースが複数あったことが判明して、申告漏れを指摘されていたことが分かりました。JリーグはJ1~3の全60クラブに対し、適切な納税を行うよう通達を出しました。

外国人選手の税務上の取扱い

外国人選手の多くは国内で課される税について、クラブ側が負担する契約を結んでおり、クラブ側は外国人選手と契約する際、国内の滞在期間や契約年数などに応じて「非居住者」とするか、「居住者」として納税する。しかし、この判断間違いにより、今般税務署から指摘及び所得税の申告・納付もれが発覚しました。


滞在期間など様々な制限が課される「非居住者」とする場合は、源泉所得税だけの20.42%が適用されるが、「居住者」の場合は課税所得が4,000万円を超える額につき、所得税と住民税で55%となる。

国税庁によるQ&Aのコーナーにもこの様に「非居住者」に対する報酬の支払いは、支払者が源泉所得税20.42%を徴収して納めるとの記載あり。

No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率

例えば、1億円の契約をクラブと直接契約を交わし、そのすべてが所得となるケースでは「非居住者」が2,042万円を納めるのに対し (実際には支払者のJクラブが徴収して納付する)、累進課税、復興特別所得税を加味した「居住者」は約5,104万円となる。差額は約3,000万円になります。

私が計算した所、居住者扱いで、手取り約8,000万円(非居住者扱いで年俸1億円にて契約し、源泉所得税控除後の約8,000万円と同額)を得ようとするならば、約1億7千万円で契約する必要があります。(社会保険を考慮)

 複数のJクラブが税率の低い「非居住者」として申告していたとみられるが、国税当局は選手の契約内容や居住実態などを調べた上で、「居住者に当たる」と判断しました。

 近年では海外クラブからの引き抜きに対応するため、複数年契約を結ぶケースが増加したが、多くのクラブは「非居住者」として慣例的に行っていたとみられます。

税理士の外国人選手の税金に対する見解

 税理士・伊東幸喜氏(辻・本郷税理士法人、元熊本国税不服審判所長)のコメントでは、「Jリーグでは外国籍選手の税金分も含めてクラブ側が負担する契約で、本人に代わって申告しています。非居住者で源泉徴収だけで済むところと、居住者とされると確定申告が必要なところで、手続きが漏れたということです。

 所得税法の規定で、居住者とは「国内に住所を有する」か、「現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人」。単身で来ている方については一時的な居所ということで、引き続いて1年以上滞在しない限り非居住者になる。家族の帯同については、家族共々来て生活していればそこが住所でしょという認定になります。ですから、基本的には単身で、シーズンオフには帰る形にしていると思います。」

国税庁のQ&Aセクションによる「居住者」と「非居住者」との違いはこちらを参考に。

No.2010 納税義務者となる個人


 J2清水は「うちにも税務調査が入ったが、居住、非居住のところはきちんとしていたので特段の問題はなかった」、J1FC東京は「納税については法令にのっとった運用を行っていると認識しております」などと回答しました。

非居住者となる3要件

 Jリーグやプロ野球では、「非居住者」とする場合は、以下の3要件を満たす必要があります。1999年6月にJリーグと日本野球機構(NPB)が確認した国税庁長官の見解では、〈1〉1シーズンオフに居住場所を引き払う〈2〉契約が1年以下〈3〉家族の帯同がないこと―を条件としています。

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