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雷雨のち小雨【2023.08.18】

AM5:00。
初期設定のままのアラーム音が響く。

頭がズシっと重い。
まぶたは上に上がろうとせず、現実を拒んでいることが伺える。
でもここで閉じたらどうなるかくらい想像がつく。

バイト。
起きるよ。
わかっている。
わかっていたんだけど….

なんてことには幸いならなかった。

エアコンの室外機に、ぶつかり稽古かと言わんばかりの雨粒たちと、
落ちたと言われても納得してしましそうな雷が近所で鳴ったとみて、まぶたウェイトリフティング。


外に出られるかを心配しながらも出かける準備をし始める。
「やっぱりまだこの時間は暗いんだなぁ」

結局、出発の時間までに状態は良くならず、土砂降りの中をくわばらくわばらと心の中で唱えながらバス停に向かいました。


バスに乗り込んでいつもの通りカードを「ピッ」とやろうとしたら「やらなくていいよ」と運転手さんは言いました。
早いからなのでしょうか?探求してみたいことができました。


バイト先について書いておくと、台湾のとあるホテル。
そこのご飯会のホールスタッフが主な仕事です。
ザ・ホテルの朝食みたいな時もあれば、ザ・中華の円卓テーブルのご飯会のときもあります。

円卓テーブルのご飯会なんかは特に文化を感じるものなので面白いな、いい体験をできているなと感じます。
これは別の記事にしてみてもいいかもしれないのでメモ。

到着して、制服を取りに備品部屋に入った瞬間、「瑛斗さん久しぶり~」とこの場所で僕が一番お世話になっている方に声をかけられました。
何やらこの方今日がこの場所最後の日らしく、すごいタイミングで自分も来たもんだと少し嬉しくなりました。


まずは朝ご飯の会。
早い時間はやはりまだお客さんも多くないので、少しご飯を眺めます。
めちゃめちゃ美味しそう。いつも眺めるだけです…
ベジタリアンとかヴィーガン食の人に向けたエリアがしっかりあるのも台湾を感じる部分ではありますね。

近隣アジアの国からの英語を使って話すお客さんもいて、中国語が英語より先に出てくる頭になっているので英語も勉強しておかないとなとは思いましたが、大きな問題もなく時間は進んでいきました。


そのまま終わるかと思いきや、そうはいかなかった。

お昼ご飯の会の時のこと。
とある一人のお客さんが「このお皿、フォーク、ナイフ、コップの食器一式新しいの持ってきて」と言ってきたので「わかりました」と答えてバックヤードへ。

そこで「これを運んで」と違うスタッフの人から言われました。
「でも今、他のお客さんから新しい食器を持ってきてと言われていて」と説明すると」
「わかった、確認しとく」と言われたので頼まれたものを運びました。
頼まれたそれを運び終わった後、念のため確認すると「持って行ったよ」と言っていたので安心していたのですが、藪から棒。

「もし、お客さんが何言ってるか分からなかったらすぐ言えよ!「あのスタッフ、わかりましたって言うだけでまだ食器来てないんだけど」って言われたよ!お客さんには彼は日本人で言語意思疎通上の問題があったと詫びておくから、今度から分かんないってしっかり言うんだよ!」

盛り付け用の金属スプーンがお皿と衝突した音が50人はいると思われる会場の中でもやけに大きく聞こえた。

「あぁ、要は伝わってなかったのだ。」
左手の爪を右腕に立て平静を装い、うなずく。

悔しかった。
お客さんが何を言ってたかは分かっていた。
判断のミスがあった。
お客さんに迷惑をかけてしまったのは事実なので、反省するべきだ。

あの時、頼まれたことは後回しにして自分で新しい食器をすぐ持っていけばよかったのか、もっと多くの人に確認してみればよかったのか。
優先順位というものがあるでしょう。
スピード感というものが必要でしょう。
仕事経験の少ない自分にとって貴重な経験となりました。

一番悔しいのは、上手く伝えられなかったこと。
日本人だからしょうがない。
いやだ。そんなものを言い訳にはされたくない。
もっと勉強する。そう決めたのでした。

会議用テーブルの脚を折りたたもうとして顔をバシッとやられたことを忘れない。


その後はひたすら黙り込んでしまいました。(普段から口数は少ないけど)
話さない人を好意的に見ない台湾人は多いから愛想よく・リアクションとか大事にするんだよという風に言っていた先輩のアドバイスを思い出す。
でも、その場で切り替えができるほど僕は立派にはなれていません。

終了時刻になり更衣室へ向かう。
鏡がある。
そのアドバイスをくれた、誰とでも気さくにコミュニケーションをとっていた先輩から受け取った黒い蝶ネクタイが、僕にはとても不似合いに見えた。


そんな時にとある他のスタッフの人が更衣室に入ってきた。
これまでに見たことはない、おとなしい印象を受ける人だ。

「バイトに来るだけなのにこんなにオシャレしてくるの」と突如聞かれた。
(とはいえ何年も前に買ったWEGOの無地黒シャツと雨にぬれてもいいタイパンだったんだけど)

彼も今日の勤務は終了。気がついたらセブンイレブンで飲み物片手に話してる。奢られてるし。

あ、別に誰にでもついていったりはしないので安心してくださいね。人の良さが滲み出てました。

やっぱり台湾感覚だなぁと思ったのはオープンさ。
初対面で恋愛とか、身長聞くときに体重も(メンズだからかは分からないけれども)聞いてきたりとか面白いなぁと思います。

その人は美味しいご飯屋さんたくさん知ってて「今度良かったら連れてくよ」と言ってくれたので「ぜひ」と答えたら、「ほんとに?」「建前じゃない?」とリアクション。

どうやら以前日本人の友達と同じように楽しく話してて、SNS交換してバイバイしたらそんなに親しい感じじゃなかったんだそう。

ホンネも大事にしていきたいですね。
僕はご飯に連れっててもらう気満々です。

空を見上げると小雨。路面はまだ黒く輝いている。
リアルだなと思う。
でもそれがいい。


今日もありがとうございます。
素敵な週末を!


#留学生のひとりごと日記

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