私の正義の話 その2

実家の会社から弟経由で家賃の補助程度のお金は入ってくることになったけれども私は外資でバリバリ働くことになった。
カレッジは卒業しなかったけれども海外生活のキャリアを買われて外資系の企業で働くことになった。
報酬は世間一般で言えば高収入、でも私という優秀な人材を雇えるなら安いものだと感じるから会社はラッキー。

働き始めてしばらくしたころ、この会社でキャリアを積むならある国家資格がないといけないことがわかって勉強をはじめた。
私を誰だと思っているの?勉強は出来て当たり前、仕事をしながら勉強を開始した。
1回目は少し準備期間が足りなかったから合格ならず、2回目もバタバタしていたから結果は同じだった。私は海外で生活していたんだから日本の法律が関わる試験は苦手なのは仕方ない。仕事だってしてるんだからこれくらいは大目に見るべきだ!
3回目の試験を控えた頃から会社の皆の対応が変わりイライラすることが多くなった。
上司は「国家資格とは言え合格率は70%あるからそろそろ合格を」とか必要以上のプレッシャーを掛けてくる。こっちは仕事しながら勉強してんのがわからないの?いつもバタバタしてるんだから少しは状況を考えてものを言うべき!だいたい外資って変わり者が多いから会社での対応もなんか今までと違うし、外資なんだから日本企業の欠点ばかりなぞっていないでもっとのびのびと社員の個性を伸ばすように働きかけるべきでしょう?
3回目も不合格、本当に頭にくる。
会社の姿勢がよくない!外資なのにこれじゃあまるで日本企業と同じだし、ばかばかしい!ムカつく。
会社の人間もバカばっかりだから頭が痛い。本当に頭が痛い。
気圧が低いと余計に頭が痛くなる。
医者に行ってもちっともよくならない。日本の医者はちゃんと効く薬も出せないの??
いくつか薬を変えて飲みまくった。そのうちやっとマシな薬が見つかった。
私の頭痛はセロトニンが減少していることが原因だと分かった。
ストレスも大いに関係していることだろう。
ベンゾジアゼピン系の薬があれば楽になる。
薬を飲んでいる時間はハッピーだった。
私は優秀なのだから、ほかの人間より仕事時間が少ないくらいでちょうどいい。
そんな生活をしていたら、ある日、同僚のデブが「私が仕事中にお菓子食べる回数よりも薬を飲んでる回数の方が多いね」とか言ってきた。は?何様?こっちは辛いのに薬飲みながら仕事してんのにふざけてる?面白くないんだよムカつく!!
なんなのここ?結局外資ってこのレベル?

大きな転機は3月11日だった。
東日本の震災、ちょうどその時、私は駅で電車を待っていた。
地下鉄でも大きく揺れたのがわかった。
その瞬間、言いしれない不安が込み上げてきた。
怖いと気持ち悪いが混ざったような感覚。
しばらくは仕事にならず会社も休んだ。
薬を飲んでも足りない。
今までの環境も悪かった。私は大きな病気になった。
インターネットで調べて傷病手当というものを知り早速使って療養することにした。働きすぎたのだからゆっくり休むのは当然の権利だ。
かかりつけ医に言って薬をさらに増やしてもらった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?