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『転職の魔王様』の名言に思うこと

 

「あなたの人生、このままでいいんですか?」

来栖 嵐(キャリアアドバイザー)


毎週月曜、夜10時から現在放送中のドラマ
『転職の魔王様』をご存知でしょうか。

主人公は、“転職の魔王様”の異名を持つ
毒舌敏腕キャリアアドバイザー
来栖(くるす)嵐。

成田凌さんの演技がハマっています。

心えぐる辛辣な言葉を突きつけながらも
求職者の働く自信と希望を取り戻させる
爽快なストーリーです。

小芝風花さん演じる“社畜”ヒロインも
共感を集めやすく、かつ、かわいい。

普段あまりドラマは観ないのですが
長く人材業界に身を置く者として

自分の仕事に重ね合わせながら
楽しませてもらっています。

それにしても
キャリアアドバイザーが
求職者の自宅を訪問したり
やたらと社外で会いまくる(笑)

初回から求職者に刺されそうになったり
現実離れしているところもありますが

社内のメンバー同士の会話は
けっこうリアルで親近感をもてます。

何より見どころは
敏腕キャリアアドバイザー来栖さん
の毒舌ぶりですね。

我々にとっては、企業と同じく
求職者も「お客様」ですので
あんなひどい言動はありえません(笑)

今回は、“魔王様”こと来栖さんの
心えぐるセリフをいくつか取り上げつつ

キャリアコンサルタントの端くれとして
私見を述べてみたいと思います。

未経験業界に行くには25歳がタイムリミット
未経験で許されるのは大学生か
高い適応力がある者のみ
転職限界年齢は35歳で、女性の場合は30歳


うーん、これにはドキッとした人が
多いのではないでしょうか。

結論から言うと、転職に年齢制限はありません。

選考の採否を年齢で決めることは
法律上で禁止されているからです。

このため
転職の成功率が年齢で左右されることはない
と言いたいところですが

年齢は間違いなく選考に影響を及ぼします。

じゃあ、転職できるのは何歳まででしょう?

去年のデータですが
総務省から発表された「労働力調査」における
転職成功者の人数表がこちらです。

各年代の割合は
男女でおおむね変わりなく

どの年代にも転職成功者が多いこと
が分かります。

「35歳転職限界説」はひと昔前の話で
少子高齢化やリーマン・ショックの影響により

35歳以上のミドル世代を必要としている
企業も増えています。

実際、転職市場では管理職候補を求める求人が
多くみられるようになりました。

ただ、未経験の職種の場合は
どうしても20代といった若い世代のほうが
有利になります。

35歳以上になると
ポテンシャル採用を見込むことは難しいので
即戦力となるかどうかで見極めようとします。

この点、転職成功率が高いのは
同業界への転職ですね。

つまり、年齢が上がるほど
多くの経験やスキルを求められることから
若いほうが転職しやすい傾向にあるのは事実。

正社員を目指すのであれば
若いうちに行動することをおすすめします。

一方、派遣などの非正規雇用でしたら
年齢が高くても十分チャンスはあります。


私たちキャリアアドバイザーは味方ではない
給料は求人企業から払われている
誰かれ構わずねじ込んでしまうこともある


来栖さん、これは言い方が悪い(汗)

少なくとも、わたしは
転職希望者の味方でありたいと思っています。

でも、人材紹介業の仕組みはその通りで
転職エージェントは採用決定ひとりにつき
企業から紹介手数料をいただきます。

その額は、大手のエージェントの場合
転職者の初年度年収の30〜35%
と相場は決まっています。

仮に年収500万円だったら
150〜175万円ですからなかなか高額ですよね。

ただ「成果報酬型」のビジネスモデルなので
どんなに候補者を紹介したとしても

内定が出て実際に入社しない限り
収益になりません。

そのため、エージェント側からすると
転職希望者に対して

“より決まりやすい”求人案件を紹介しよう
と考える側面があります。

そのことを来栖さんは
「ねじ込む」と表現しているわけですね。

もちろん
その人の希望や思いに寄り添い
転職の成功を支援することが大前提です。

ただ、ここの“冷静と情熱のあいだ”は(古っ!)
担当するキャリアアドバイザーによって
かなり個人差があります。


次は、転職することの捉え方・考え方について
来栖“魔王様”のセリフをいくつか並べてみます。

転職は口コミサイトで店を選ぶのとは違うんです

そんなこと自分で決めてください
大人なんですから

仕事に夢を見ないのはご自由です

どんなに滑稽でも、くだらなくても
自分で決めれば、それが正解になる


さすが、“魔王様”
歯に衣着せぬ物言いですね。

確かに、転職先選びの軸や
転職するか否かに迷ってる状態で
登録にいらっしゃる方も少なくありません。

その人の人生ですから
最終的に決断するのはもちろん求職者です。

選択した先の責任までは負えません。

ただ個人的には、転職のプロとして
誠実にアドバイスはしたいと思っています。

背中を押すこともあれば
転職を踏み止まるようすすめる
ことだってあります。

仕事に夢を見てほしい、といったら
大げさかもしれませんが

担当のぼくと話すことで
人生を前向きに考えられるようにしたい
とは思っています。

あと、転職サイトについては
候補企業の社風やキャリアパスを
イメージしやすくなるので

いい情報収集になると思いますけどね。


“とりあえず3年”はもはや死語です
その間に積み上げた実績や
培った強みも何もなければ
時間を無駄にしたも同然です


これまた“魔王様”の辛辣なセリフです。

初対面の求職者にすごいこと言ってます(笑)

これはちょっと、
乱暴な意見のような気がしますね。

3年間で得たものが本当に何もないのであれば
そう言えるかもしれませんが

目の前の仕事を真摯に取り組んだ人なら
何かしらの成長や経験値の積み上げ
きっとあるのではないでしょうか。

まぁ、中途採用で応募してくる人の大半は
「後ろ向きな理由」で前の会社を辞めています。

「自分は営業に向いていない」
「人間関係になじめない」
「社風が合わない」

などの理由で
軽々に見切りをつける人もいますが
順応性や適応能力に課題があるのかも。

「自分に向いている仕事」
「自分がやりたい仕事」

が明確にできたのなら早期退職もありですが
ぐっと堪えて壁を乗り越えることで
世界が広がる可能性もあります。

いまの世の中
ひとつの会社で定年まで勤めあげる人は
かなり少なくなっているとはいえ

「辞めどき」の判断は非常に難しい。

厚生労働省の調べによると
大卒者3年目以内の離職率
全体の約3割程度です。

少なくとも3年間はキャリアを積もう
と考える人が多いんでしょうね。

「石の上にも3年」ということわざの通り
社会人として独り立ちできるのが3年目ぐらい
ということなのかもしれません。

ちなみに
新卒入社3年未満での転職活動は

忍耐力やストレス耐性を疑われるという
デメリットがある反面

第二新卒枠で転職活動ができる
メリットもあります。

閑話休題

小芝風花さん演じるヒロインは
パワハラ上司の言動によって

味覚障害を起こすほどボロボロの状態でした。
(観ていて痛々しかったです)

この状況であれば
“とりあえず3年”なんてとんでもない。
即刻辞めるべきでしょう。

これについて、“魔王様”の言葉は重いです。


パワハラは殺人です

人は、合わない仕事をしていると
肉体的にも精神的にも殺されるんです

自分の価値を他人の価値観に委ねるから
ブラック企業でこき使われて
壊れたら捨てられるんですよ
自分の価値くらい
自分の価値観で測ったらどうです?


来栖さんってば、厳しい。

転職希望者に退職理由を聞いてみると
極端な長時間労働や過剰なノルマ

残業代・給与等の賃金不払
ハラスメント行為の横行など

こんな劣悪な労働環境の企業が
いまだに存在するのかと
驚かされることがあります。

真面目で責任感が強い人ほど
ほんとうに「殺される」に等しい状況に
陥るような気がします。

そんなブラック企業に対して
義理も恩義も感じる必要はまったくありません。

あなたの能力を発揮できる環境
もっとふさわしい輝ける場所があるはず。

自己肯定感を取り戻して
転職を成功させるお手伝いがしたいと
使命感のようなものを覚えます。

一人の人間ができることなんて
一人の人間の仕事なんて
意外とたいしたことはない
どんな人間にだって代わりはいる
それでも人は働くんです


わたしが20代のころ
ツレのひとりに
飲食店ではたらくフリーターがいました。

責任感MAXの彼はときどき
仲間との約束やイベントをすっぽかして
バイトへ行くことがありました。

そのときに、彼はいつもこう言うんです。

「俺がいないと店がまわらない」

ほくは心の中で

「んなわけねーだろ」

「むしろ、いないほうが
グルグルまわるんちゃうか」→性格悪っ!笑

「もし仮にそうなら、そんなギリギリな店は
早くつぶしてあげたらいいのに」

なーんて思ってました。

話が逸れましたが
「今やめたら会社に迷惑がかかるので
と言って

転職時期を先延ばししたり
せっかく得た内定を辞退する人がいるんです。

気持ちはわかりますが
ほとんどの場合、なんとかなるでしょう
あなたの代わりはいますから。

そういう人にこそ、来栖“魔王様”の言葉
「あなたの人生、このままでいいんですか?」
を声を大にして言いたい。

迷惑をかけてやれとは言いませんが、
仕事は自分らしく生きるためにやるべきです。


さらに“魔王様”の次の一言も考えさせられます。

今の自分を子どもの頃の自分が見たらどう思うか

石田ゆり子さん演じる社長のセリフにも
こんな名言がありました。

仕事を選ぶことは生き方を選ぶこと


学生の頃は楽しかったなー
と過去の思い出に浸るような人生はさみしい。

「今」「これから」を楽しみたいですよね。

だって、仕事をしている時間は
人生のかなり多くの部分を占めている
わけですから。

それが、つまらなかったり
できれば放棄したいくらいイヤなもの
だとしたら、その犠牲はあまりにも大きい。

日々さまざまな求職者と接していますが
モチベーションの低い人ほど

お金のため、生活のために仕方なく」
はたらいているように感じます。

出発地点となるのは
「自分が将来どうなりたいか?」
を考えることだと思います。

自分なりの理想の姿・生き方をイメージして
それに近づいていくというビジョンを持って
仕事を選ぶことが大切ではないでしょうか。

それに本来、仕事というものは
社会のニーズから生まれていて

そこで成長し能力を発揮することで
人は社会への貢献を感じることができるはず。

その充実感は
「やりがい」や「生きがい」
つながっていくものだと思います。

そういう仕事(企業)との
橋渡しができればいいなと思いながら

求職者との面談の際には
過去〜現在〜未来の話をじっくり聴きつつ
少しのアドバイスをさせてもらっています。

今度、“魔王様”になり切って
求職者の方に言ってみようかな。

「あなたの人生、このままでいいんですか?」

あかんあかん、クレームきそう(笑)

というわけで
今夜は『転職の魔王様』第6話ですね。

一話完結なので
気になる方は観てみてください。



最後まで読んでいただき
ありがとうございました。

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