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『転職の魔王様』の名言に思うこと⑤


あなたの人生、このままでいいんですか?

来栖 嵐(キャリアアドバイザー)


毎週月曜、夜10時から放送中のドラマ
『転職の魔王様』も最終話が迫ってきました。

“転職の魔王様”の異名を持つ
敏腕キャリアアドバイザー
心えぐる辛辣な言葉を突きつけながらも
求職者の働く自信と希望を取り戻させる
爽快なストーリーです。

流行のインフルエンザにまんまとやられまして
かなり遅くなりましたが
今回は第9話についてです。

成田凌さん演じる来栖さん(魔王様)の
名言をクローズアップしつつ
現役のキャリアアドバイザーとして
私見を述べさせていただきます。

ちなみに、前回の第8話はコチラ↓




“ひきこもり”の求職者


第9話の求職者は、転職エージェントの
社長(石田ゆり子さん)の元恋人で
43歳の“ひきこもり”男性でした。

真面目で優しい小学校の教師だった彼は
10年前に突然辞職し、以来ずっと部屋に
ひきこもっている状態だったんです。

“ひきこもり”とは、仕事や学校に行かず
家族以外の人との交流を避けて
孤立している状態にある人のことをいいます。

今年の3月末に、
「ひきこもりの全国推計146万人(15~64歳)」
という調査結果を内閣府が発表しました。

これは生産年齢人口において
50人に1人がひきこもり状態であることを
示しています。

ひきこもりといえば男性が中心でしたが
女性が40歳~64歳の層で半数を超えたこと(52.3%)も注目されました。

コロナ禍の影響などで、退職をきっかけに
ひきこもり状態になる人も多く、
わずか4年で30万人も増えているとのこと。

不登校など、若い子に多いイメージだったのが
いまや39歳以下よりも40歳以上のほうが多い
というのは驚きです。

特に、80歳代の親と
50歳代のひきこもっている子がいっしょに暮らす
状態は「8050問題」と呼ばれています。

年金暮らしの親の収入に
無職の子どもが頼っている不安定な生活で
親が高齢になって亡くなった後、
その子どもがさらに孤立し困窮するという
大きな問題です。

これはもう、社会全体で取り組むべき課題
のひとつと言えます。


“ひきこもり”の転職


社長の姪でもある千晴(小芝風花さん)は
“ひきこもり”の求職者に対しても真剣でした。

社内で先輩キャリアアドバイザーたちに
質問します。

千晴(小芝 風花さん)
「ひきこもりの方が、求職者としていらしたら
 どうなるんでしょうか?」


広沢(山口 紗弥加さん)
「何年ひきこもってて何歳かによると思うけど」

千晴(小芝 風花さん)
「10年ひきこもってて43歳の方だとしたら…」

山口(おいでやす小田さん)
「それはかなり難しいでしょうね」

広沢(山口 紗弥加さん)
「親の介護とか、どうしようもない理由があれば
 企業側にも理解してもらえる可能性はあるけど
 それだけの空白期間があるとなると
 雇うほうは躊躇するだろうね」


天間(白洲 迅さん)
「そもそも本人に働くつもりがあるかどうかも
 問題になってきますよね」

これはもう、彼らの言う通りです。
10年というブランク期間が長過ぎるんです。

採用する側は、選考の軸として
「長期で活躍してくれる人材であるか」
を重要項目に置いています。

ブランクの影響とは?


今回の10年は極端ですが、
数ヶ月〜数年程度のブランク(空白期間)がある
求職者は珍しくありません。

転職活動においては
離職期間が長ければ長いほど
マイナスな印象
を持たれてしまいます。

採用する側の視点に立つと
リスクチェックの目線も必要なので
ブランクはどうしても気になるんです。

わたしも、ブランクありの求職者との面談では
必ず「理由」「何をしていたか」
確認しています。

聞いてみると
・転職活動が長引いている
・体調を崩して療養していた
・専業主婦をしていた
といった理由が多いでしょうか(派遣も含む)。

とにかく、
ブランクがある人、ブランクが長い人は
ネガティブチェックの目線で見られるという
点を理解しておく必要があります。

そして、必ず面接で質問されるので、
きちんと準備しておいたほうがいいですね。

もちろんウソはダメです。
深く突っ込まれて
見破られるかもしれないですし
面接はやはり「正直」が好印象ですから。

ブランクをどう伝えるか?


職務経歴書を見てブランクが長い人に対しては
「この期間、どう過ごしていたのだろう?」
と純粋に気になりますし
面接なら必ずといっていいほど質問してきます。

仮に家でダラダラ過ごしていた
フリーターやニートの人であったとしても
「何もしていません」はさすがに避けたい。

たまに「家庭の事情で」と煙に巻こうとする人
もいますが、これもおすすめできません。

採用担当者に
納得感と共感を与えることが重要です。

理想的なのは
自分なりのプランや考えのもと
「その期間で何を学び、
 それを今後どう生かしたいのか」

を語れることです。

たとえ後付けであったとしても
「休んでいた時間が
 自分にとってどのような意味があったのか」

を説明できるようにしたいですね。

対策として、わたしはよく次の3点を聞きます。
資格や語学の勉強をしていなかったか
家族の介護をしていなかったか
単発の仕事をしていなかったか

何かあれば、ストーリー性をもって
その期間が有益であったと伝えられるように
アドバイスします。

いちばん悩ましいのは、体調不良です。
体調面に不安を抱えている人を
採用してくれるほど、企業は甘くありません。

今時点で心身ともに健康であることに加えて
「なぜ体調を崩したのか」を言語化できることも
必要になります。

ここがフワッとしていたり
原因が自分の中で消化しきれていなかったり
すると厳しくなります。

「うちの環境なら心配なさそうだな」
と採用担当者に思ってもらうことが必要です。

大事なことは、ブランクがいかなる理由であれ
ポジティブに解釈して伝えることです。

気持ちを時系列に沿って伝えることで
ブランク期間の経験を、志望動機につなげて
話すことができればベストだと思います。


“魔王様”の名言まとめ


ここまで魔王様の名言をまったく
取り上げていなかったので
まとめてピックアップしてみます。

まずは、ひきこもりの元恋人に冷たくあしらわれ
落ち込んだ表情で戻ってきた社長
(石田ゆり子さん)へ魔王様がかけた言葉です。

心配して待っていた千晴(小芝風花さん)に
「大丈夫」と答え、気丈に振る舞う社長に対し
ゆっくりと語りかけます。

社長だって誰かを頼ってもいいと思います
ひとりで全部を抱え込まないでください
ひとりで生きていける人間なんていません

つらいときに部下からこんな言葉をかけられたら
泣いちゃいそうです。

そして、その後あのセリフも…

あなたの人生、このままでいいんですか?

って、アンタそれ社長にも言うんかーい!!

部下からこんな言葉をかけられたら
ムカつきそうです(笑)

その後、“ひきこもり”の求職者の彼にも
“魔王節”が炸裂しました。

過去は変えられません
でも未来は変えられます
いつまでも過去にとらわれず
今を生きてください

いい言葉ですね。
わたしの座右の銘にもそっくりです↓


おわりに


第9話は、社長のピンチに
オフィスのみんなが立ち上がり支えるという
人情味あふれる回でした。

わたしに何かできることない?
手伝わせてください

こう言い合える組織って素敵ですね。
わたしも周りで誰かが困っていたら
積極的に言ってみようと思いました。

そして、人と人のつながりがもたらす奇跡
をしみじみと感じる回でもありました。

小学校の教師だった男性が
ひきこもりになった生徒に語った言葉。

どんな形でもいいから
人とつながることをあきらめないでほしい

さらに、社長(石田ゆり子さん)が語った言葉。

人の気持ちを動かすのは、やっぱり人なんですね

このふたつの言葉から、
ふと辻村深月さんの『かがみの孤城』
思い出しました。

“ひきこもり”中学生7人の心の葛藤を描いた
2018年本屋大賞の名作です。
未読の方にはかなりオススメですよ。

最後に、個人的には
石田ゆり子さんのキレイさも
今回の見どころだったと思いました。
(いつにも増して登場シーンが多くて)

53歳にしてこの透明感とオーラはすごい。
放っておけないぐらいキレイなのに、
なぜ独身なんでしょうか、余計なお世話ですね。

結婚するのだけが幸せだなんて
あなたの思い込みだよ
わたしはちゃ〜んと幸せだよ

という9話中の彼女のセリフに言霊というか、
役を超えたものを感じてしまったのは
わたしだけ?(笑)



というわけで
最後まで読んでいただき
ありがとうございました。

はたらく方たちに少しでも
ヒントや元気をお届けできるよう
投稿していきますので
よろしくお願いいたしますm(_ _)m

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