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餅は餅屋は当たり前。出会いたいのは「知る人ぞ知る餅屋」

突然ですが、皆さんは専門家にお金を払って何かを相談したことってありますか?
私が営む「カウンセリング」もそうですが、法律や税務の相談など、生活する中で専門家の知恵を拝借するのに利用した、または利用してみたいと思った経験は、一度くらいはあるのではないでしょうか。

しかし、日本では「お金を払って(まで)専門家に相談する」というのは、あまり馴染みがないように思います。まずは、インターネットで検索したり、身内や知人・友人に相談したり、あるいは本で調べたりして、それでも解決しない時に「専門家に相談しよう」と思うことが多いのではないでしょうか(わが身を振り返っても)。

そして次は、無料で相談できる「専門家」を探すのではないでしょうか。実際、弁護士や税理士は初回相談料を無料にしている事務所も多いですし、各市町村でも、住民が専門家に無料で専門相談ができる日が設けられていたりします。

つまり、お金を払ってまで相談をするのは、無料相談をしても解決しないなど「よほどの時」と言ってよさそうです(わが身を振り返っても)。

さて、「餅は餅屋」という諺があります。

「餅は素人が家でついたものより、餅屋がついたものが一番おいしい」。
その道のことはその道の人に任せるのが一番、という意味です。

最初にこれを言い出したのは、果たして餅を買う側(サービスを受ける側)だったのでしょうか、それとも売る側(サービスを提供する側)だったのでしょうか。
普通は、買う側が「やっぱり家でついた餅より、プロがついた餅の方がおいしいな!」と言い始めたのでは?と思うものでしょう。
しかし、私は「美味しい餅をつけるようになるまでに、必要とされた知識や経験の量」を体験的に知っている「売る側」の実感から出てきた言葉ではないかと、思っています。

私も臨床心理士として、幼稚園や保育園で先生方から「普段、気になっている子」の相談を受けるようになって十数年が経ちますが(キンダーカウンセラーや保育巡回相談員と呼ばれる仕事です)1年目、2年目、3年目・・・と経験を重ねるごとに、知識の量はもちろんのこと、先生方への説明の仕方、カウンセラーとしての保護者とのかかわり方、子ども達がよりのびのび、よりすくすく育つための工夫やアイデア等々、幼稚園や保育園から求められるカウンセリングスキルは、確実にバージョンアップしていると感じます。
(反対に、1年目や2年目に担当した子どもや担任の先生には、もっと違った角度からの見方や、アプローチがあったのになぁ…と今となっては申し訳なく思います。)

このように、ただが十数年「一つの道」に携わっているだけの私のような者でも、そこそこ積み上げているものが増えてくると「その道」という言葉の重みや「専門性」と呼ばれるものの奥の深さがわかってきます。

「専門性」と言うと大げさに聞こえるかもしれませんが、例えば毎日台所に立って家族のために料理をつくっている主婦(夫)は「我が家の味」についての高い専門性を持っています。自分なりの手順や調理のコツ、味付けや盛り付けなど、積み重ねられた知識と経験から、料理を手際よく完成させることができます。これは、たまにしか台所に入らない他の家族には、そうそう真似することはできません。

さて、このように知識や経験を積み重ねて専門性を身に付けてきた専門家は、他のあらゆる領域の専門性にも、同様の奥深さがあることを知っています。今、私がもし、自分の専門以外の問題を抱えたら、間違いなく「その道の専門家」を探して相談します。「餅は餅屋」「急がば回れ」の意味が身に染みて分かっているからです。さらに言うと「その道の専門家」の中でも、尋ねたいことを専門、得意分野とする人を探します。
美味しい月見団子が食べたいと思ったら、餡子(あんこ)も美味しい餅屋を選ぶのに似ています。「知る人ぞ知る餅屋」です。

ただ、ここには結構高いハードルがあります。
そういう餅屋ほどひっそりと存在してたりするからです。
素材や工程にもこだわっているところだと値段も高いかもしれません。
でも「知る人」は買ってくれるので宣伝する必要がありません。

そう、そもそも見つけるのが難しいのです。

私も、いくつかの専門領域の「知る人ぞ知る餅屋」を知っていますが、ホームページは作られていないか、あっても驚くほど簡素だったり、更新がされていなかったりします。SNSアカウントがあっても発信は少なく、フォロワーも少ないのです。宣伝費にお金をかけなくても売れるのですから当然なのかもしれませんが、なかなか興味深い(探す側からすると困った)共通点です。

「腕のいい開業医」にも、似たところがあります。
「知る人ぞ知る名医」がいる診療所は、宣伝していないのに、はやっています。新患は、通院中の患者さんからの紹介がある人しか受け付けていない、というところもあります。噂を聞きつけたメディアが取材を申し込んでも、これ以上の患者さんは診られないから(マスコミに取り上げてもらっても困る)断った、というところもあります。

ちなみに、私が運営するカウンセリングルームも、現在、新規のカウンセリングは紹介者がいる方のみとさせていただいています。ですが、これは上のような「腕のよさ」によるものではなく、単に私が請け負える人数に限界があるからです。カウンセラーは「代り」がいない仕事です。またカウンセリングは「相談」とは違い、中長期に渡ることも多いので、私が責任をもって対応させていただける人数を維持するためにも紹介制をとらせていただいています。

閑話休題。
「知る人ぞ知る餅屋」には、なかなか出会いにくいものです。
信頼できる人から紹介してもらえるならそれが一番ですが、そうでない場合はホームページ等で目星をつけて突撃してみたり、無料相談を何軒かハシゴして、相手の専門性を探りながら、探すのが良さそうです。

相手の専門性を探る…そんな自信ないわ、という方は第三者、できれば近接、関連領域の専門家に同席してもらうのも一つの方法です。私は仕事柄、相談者(私のクライアントさん)の弁護士相談に同席させていただくことも多いのですが、客観的な立場で、被相談者(この場合だと弁護士さん)と相談者(私のクライアントさん)のやり取りを見ることができるので、相談者が知りたい答えが返ってきているか、話のかみ合い具合、被相談者の専門性や経験が相談者が求めるものに一致しているか、など第三者なりに気づけることが、意外とたくさんあったりします。ご参考まで。

【おまけ】
「月見団子なのに、あんこ?」と思われた方へ。

一般的な月見団子のイメージはこれですが…

私の月見団子のイメージは、生まれ育った関西の月見だんごです(↓写真の右側。だんごと言うよりお餅ですね)。フリー素材が見つからなかったので、地元のタウン情報誌 Leafさんへのリンクをはらせていただきます。

今、住んでいる沖縄の月見団子はこれまた全然違います。「ふちゃぎ」と言って、小豆(あずき)がたっぷりまぶされています。
この小豆は、なんと!甘くありません。
砂糖、きな粉など、その人が好きなものをまぶして食べるものなのだそうです。

沖縄の月見団子「ふちゃぎ」

沖縄の月見団子は、食べる人のことを思って作られたお団子なのですね。
ふちゃぎは、私はお砂糖ときな粉、両方まぶして食べるのが好きです!(←誰も訊いてない)


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