見出し画像

自分にぴったりのカウンセラーの探し方

突然ですが、「カウンセリングを受けたいな」と思ったとき、皆さんはどのようにして探されるでしょうか。

ネットで検索したり、誰かに紹介してもらったり、駅などの看板や雑誌広告で見つけたり、あるいは心療内科や精神科に直接尋ねてみられたりするかもしれません。

ですが、日本では色々な種類の「カウンセリング」があり、色々な「カウンセラー」がいらっしゃいます。

ざっと思いつくだけでも・・・

脱毛に悩んでいる人のための「カウンセリング」、ダイエットやトレーニングジムで受ける「カウンセリング」、転職や就職活動するときの「カウンセリング」。

カウンセラーという名称に至っては、結婚カウンセラーに終活カウンセラー、例え「心理」カウンセラーと頭に専門家風の言葉がついていても、専門学校やカルチャースクール、通信教育で取得できる、独自の認定資格であったり、学校の先生が退職された後「教育カウンセラー」と名乗っておられるなど、枚挙にいとまがありません。

なぜなら、日本には今のところ「カウンセラー」に関する法律がなく、誰もが「カウンセラー」と自称することができるからです。

でも「病院に行くほどではない」心の問題を抱えられた時は、迷わず「心の専門家」である「臨床心理士」の所へ行ってください。 専門の大学院で臨床心理学を学び、実習で2年間、カウンセリングの訓練を受けた人が取得できる資格です。

臨床心理士によるカウンセリングは、精神科、心療内科などの病院やクリニック(医師による診察とは別枠で、心理士によるカウンセリングを実施しているところ)や民間のカウンセリングセンター、個人開業の相談室などで受けることができます。
カウンセリングは1回50分、料金は5,000円~が標準的です。
頻度は、カウンセラーと話し合った上で週1回、月〇回など、定期的に通うことになります。

病院やクリニックなどの医療機関に併設されているところだと、健康保険が適用されるところもありますが、その場合は精神科医の診察がセットになっていることが多いため、人によってはハードルが高いと感じられるかもしれません。

以下のサイトでは、お近くの臨床心理士がいる機関を探すことができます。
いざという時にはご活用ください。

臨床心理士は、「公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会」の認定資格で、国家資格ではありませんが、スクールカウンセラーの選考条件になるなど、国(文部科学省)にも認められている資格です。

とはいえ、臨床心理士にも、得意・不得意分野があったり、専門とする技法(心の問題を解決するための理論や方法)も違います。また、あなたとの相性の良し悪しもあるでしょう。初回、長くても最初の数回で、
「この人とだったら、自分が抱える問題に取り組めそう」
「一緒に考えてくれそう」
と思うカウンセラーを選ぶことをお勧めします。
カウンセリングがある程度、進んできてからのカウンセラーの変更はお勧めしません。
ただし、カウンセラーに倫理や法律に反する行為がある時を除きます。
(例えば、ハラスメント行為、恋愛感情をほのめかす、面接室の外で会いたがる、サプリメントなどの特定の商品を勧める、など。)

さて。
一番書お伝えしたかったことが最後になってしまいました。

カウンセリングというと、心の病に罹っている人や、心が弱い人が受けるもの、と思われがちです。実際、精神科や心療内科などで実施されているカウンセリングでは、そのような状態の人に治療的な効果がある技法が使われています。日本では一括りに「カウンセリング」と言われることが多いのですが、治療的な効果がある心理的な関りは「心理療法」と区別されて呼ばれています。

しかし本来、カウンセリングというのは、健康な人がより健康に人生を送るために受けるものです。
分かりやすい例は、「スクールカウンセラー」でしょう。
いわずと知れた、学校で生徒や先生、保護者の相談にのるカウンセラーです。

スクールカウンセラーには、友達関係、部活のこと、勉強のこと、家庭のことなど日常的な悩みを相談できる

スクールカウンセリングでは、学校に来て授業を受けたり(先生は授業をしたり)、部活をしたり(先生は指導をしたり)と、日常生活を送る中で、出てくる悩みをカウンセラーに話すことで、解決を目指していきます。
つまり、健康な人が日常生活の中で抱えた悩みを、カウンセラーとともに解決し、よりよい毎日を、よりよい人生を送るために、カウンセリングを受けているわけです。

「カウンセリングは特別なもの」と思わず、ひとりで悩み事を抱えるのが辛くなった時には我慢せずに、カウンセリングを活用することを選択肢に入れてみてください。

あなたにぴったりのカウンセラーと、出会うことができますように。


【参考】
心の専門家には、臨床心理士の他に「公認心理師」という資格があります。国家資格ですが、2018年に第一回試験が実施された比較的新しい資格です。公認心理師は、2022年度の試験までは、心理学やカウンセリングを専門的に学んでいない人や、必ずしも心理の仕事を専門にしていなくても受験することができる「経過措置」期間がありました。社会保険福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、看護師、学校の先生など幅広い職業の方が受験し、合格されています。初期の公認心理師資格取得者の中には、様々な専門性やバックグラウンドを持つ人たちが活躍されています。

参考文献:幼稚園版スクールカウンセラー 導入・活用・実践ガイド(2022) 丸山直子著 日本法令



いつもありがとうございます。 いただいたサポートは、書籍の購入や学会等の参加費に活用し、皆さんのお気持ちを社会に還元できるよう、これからの発信に繋げていきます。