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少女ではない私の二日酔い日記

2023.4.29 10:53

窓際にいる。風が強い。レースのカーテンが、風をはらんでぶわりと膨らむ。
桜庭一樹の『ファミリーポートレイト』を読もうとした。16歳の私に、頭を殴られたような衝撃を与えたこの本は、ずっと心の中の特別な位置にある。
主人公が酒と煙草と文学に溺れる第二部から読み始めたが、ここ三日ほど何度も読もうとして、ついさっき諦めた。

読めないのだ。高校生の私の琴線に触れた言葉選びや物語は、いまの私にはもう受け取れないものになっていた。
桜庭一樹の文体が一人称で、口語的(言ってしまえばラノベ的)であるからかもしれない。あんなに心を、いや脳みそを揺さぶった大好きな本が読めないなんて。

歳を取った、などと言ったら、若造のくせにと笑われるだろうか。でも夢中で桜庭一樹を読み漁ったのは、もう8年も前のことだ。仕方のないことかもしれない。桜庭一樹は少女のための小説で、私はもう少女ではない。

昨日、風呂上がりにジントニックを飲んだら、信じられないほど酔った。水を飲んでも飲んでも酔いが醒めず、寝る頃には頭が割れるような頭痛になった。氷枕に額を押し当て、無理やり眠った。
朝になっても頭痛は残っていたが、水分をたくさん摂るとだいぶ治まった。
朝食にホットケーキを焼いたが、気持ち悪くてひときれしか食べられなかった。とてもきれいに焼けたのに。

というわけで今日は音楽をかけていない。静かに過ごすのもいいものだ。
鳥がぴちぴちとさえずっていて、遠くで車の音と、芝刈り機の音がする。

件のSNSで最近よく話す男性は、いい人だけれど過干渉だ。
なぜか随分私のことを気に入っており、私が他の人と話しているところを見ると、「俺以外にも仲いい人いるんじゃん」と嫉妬心を剥き出しにするし、何かというとアドバイスをしたがる。そして、話が長い。
私には「人との距離感を気をつけるように」「男性を勘違いさせないように」と口幅ったいことを言うが、距離感がおかしいのはそちらでしょうと言いたくなる。

面倒だ。なぜ40代の既婚者にばかり気に入られるのだろうか。若くて独身の男ならいいという意味ではまったくないが、ややこしいことになったのは全員40代で、これで3人目なので少々辟易する。

会おうとか顔写真を寄越せとか言われれば即座に切る理由になるのだが、その人は「ネットの相手には会わない」主義なのでたちが悪い(悪いって言うな)。
明確に切る理由を見つけられないまま、相手が悪い人ではないのでずるずる時間を使ってしまう自分がもう見える。なにやってんだろう。

知り合って一週間ほどでこんなに疎ましく思ってしまうのだから、きっとうまくいかないだろう。人付き合いは難しい。こんなばかばかしいことをしていないで仕事を探さないといけないのに、酩酊していて動けない。愚かだ。

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