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労働の喜びを感じた話

午前中はバイトをして――本当はパートだが、何が違うのかわからないしバイトと呼ぶ方が慣れているので――、お昼は卵かけごはんで、バイト後のお決まりの昼寝をして、むくりと起き上がって夫の分のお米を研いだ。

いつもこの時間はアイスカフェオレを飲むのだが、突然アイスティーが飲みたくなって、リプトンのイエローラベルを2パック使って作った。しかし山盛りに氷を入れてもぬるくて、結局一口しか飲まずに冷蔵庫に放り込んだ。喉がかわいて麦茶を飲む。
いい加減聞き飽きたスピッツとCreepy Nutsを聞くでもなく流しながら、だらりとだらけた一人の午後を過ごしている。

5月のおわりにバイトを始めた。
歩いて行ける距離のスーパーで、お惣菜を作っている。ほぼ最低賃金だが、立ちっぱなしの足が痛い以外には特につらいことも難しいこともなく、楽な仕事だ。なにより、午前中の4時間だけ働けるのがいい。前のバイトを辞めてから、まる一年働いていなかった私のリハビリにはもってこいなのだった。

新しい経験をするのが好きなので、バイトは今までやったことがないものを選ぶことが多い。
手袋をして、焼きそばを手でつかんでパックに入れるなんて初めてだった。まだ温かい焼きそばの麺の、にゅるりとした感覚は面白い。
巻き寿司を人が手で巻いているとは知らなかった。機械がある店もあるらしいが、当店は巻きすで一本一本巻いている。一度だけやらせてもらったが、うまくできなかった。家で練習した方がいいかもしれない。

調理をしたわけではなくても、自分の詰めたお弁当が売れているのを見ると嬉しい。わかりやすく、ああ私は今日誰かの役に立ったのだなぁと思える。私が一部を手伝った仕事の成果で、誰かのお腹が膨れたのだ。そう思うと、単純に嬉しい。いろいろなバイトをしてきたけれど、ここまでシンプルに人の役に立つ仕事は初めてかもしれない。
誰でもできる簡単な仕事かもしれないが、私はいまの仕事が気に入っている。

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