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いい大人がハリウッドでカツアゲされた話

旅は時として、思いも寄らぬハプニングをもたらしてくれます。

そのハプニングひとつで、訪れた土地が大好きになったり、はたまた嫌いになったり。旅自体の印象も大きく左右されますよね。

良くも悪くも、忘れられない想い出となって心に刻まれることは確かです。

今回は、そんなハプニングのお話。


1.はじめてのロサンゼルス

ボクの2回目の海外出張はロサンゼルスでした。

大変ありがたいことに、会社の上司や同僚がとてもよくお膳立てをしてくださって準備は万端。おかげで、仕事に関してはひとかけらの不安もなく旅立つことができたし、実際とてもたくさんの学びと収穫がありました。

ダウンタウンで開催される国際的なマーケティングカンファレンスに参加し、著名マーケターSimon Sinekの講演を聴いてサイン本をもらい、別の大御所との個別ミーティングではマーケティングオートメーションの最先端に触れることができた。彼を当社のセミナー講師として招聘する算段もとりつけた。

十分な手土産を手に入れた。さあ、あとは遊ぶぞ!
ところが、ハプニングはそこに潜んでいたんです。

2.ハリウッド事件

5泊7日の旅の最終日前日、ボクは解放感に満たされつつ、朝からハリウッドにいました。

地下鉄のハリウッドバイン駅

もともと映画好きで、過去観たハリウッド作品は数知れず。ロサンゼルスを訪れることがあれば絶対行きたい場所でした。

この日のプランは、ホテルのあるダウンタウンから電車でハリウッドを訪れてから、ロデオドライブ→サンタモニカビーチを路線バスで巡る、というものでした。

我ながらシブい。でも、内心、路線バスの治安てどうなんだろうと少しドキドキしてました。

ところが、「事件」は、路線バスではなく、ハリウッド到着後まもなくして起きました。

目貫通りであるハリウッド大通りを、チャイニーズシアターに向かって独り歩き出したボク。

と、そこへ、1人の青年が近づき、ボクに話しかけてきました。20代とおぼしき黒人でとてもフレンドリー。

どこから来たの?日本?どこに行くの?ブラブラ?いいねえ。

解放感から心の扉を全開にしていた無邪気なボクは、人のよさそうな現地人と話が弾んで嬉しかった。その時までは。

5分ほど雑談した頃、彼は懐からまず1枚のCDを、続いてポケットからサインペンを取り出し、"What's your name?"と聞いてきました。

素直に自分のニックネームを伝えるボク。

すると彼は、手慣れた仕草でサインペンを走らせ、そのニックネームをCDの盤面にカッコよく書き上げました。自分のサインを添えて。

で、"It's for you"と言って渡してきました。

なんや、お土産くれるゆうんかいな、ええヤツやん。
わい、CD聴かへんけどな。てゆうか、CDを再生するマシンないねんけどな...と内心思いながら受け取るボク。
※本当は関西人ではないのですが、なんとなくこの場合関西弁の方が雰囲気が出る気がしたのでこれで行きます。

Thank you!と返したところで、目の前に突き出されたのは、手のひらを上に向けた彼の手。

は?何なん?なんかお返しが欲しいん?

お金を要求してきました。

!!!!
なんやて!?

やられました、ふざけた話です。ここは日本人代表として舐められるわけには行きません。

No, definitely no. Why do I have to pay you?
I've never told you that I'd buy it from you.
Isn't it a gift for me?
絶対イヤや。なんで払わなあかんねん。
だれが買いたいゆうた?
プレゼントちゃうんかい!

この時必ずしも冷静とは言えなかったボクは、抗議をまくし立てます。

しかし、敵もさるもの。何を言っても、10分経っても一歩も引きません。なだめたりすかしたりされるうち、面倒くさくなってきました。だって、まだ今日の楽しい予定の第一歩ですよ?

とうとう根負けし、お金で解決することにしました(チキン)。

持ってかれました、25ドル!

この金額に落ち着いた細かな経緯は覚えてないんですが、これだけは覚えてる。
コイツに一度15ドルほど払ったら、今度はななめ後ろで彼女風を装って、にこやかに突っ立っていた女を呼び寄せ、彼女は僕のマネージャーだから、彼女にもマージンを払ってくれ、特別にもう1枚CD付けてあげるし....だと。

😶!!

何それ?クソガキが!何が特別に♡やねん!
その時もまた5分ほどあーでもないこーでもないと抵抗。しかしそれもまた虚しく、最終的に、えーい持ってけ10ドル!
二度とオレの前にそのツラ見せんなや!
と言ったかどうかは忘れましたが、諦めました。
ということで、トータル25ドル飛んで行きました。

トホホ....出だしから台無し。
なんやこの街。腐っとる。

胸糞悪い思いを抱えながら、再びチャイニーズシアターの方へ、トボトボと歩みはじめます。

すると、数歩進んだところで、今度は右後ろから、デカい黒人の若者に声をかけられました。

ん!なんや、またか!

興奮冷めやらぬボク。全身をハリネズミにして警戒アンテナを張り巡らせながらWhat!?と対応。(無視すりゃいいのに)

  • 男:一部始終を見ていたよ、大変でしたね。最近ああいうヤツがいるんで気をつけないといけませんよ。どこに行かれるんですか?僕が案内しますよ。

  • ボク:コイツ、ええもんか?見た目によらず優しいやん。

もはや、典型的なカモです。絵に描いたような、綺麗なカモです。

ボクの歩調に合わせて歩きながら

  • 男:彼女が東京にいて、サヨコって言うですよ、ホラ写真みてやってください、かわいいでしょう?日本大好きです、うんたらかんたら...

  • ボク:あ、これは完全にええヤツやん。
    でも、ありがとう、ボクは1人で旅を楽しむから。
    君の彼女によろしく伝えてください、じゃあね!

と言ったところで、

  • 男:わかりました、あ、ちょっと待って、記念にあげたいものがあります。

嫌な予感。

  • ボク:でも今、記念にあげたいゆうたよな?てことは純粋なプレゼントやんな?タダやんな?

はい、またいただきました、ボクの名前入りCD2枚セット笑

そして、出ました、手のひら!笑

はあ...ものの15分もせんうちにRound2かいな...

再びまくしたてます。今度はヒートアップして、最後は日本語でどなるボク。
ちょっと他の通行人も異変を察し、何だ?トラブルか?と視線が集まってきました。

しかし、誰も介入してはくれませんでした。

あまりの剣幕に、敵も血色ばんできて、ほなちょっと暗いところ行こかと肩をつかもうとする始末。

これ以上はヤバい。いくら悔しくて不甲斐なくても、ボクには日本で帰りを待つ家族がいる。不幸にさせるわけにはいかんのや。。

完全に冷静さを失って、結局出し惜しみしながらも最終的に15ドル払いました。いや20ドルだったかも知れない。

聴く気も、聴く装置もない、知らないガイジンのCD2枚に45ドル...

朝からドッと疲れました。
ホンマ、クソみたいな町やで....
何がハリウッドや。これやったらインド行かんでも「ボリウッド」やないかい。。

そして、チャイニーズシアター、どんだけ遠いんや。もうみる気もせえへんけど。

意地でも写真だけは撮ったチャイニーズシアター


そのCD、いまだに”負の遺産”としてとってありますよ。ホラ。

世界アホくさ遺産


3.そして今思うこと

そんなこんなで、このハプニングは良い教訓になりました。

今でもトラベラーとしては序の口ですが、この時は(社会人になってから)2回目。ピカピカの初心者でした。

なのに粋がって単独行動などして。家庭もあるのに。あとでこっぴどく奥さんに叱られました。45ドルカツ揚げされるより怖かった笑

この「ハリウッド事件」以降、海外に行くときには、現地にあらかじめ信頼できるトモダチを作っておくようにしています。できるだけ。

言語交換アプリやカウチサーフィン、その他アプリを駆使すれば、いざとなれば一晩泊めてくれるくらいの関係を作ることもできます(実際に泊まることはありません)。

しかし冷静に振り返ってみても、ハリウッド自体はさほど感慨深いと思うことはなかったかな。負の想い出を差し引いても。子供だましっぽいと思ってしまった。深く見て回ったわけではないので怒られちゃうかもしれませんけど。

あなたはハリウッドについて、どんなイメージや想い出を持っていますか?

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!また次の旅でお会いしましょうε-(´・`) 


おまけ

路線バスの旅の写真をいくつか。

バスは、それなりに警戒しながら乗りましたが、今回は安全でした。それほど所得の高くないとおぼしき乗客が多かったように見えましたが、特筆すべき異質さは感じなかったですね。

終着地サンタモニカビーチの広大な砂浜とサンセットは、心の傷を癒すのにあまりある感動を与えてくれました。

ロデオドライブ
ずっといたかったサンタモニカビーチ


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