#海の静けさと幸ある航海
[短編小説] 東雲の幻
※ 扉絵は、さくらゆきさんの作品です。さくらゆきさん、ありがとうございました。
院内の見回りを終え、私はようやく最上階の師長当直室に戻れると大きく息をついた。看護師になりたての頃は、くたくたでも駆け上がれた階段だが、還暦まであと数年の脚にはこたえた。
階段を登りきると、窓の向こうに桜色と空色のパノラマが広がっていた。 思わず息を飲み、歩みを止めた。たなびく雲は朝日を浴びて淡い桜色に染められ
海の静けさと幸ある航海 後編
登場人物
海宝(旧姓 鈴木) 澪(60): 主人公
海宝 航(71): 澪の夫 前妻(実咲)が亡くなった後、澪と再婚
志津 芳実(71): 航の同僚で大学時代からの親友
竹内 翔真(60): 澪の会社同期
吉井(旧姓 水沢) 彩子(60): 澪の会社同期
吉井 透(73): 彩子の夫
海宝 千洋(67): 航の弟
海宝 航平(46): 航の一人息子
海宝 美生(4