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音楽人のことば

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対談企画「音楽人のことば」をまとめてあります。 最新回は、小林瑞季さんとの【「何を」と「いかに」のはざまで】。
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【演奏芸術の在り方をめぐって】小倉美春×向井響×篠村友輝哉「音楽人のことば」第15回 後編

【演奏芸術の在り方をめぐって】小倉美春×向井響×篠村友輝哉「音楽人のことば」第15回 後編

(前編はこちら)

──現代的な表現をいかにして伝えるか

向井 美春ちゃんの話に、「楽譜からの逸脱が昨今の流行り」というのがあったけれど、それについてもう少し具体的に聴かせてもらってもいいかな?

 小倉 例えば、オーケストラで「そこそんなテンポでいく?」「音楽的にそんな展開ありえないでしょ」というような指示を出す指揮者が最近多いと周りから聞いていて。でもそれはさっき話したように難しいところで、

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【演奏芸術の在り方をめぐって】小倉美春×向井響×篠村友輝哉「音楽人のことば」第15回 前編

【演奏芸術の在り方をめぐって】小倉美春×向井響×篠村友輝哉「音楽人のことば」第15回 前編

──理想の演奏

篠村 これまでのこの企画での自分の発言を振り返ってみると、何度か繰り返し話していることがいくつかあることに気が付きました。そのひとつに、演奏を「再現芸術」と呼ぶことに対する違和感がありました。何か「再現」という言葉が、演奏家の仕事の本質を表していないんじゃないかという感じをずっと抱いています。僕たちは「楽譜通りに弾く」ことを教えられてきていますし、もちろん、それはクラシックの演奏

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