しの

1972年生まれ。東海大学文学部卒業。学習塾講師、私立通信制高等学校教諭を経て現在千葉…

しの

1972年生まれ。東海大学文学部卒業。学習塾講師、私立通信制高等学校教諭を経て現在千葉県立学校教諭。日本一周を二度達成した。

最近の記事

目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅17 古戦場を見に行く

 貧富の差・身分の差がなかったころから時代が進み、食料を保存できるようになったり、農作業における指示命令役が出てきたりすることで身分の上下が生まれるなどして、人々は集団で争うようになった。つまり「いくさ」の始まりだ。縄文後期~弥生時代の遺跡から発掘される甕棺墓(かめかんぼ、大きな甕に遺体を入れて葬る墓)からは、首のない人骨や矢が刺さった人骨も出土している。そうして人々の集落は少しずつ大きくなっていくわけだけれど、戦いの跡、つまり古戦場はその性質からいって後の時代に何か証拠が残

    • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅16 法隆寺と薬師寺

       建物のうち世界最古の木造建築物である金堂など55件が国宝・重要文化財、仏像彫刻だけで600以上、この情報だけで法隆寺が日本初の世界文化遺産にふさわしいということが分かると思います。1949年に金堂の壁画が焼損、これをきっかけにして文化財保護法が制定されました。この金堂壁画がいかに素晴らしいものだったかは、1918年に奈良を旅した和辻哲郎が「古寺巡礼」(ちくま学芸文庫から出ている文庫を買えば、初版のものが読めます)のなかでこう言っています。  本尊やその左右の彫刻には目も

      • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅15 興福寺と元興寺

         七大寺2つ目の興福寺と言えば、思い出すのが芥川龍之介の「竜」という作品。初めて訪ねて猿沢池と五重塔を見たときに「ここが『竜』の舞台かぁ」と感慨深かったことを覚えています。興福寺を見学する前にはぜひ読んでほしい作品。「鼻」という作品を先に読んでから「竜」を読むと面白さが増しますよ(「鼻」も「竜」も岩波文庫に入っています。別々の本なので2冊買ってね)。  「菊の香や 奈良には古き 仏たち」と詠んだのは松尾芭蕉。この俳句にピッタリなほど、興福寺にも多くの仏像があります。東大寺も

        • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅14 大仏さまの秘密

           前回に引き続き東大寺についてみていきたいと思います。シカを見て、南大門を見て、灯籠を見てついに大仏殿(金堂ともいう)です。この大仏殿、源平合戦の後にも戦国時代に一度焼失しているので、私たちがいま見ているのは3代目ということになります。江戸時代になって再建した時、元々の大きさと同じにするには、それだけの木材がなかったそうで、天平時代・鎌倉時代に造られた大仏殿は現在のものよりも大きかったと考えられています。それでも現存する木造建築物では世界最大の大きさを誇っているというのだから

        目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅17 古戦場を見に行く

        • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅16 法隆寺と薬師寺

        • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅15 興福寺と元興寺

        • 目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅14 大仏さまの秘密

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅13 奈良には古き仏たち

           いまの奈良県は昔から日本の都だった。初代天皇の神武天皇が造った都も奈良県の橿原(かしはら)市だったというのだから、伝説の時代からの都だと言える。「大和は国のまほろば」というくらいだから都を造るのに適した場所だったのでしょうね。その長い歴史を背景に、いまでも多くの社寺が残っていて、私たちはそれらを観光して回ります。その一つ一つが魅力にあふれています。前回までで神社の話が一段落したので、今回からはそんな奈良の寺院について書いていきたいと思うので、旅の参考にしてくれると嬉しいな。

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅13 奈良には古き仏たち

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅12 天皇弥栄

           正月2日のテレビを見ていると、必ず皇居の新年一般参賀のニュースが取り扱われるよね。新しい年を迎えたことを祝い、天皇陛下はじめ皇族方が祝賀をお受けになり、天皇陛下からお言葉があるのを知っているだろうか。多くの人が日の丸を振っている場面、見たことのある人も多いんじゃないかな。「一般の人が皇居に行くなんて、ニュースにもなるくらいだから特別なことなんでしょ」と思いがちだけれど、実は皇居も、京都にある御所も見学することができるんだ。  まずは予約なしに入れる一般公開されているエリア

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          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅11 湖上に浮かぶ島と滋賀県

           「神の斎(いつ)く島」の関係でいうと、琵琶湖(滋賀県)に浮かぶ島、竹生(ちくぶ)島も名前の由来が同じ島です。「いつくしま」が「ちくぶしま」に変わった、ということね。  日本一の琵琶湖も世界の湖と比べると、比べ物にならないくらい非常に小さな湖なのだけれど、一つ有名なのは世界で三番目に古い湖だということです。湖というのはその地理的性質上、周囲から土砂が流れ込んで、だいたい一万年くらいで消えてしまうものが多いのだそうだけれど、琵琶湖はできてからおよそ440万年! 最初から今の位

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          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅10 日光東照宮から栃木と茨城を考える

           神社紹介の3番目はこれまた世界遺産の日光東照宮(栃木県)。大坂の陣で勝利し戦国時代を終わらせた、江戸幕府初代将軍である徳川家康をまつった神社です。家康は亡くなるとき、 「自分が死んだら久能山(静岡県の久能山東照宮)に葬れ。一周忌を迎えたら、日光に小さなお堂を建ててまつれ」 と遺言しています。3代将軍・徳川家光は祖父である家康を心から尊敬していたため、小さなお堂ではなく、遺言とはそぐわない大規模な社を建てることとします。それがいまの日光東照宮です。東照宮は家康を「東照大権現」

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅10 日光東照宮から栃木と茨城を考える

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅9 安芸の宮島・厳島神社

           教科書に出てくる神社として二番目に取り上げたいのが厳島神社(広島県)。安芸国の一宮で、世界遺産にも指定されている。日本三景の一つ「安芸の宮島」にある有名な神社だ。この厳島は「神に斎く(いつく、心身を清めて神に仕える)島」として島全体が信仰の対象だった。だからその島を傷つけないように、土地の上ではなく海上に神殿が造られたとされています。この神社は推古天皇のころに創建されたと言われているんだけれど、現在とほぼ同じ規模に修築したのは平安時代の末期、平氏政権のころです。平清盛が大輪

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅9 安芸の宮島・厳島神社

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅8 宇佐八幡神託事件

           まず最初に紹介するのが宇佐八幡(大分県)。現在の名前は宇佐神宮と呼ぶことが多いんだけれど、本殿は国宝に指定されていて、大分県の観光スポットナンバーワンだといえる。豊前(ぶぜん)国の一宮で、全国にある八幡神社の総本宮。一宮とは、かつて薩摩国とか尾張国とかのように分けられた、日本全国六十六か国(壱岐と対馬を入れて六十八か国と数えることもある)のそれぞれに所在した、その国のもっとも格式の高い神社のこと。国司が任命されて現地に赴任した後、まず最初にお参りしなければならなかったという

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          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅7 神社について

           教会はキリスト教、お寺は仏教、日本では数は多くないけれどモスクはイスラム教。じゃあ神社はなんて宗教? と聞くと、初詣に行ったり七五三でお参りしたりするのに、意外なことに答えられない人が多い。神社って日本全国に8万以上あるのに考えたことがないんだね(全国のコンビニの数は6万店弱)。日本固有の宗教である「神道(読み方は「しんとう」とにごらずに発音します)」について知らないのは、日本のことを知らないのと同じことだと思うので、非常にもったいない。ここでしっかりと勉強しておこう。  

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          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅6 古墳時代と埼玉県

          「古墳ってどんなイメージ?」と聞くと、大きく分けて二つの回答があると思うんだよね。ひとつは  「前方後円墳。教科書で見ました」というもの。そしてもうひとつが  「小高い丘みたいなイメージ。うちの小学校の校庭にありましたから」という、どちらかというと自らの経験に即したもの。どちらが正しいとか、理想的というものはないけれど、イメージなんてのは多く持っているほうが役に立ちそうだから、古墳の上で遊んだ経験がある人のほうが少しだけトクをするかもしれないね。  これはある意味仕方のない

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          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅5 土偶と長野と弥生時代

           続いては縄文時代にもう一つの代表選手、土偶について。土偶は縄文期に作られた人形で、豊作を祈るための道具にされたのか、女性をデフォルメしたものが多くなっています。特に東日本で多く出土していて、その数は15000以上に上るそうです。そして全ての土偶の中で国宝に指定されているのは5つ。その5つの中の2つが長野県茅野市から出土しているんです。それらが見学できるのが茅野市尖石(とがりいし)縄文考古館(長野県)。ここでは「縄文のビーナス」と「仮面の女神」の2つの国宝土偶を実際に見学でき

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅5 土偶と長野と弥生時代

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅4 貝塚と指紋

           縄文時代の話をもう少し。縄文時代といえば? と聞かれて多くの人が答えるのはやはり貝塚と土偶ではないかな。ここからはまず貝塚の話をしていこう。  ぼくの住んでいる千葉県は貝塚の数が一番多い県で、その中でも特に有名なのは世界最大規模の貝塚である加曽利貝塚です。ここには千葉市立加曽利貝塚博物館があり、貝塚の一部を当時の姿のまま見学することができます。  先ほど土器のおかげで食生活が向上した、と説明したけれど、土器は便利なものだけれど、遠くまでいちいち運ぶのにはかさばるし重いよね

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅4 貝塚と指紋

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅3 縄文時代の大遺跡

           旧石器時代の次には縄文時代がやってくるけれど、縄文時代の特徴の一つといえば当然、縄文土器だ。土器が作られたことによって、人間の生活は大きく変わった。捕ってきた動物の肉を火であぶって食べていただけだったのが、煮炊きができるようになった。こうすることで、それまでは食べられなかったものが食べられるようになったため、人々の食生活は大きく変わったはずだ。じゃあここで質問。世界で最も早く土器を利用したと考えられている文明は、どこの国の文明だろう?  中国? エジプト? メソポタミアの

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅3 縄文時代の大遺跡

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅2 旧石器時代と群馬県

          【旧石器時代】  古い時代の遺跡って、なんだかイメージがしにくいし、個人が出てくるわけじゃないから投影しづらいし、あんまり好きじゃないんだよね、という人は少なくないでしょうね。そんな遺跡を少しでも分かりやすくしてくれるのが博物館・資料館です。でもこれらは上手に使わないと、その価値を十分に生かしきれなくなってしまうので注意が必要なんだな。  まず博物館・資料館は遺跡を見る前に訪ねよう。実物を見てから博物館に入ったとして、重要なポイントを見落としていたことに気がついたとき、あなた

          目指せ出版! 日本史のセンセイと行く全国制覇の旅2 旧石器時代と群馬県