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マンガ&エイガ考察

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マンガや映画などの作品について考察・言及したものです。
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2024年7月の記事一覧

『違国日記』『オーイ!とんぼ』再読中

『違国日記』『オーイ!とんぼ』再読中

ヤマシタトモコ『違国日記』を前に一度読み、素晴らしいと思って、最近もう一度読み直している。心情描写やセリフの一つ一つがソリッドで瑞々しく、綺麗で深い湖のようである。そして、あらためて読むと細かいシーンのディテールがとてもリアルで映像的なのに気づく。開けっぱなしにした冷蔵庫のピーピー鳴る音とかね。そういう細かい現実的描写の積み重ねによって、平面的であるはずのコマの向こうの登場人物たちが、血肉を伴った

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手塚治虫『シュマリ』考察(後編)

手塚治虫『シュマリ』考察(後編)

それでは、『シュマリ』について後編を書いていきます。

前編はこちら↓からどうぞ。

アイヌの子、ポン・ションシュマリにはこの時点で家族がいませんが、ある日アイヌの赤ん坊がシュマリの家に入り込みます。赤ん坊と言っても自分の名前は言えるので、乳児ではなく幼児といったところ。その子は自分のことを「ポン・ション」と名乗ります。アイヌでは一種の魔除けのために子どもにわざと下品な名前をつける習わしがあります

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手塚治虫『シュマリ』考察(前編)

手塚治虫『シュマリ』考察(前編)

今回は手塚治虫の『シュマリ』について書いていきます。

言わずと知れた漫画の神様、手塚治虫。その作品群の中で私は『シュマリ』が一番好きです。あまたある手塚治虫作品の中で、なぜ『シュマリ』?それは自分でもよくわかっていないところがあります。本稿では、なぜそんなに『シュマリ』が好きなのか、作品について考察しながら自ら解き明かしていければと思っています。では、はじめます。

手塚治虫とパブロ・ピカソ手塚

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