執筆秘話③　みあれ！　神ガチャ

0. この記事の内容

私が文学フリマで頒布してきたオリジナル小説が生まれたきっかけやテーマなどを語っていきます。
第３回目、最後の作品は、「みあれ！　神ガチャ」です。カクヨムで公開したものに加筆修正を加え、書き下ろしとなる「前日譚」の章を加えました。

別の記事にあらすじを書いているので、よろしければそちらもどうぞ～。

1. 書いたきっかけ

1-1. カクヨムコンに応募しようと思い立った

色んな小説登録サイトでコンテストが開催されていて、私は応募したことがほぼ無かったのですが、せっかくだし長編作品を書いて応募しよう！　と勢いで始まった試みです。結果は残念でしたが、悔いはなしです。

1-2. 日本神話の本を読んだ

古事記や日本書紀に書かれている日本神話を読んだことがなく、
「天照大御神だの、須佐之男命だの、名前は知ってるけど、何をした神様なの？」という知識レベルでした。
そんな私が、どういう風の吹き回しか、たまたま図書館で目に入った日本神話の本を手に取って、借りて読んでみたのですね。そうしたら、まあ面白いこと。登場神物が多すぎて覚えきれやしないけど、神話の世界にハマってしまいました。

「天皇家の祖先を辿っていくと天照大御神に辿り着くのだ、だから天皇陛下は神の子孫なのだ」と、天皇制の正当性を主張するための歴史書だということでしたが、そんなん関係なく、単純に神話が面白かったんです。

まあせっかく読んだし、神話をベースにして物語書いちゃおっか？
そんな軽いノリでスタートしました。

2. テーマ

2-1. 知ることは、新しいことを始めること

それまで知らなかったことを知る。それは、新しいことを始めるきっかけになると私は考えています。それまで知らなかった日本神話を知ったことで、私はこの物語を書けました。
主人公の男子高校生も、神様との出会って神様を知ったことで、新しいことに向かって歩みだします（ネタバレになるので、ふわっとした説明しかできなくてごめんなさい）。

2-2. とはいえ、気負わずに読んでほしい

前の２作品が重いテーマだったので、今回はもうちょっと肩の力を抜いて、気軽に読めるものを書こうと思いました。そして、気づいたら男子高校生が主人公の現代ファンタジーができてました。てへ。

3. 執筆で得られたもの

3-1. 独特なキャラの神様を登場させられた

本作で登場する神様ですが、主人公と一緒に暮らすことになるのは
八咫烏、大口真神、猿田彦の三柱です。

八咫烏は会話の出だしが「カア」で始まり、「ナア」とか「ゾ」とかで終わるキャラで、知識豊富な三本足のカラス。作中で色々な神様が登場するわけですが、冒頭の私のように「何をした神様なの？」と思う方も多いはず。そこで、神様のプロフィールの説明役を八咫烏に担ってもらいました。

大口真神は古事記に登場したわけではなく、神様を調べていたらたまたま見つけました。日本狼を神格化した存在で、人間の性質を見分け、善人を守り悪人を罰する存在です。作中では子犬の姿で登場して、癒しを与えてくれます。散歩大好き。

猿田彦は日本神話の「天孫降臨」という話の中で登場し、天照大御神の孫にあたる神様が地上に降りてきたときに道案内をした神様です。神話では言葉を話すのですが、作中では「キキッ」しか言わないお猿さんとして描きました。散歩大好き（２回目）。

ちなみに、三柱とも主人公のペットです。神様をペットにすること、ある？

3-2. コンセプトを意識できた

本作ではテーマを薄くした代わりに、コンセプトに集中しました。

もしも、神様が現代に登場して、神話のようなことが起きたとしたら？
もしも、神話の中では出会うことが無かった神様たちが出会ったら？

いろんな「もしも」を思い浮かべて、作中に反映しました。

（だからって、なんでガチャガチャから神様が出てくるなんて発想したんだろう……。調べたら、他に同じ内容を書いてる人はいないようだったけど、絶妙に斬新さが無い。だが、それが私だ！　と開き直る）

4. 最後に一言

伊勢の神宮に行った時に食べた赤福氷、めちゃめちゃおいしかった。

この記事を書いたひとの紹介

エブリスタ、NOVEL DAYS、カクヨムで作品を公開している野良物書き。
2020年にエブリスタで公開した「転職先は『うらめし屋』」が新作セレクション10月22号に選出される。
2023年、同作品を自費出版し、文学フリマにて販売を始める。
吃音症で、緊張したり急な質問を受けると症状が出る。
「心を擦り減らした誰かに寄り添う」物語を書いていきたいと思っている。

◆作品
2023年9月10日発行「転職先は『うらめし屋』」
2024年5月19日発行「裏路地レトロ喫茶店～お食事おまかせにて承ります～」
2024年9月8日発行予定「みあれ！　神ガチャ」