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ちょっと苦手な父の話


小さい頃は優しくて大好きだった父。いつもニコニコしていて、父のような人と結婚したいと思っていた。

しかし、歳を重ねるにつれ、父がだんだんと苦手になっていった


基本的には父はあまり子育てや教育のことに関して口は出さず、母に一任しているようなところがあり、あまり干渉されてこなかった。

しかし、多感な年頃に父のデリカシーのない発言で傷つき、次第に距離を置くように。
結婚・出産を経て接する機会がまた増えたが、節々に見られる母に対する態度や家庭での在り方は年々ひどくなっていくように感じていた。


しかし、母と父の関係性や家族としての在り方というのは私だけの問題ではないし、同居していない私がとやかく言うのは筋が違う。
出産のために里帰りしていた際は、お邪魔させてもらっている身でもあるし、思うところがあってもひたすら我慢していたが、ついには我慢できず衝突してしまうこともあった。


しかし、そんな父も長年続けてきた仕事を先月退職した
勤続40年以上。名の知れた大企業のいちサラリーマンではあったが、仕事に対する姿勢は尊敬しかない。
子供達がまだみんな家にいた頃から仕事の不満や愚痴を言うことは絶対に無かったし、毎日朝早くから遅くまで休まずに働き続けてくれた。自分の会社に誇りを持っていて、自慢げに会社の話をしてくれることも多かった。

そして退職後から、あんなに頑固で頑なだった父が、少しずつ変わろうとしてる部分に色々と気付くようになった。

家事など一切してこなかった父が、いつからか、時々料理をするようになっていた。

お風呂の浴槽を洗い、お湯を沸かすのは毎日父の仕事。

洗い物だけはこれまで全然やろうとしてこなかったため、私や母がぼやきながらやっていたが、最近は毎日お酒を飲んでいようが、食器を洗って片付けまでするようになった。

母はパートだが、働いているため夕方ころの帰宅になることもあり、父は働いていない自分がやらねばいけないな、と思うようになったとのこと。


自分は外で稼いできているのだから。一家の大黒柱なのだから。父と接しているとそんなのが言わなくてもひしひしと伝わってくる、プライドの高い人だったのに。
ひと昔前はそれが当たり前の時代で、母も父を立てていたし、仕事は父にとってアイデンティティのひとつだったのだと思う。
それがなくなった今、父は母に寄り添おうと生活スタイルを変えているのだ。

少し、父を見る目が変わった。
父への苦手意識こそ、私も頑固なところがあったのかも知れないと思う。似た者親子である。

まだまだプライドの高さ故か、何事にも否定的なところ、またその言動に対して苦手意識が発動してしまうことはあるが、もう少し歩み寄ってみてもいいのかも知れない。そう思えるようになった。


育ててもらった恩もあるのだから、親孝行して恩返ししていかなければならないなぁと感じる今日この頃でした。

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