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ハガキサイズの小品2 ~幻の景色

 小さな絵を描きました。ハガキサイズです。
 こちら↓の小品に続き、2作目になります。

 今回は横位置で、思い出の中にしまってあった大切な景色からイメージして描きました。
 シルバーのマーカーペンとパステル、色鉛筆、ホワイトペンを使用。

原画の色合いが写真ではなかなか再現できないのが残念。

 イメージの元になった景色を見たのは20~21歳頃のことです。
 実は当時は心身ともに疲れ果てていて、さまざまな事情から未来に希望を持てずにいました。精神的に底まで落ちた状態で、ある日、ベッドに横になって目をつぶっているとき、不思議なヴィジョンを見たのです。
 それは、暗いトンネルのような道を歩いていく自分の後ろ姿。どこへ行くのかなあと思いながら見ていると、しばらくして目の前がパーッと明るくなって、光あふれる草原に出ました。その時点で私の意識はさっきまで見ていた後ろ姿の自分の中に入っていて、まさに私自身がその草原に立ち、風や音、光を感じていました。
 透明感のある淡い緑色をした、とても美しい草原でした。清いそよ風が吹いていて、どこからか、かすかに心地良い音楽(というか音)が流れていました。草原の向こうには、これまでに見たことがないほど美しい山があり、ふもとにはきれいな小川が流れていました。
 私は心底安らいで、小川の向こうへ行ってしまおうかなと惹かれる気持ちにもなりました。でも、その川を渡ったら戻ってこられない気がして、「いまはまだいい」と思って引き返すことにしたのです。
 帰りは一瞬で、ベッドに横になっているリアルな自分の中に戻っていました。
 そのヴィジョンを見ている間、現実に階下で人が活動している音などが聞こえていましたから、眠って夢を見ていたのとは少し違うと思います。
 精神的な臨死体験でもしたのだろうか…と思える不思議な出来事でした。

 そのときのヴィジョンで見たあの草原と山の景色を、いつか絵に描きたいと思っていました。「自分の技術ではまだ無理だから」と先延ばしにしてきましたが、いつまでたっても技術が足りることはないだろうという事実に気づき、いま描いてみることに。
 見たものを写実的に描こうとするとかえって別物になってしまいそうなので、かわりにいくつかのシンボルを記号的に加えて構成しました。翼やハート、十字架などを用いることであの空間のイメージを表現しています。

 このモチーフはこれからも創意工夫しながら描いていきたいです。とはいえ、30年越しにようやく描いてみたわりにはなんとなく形にできたことをまず喜びたいと思います。

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