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#野生の月評

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「月評」スピンオフ企画。新建築社刊行の雑誌『新建築』『住宅特集』などの掲載作品・論文にまつわる感想などの記事をまとめていきます。「#野生の月評」とつけてご投稿いただけると嬉しいで… もっと読む
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#写真

建築巡礼の旅、話題の荘銀タクト鶴岡

鶴岡駅の南側。 水田テラスとは反対側の鶴岡の中心街にある、妹島和世建築設計事務所の建築作品。 事業費や施工の問題でさまざまなニュースを提供してしまったプロジェクト。 ※気になる方はご自分でぐぐってください。 触ってみると外装の素材は柔らかく、専門家ではないですが、施工は難しい感じがしました。たしかにボコってます。 一方、室内空間は隣の藩校 旧到道館の借景が映えるロビーや、贅沢な自習スペースなどSANAAが手掛けた金沢21世紀美術館にも通じる美しいデザイン。 ホールは

#01 エストニア④ “負の歴史”に立ち向かうクリエイション

いま注目すべき取り組みを行っている街を訪れ、街づくりの未来を探るプロジェクト。 最初の訪問先は、“世界最先端の電子国家”として発展を遂げたエストニア共和国。 旧ソ連時代の巨大な廃墟、日本人の設計による悲願の国立博物館……リサーチメンバーの視点から、この国を突き動かす原動力の正体に迫ります。 ▶︎ 前編 ③ “仮想移民”とデザインが導く新たな展望 ▶︎「Field Research」記事一覧へ 「テクノロジー×街づくり」の歴史・文化的背景“世界最先端の電子国家”の現状を通し

疲れる美術館と、疲れない美術館

 東京・品川にある原美術館が2020年12月末に閉館する。ちょうど週末に訪れた矢先の発表だったので、すごくショックだった。竣工から80年が経って建物の老朽化が進み、美術館として一般公開するには適さない状況らしい。ここはもともと個人邸だったわけだが、お金があれば買い取りたいし、ホステルにでもしたいくらいだ。閉館後は別館でもある群馬県の「ハラ ミュージアム アーク」あらため「原美術館ARC」にその拠点を移すそうだ。  ハラ ミュージアム アークってどこやねん、というわけだが、実

作品のない美術館と、海へと続く長い道

 初めて豊島を訪れたのは2016年。3年に1度の瀬戸内国際芸術祭が開催された年だった。岡山の宇野港からフェリーに乗り、1時間ほどで島に着く。僕らが訪れたのは芸術祭の間のシーズンだったので、人はそれほど多くなかった。  もちろん一番の目的は豊島美術館。2010年に建築家・西沢立衛がデザインした美術館だ。エントランス棟でお金(現在鑑賞料は1540円と安くはない)を払って、カフェスペースの脇を抜け、森の中を歩くと大きなドーム状の空間が姿を表した。この空間自体がこの美術館唯一のアー

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自然の変化を感じる 建築と庭園とアート。 ー 江之浦測候所

佐賀市で 気になった建築 3つ (佐賀県 佐賀市)

 前回、岡山市で近代建築巡りをした際には、予め調べてから巡ったのですが、今回 佐賀市内では、市内を歩いているうちに気になる建築を3つ見つけました。 ① 佐賀県立博物館(高橋靗一(第一工房) + 内田祥哉) ② 市村記念体育館(坂倉準三) ③ 佐賀県立図書館(高橋靗一(第一工房) + 内田祥哉) ① 佐賀県立博物館(高橋靗一(第一工房) + 内田祥哉)  今回の旅行の目的のひとつは佐賀県立美術館での展示だったのですが、その隣にあって引き寄せられてしまったのがこちらの建物。

星のや富士は「ページをめくるように現れた別世界」だった

この記事は星のやに興味があるけど二の足を踏んでいる人たちに興味があるなら体験してみた方がいいよと言いたくて書いている。 大学時代の研究室の先輩夫婦と僕たち夫婦の4人で、星のや富士に2泊3日で宿泊してきた。完全に星のや富士に宿泊することを目的とした旅行だ。 今回の旅行は、星のやにハマった先輩夫婦の誘いで、星のや富士は特定条件を揃える(6月の半年前に連泊で予約する)と全国の星のやの中でもダントツで安く泊まれると聞いて話に乗ったのがキッカケだった。 それでもヘタな海外旅行より

青木淳さんの「矛盾を見つけてそれを解決する」という建築の作り方を、アドルフ・ロースで考える

こんにちは。 アーキテクチャーフォトの後藤です。 今日は、青木淳さんのほぼ日での糸井重里さんとの対談中の言葉を紹介してたいと思います。 そして、丁度最近a+u誌で2号に渡って特集があった、アドルフ・ロースの建築について、青木さんの言葉で読み解くことができる部分があったなあ、と思い返したことを書いてみたいと思います。 *** (青木淳さんは日本を代表する建築家で、ルイヴィトンの表参道店をはじめ多くの建築設計を手掛けていることでも知られています) (アドルフ・ロースは、オ