「旅行」と「アート」が とても似ていると感じるようになったのは 美大を卒業した後、 再び観光業に関わるように なってからだった。 ここで 「再び」とした理由を 自己紹介がてら つらつらと書いてみるので お付き合い頂きたい。 _生い立ちもともと僕は 九州の田舎にある宿屋の 息子として生まれ 毎日毎日、お客さんを迎え入れては 送り出すという環境で育った。 小さい頃はいつも お客さんに遊んでもらい、 仲良くなったと思ったら翌日の朝には もうお別れ(チェックアウト)で しょ
何ごとも、出会うタイミングによって その後の自分に与える影響の大きさが変わる。 ここ数年、僕の中での大きな変化は あるモチーフに出会ったことだった。 それは白樺だ。 景色の中に 骨のように白く、 ぬらっと立ち並ぶ 異質な存在感。 上手く言い表せないが この木には 「生きながら死んでいる」ような 佇まいがある。 美しくもあり、少しこわい。 これまで他の地域でも見たことはあったが 北海道の白樺は、特に美しいと感じる。 道内あちこち出向いては、写真を撮り、スケッチをし
白老に来てもうすぐ2年。 もともと縁もゆかりもなかったこの土地で 少しずつ、自分が「客人」から「住人」へと 変わっていくのを感じている。 この土地の、人と文化に 触れる時間が長くなったからかもしれない。 中でも特に大きな影響のひとつが アイヌ文化の伝承者 「志保子さん」との関わりだ。 (改めてのご紹介...) 僕が勤める宿「界 ポロト」は北海道・白老町にある。 ↓ ↓ ↓ 新千歳空港から車で40分ほどの場所に広がる 静かな森林と"ポロト"という名の湖。 湖畔沿
以前紹介した自作シリーズの「光の標本」↓ 今回、この作品を 希望者に無償で貸し出すという試みを 始めることにしました。 このプロジェクトの内容としては以下の通り。 "光を採集する旅" 概要 借主様へのお願い * 先日、アート界のインフルエンサーでもある 「美術解説するぞー」さんのチャンネルでインタビューをして頂き 動画の終盤(18:33〜あたり)でこのプロジェクトについてもお話ししています↓ * _なぜ貸し出しをするのか このプロジェクトは 2020年に行っ
今日は作品のはなしを。 この作品は 【光の標本】 というシリーズで ガラスやアクリルの表面に 透明なメディウムで筆跡を施す 方法で作られている。 透明なこの作品たちは 置かれる場所によって表情を変える。 天候や、 時間帯によって その場その場に存在している「光」を 観賞するために、生まれた表現だ。 今のかたちに至ったのには 僕なりのまわり道があった。 _”上手い”だけではいけないと言われ 個性が欲しい。 美大に入った頃の僕は 毎日そう思っていた。 絵が得
画像引用元:wellcome collection これは詩人・作家のオスカー・ワイルドが ウィリアム・ターナーの風景画を評価したときの言葉だとされている。 もちろん実際に、『ロンドンに霧はなかった』なんてことはない。 この言葉の意味するところは 『芸術として描き表されるまで、 人々は霧を情緒としてとらえてなかった』ということだろう ひとつの比喩とはいえ これって、本当にすごいことだ。 今でこそ “霧の街、ロンドン” なんて呼ばれるが、当時は 誰もそんな風にとらえ