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飲食店の人材不足問題を余裕と余白で突破する

とんき

とんかつが好きだ。

とんかつ好きなら、目黒の「とんき」はご存知だと思います。僕も10回は足を運んでいます。海外からの来客があったらぜひ連れていきたい場所の一つです。

ご高齢な職人の方たちの無駄のない動きが生むあの凛とした空気感。それは、厨房というよりも、劇場と呼んだ方がふさわしいと感じさせる「余裕のある空間」がなしているのではないか、と最近伺ったときに感じました。


人材不足の時代をのりこえるには余裕と余白が必要

人材不足に悩んでいる飲食店経営者の方は多いと思います。僕自身も7年飲食店経営を行う中でとてもそれを痛感しています。以前のnoteにも書いたのですが、人材不足は、数字を見ても明らかです。

【年齢別人口】1976年生まれ(42歳)179万人 1986年生まれ(32歳)140万人1996年生まれ(22歳)123万人2006年生まれ(12歳)108万人(FOODIT TOKYO 未来総研より) 今多くの飲食店が欲している層はそのオーナーたちが同年代の頃より1.5倍ぐらい少なくなっている。それなのに都心部では再開発で商業施設がふえたり、アパレルが飲食業に参入したり。そりゃそうだ。人がいないはずだ。

経営者として、どんな理念をもって事業を進めていかなければならないか、日々考えているなかで、とんきで感じた「余裕」や「余白」が、次のステージに向かう必要なことなんじゃないか、と思ったので、今回は、余裕と余白について書いてみます。

余裕、余白の重要に気づいた背景

僕が余白の重要性に気づいたのは、マネージャーとして勤務していた前職のドーナツ店でした。

そのお店はスタイリッシュなデザインで、壁が白く、壁の一面に沢山の収納スペースがありました。それほど大きくない店舗には、オープン当初はレジ後ろや上に何も入っていない棚がありました。レストランで働いていた際に経験のなかった僕は、「無駄なスペースで勿体無いなぁ」と思っていました。

しかし、月日が経ち、メニューが増えると、その空いた棚には新しい包装資材が入っていくことになっていきます。テイクアウトの業態というのは予想以上に包装資材にコストとスペースが必要なのです。もし店の壁一面を収納スペースにせず、売り場の面積分をショーケースなどに使っていたら、最初の売り上げは上がっていたかもしれませんが、増えていく包装資材を置くことはできなかったでしょう。けれども予め余裕をつくっておくことで、次に備えることができるのです。

そのブランドはロゴも一つに絞らず、ストーリーとしていくつかのロゴがあるというのも僕にとってはとても新鮮でした。予めブランドにも余白を作っておく。そうすることで色々な場面に応じてロゴを使い分けることができたのです。

余白や余裕が、未来的思考を生む

大学生時代にワンルームの小さな部屋住み、当時は彼女であった妻とも小さな部屋で共に住み始め、お金にも余裕がないまま社会人を過ごしてきたものとしては、日々、目の前のことで精一杯で、余裕や余白が、長期的にみたときに必要であることがわからなかったのかもしれません。

大人になった今、ほんの少しの経済的にも心理的にも余裕ができ、勉強のために良いホテルに泊まったり、移動の際によい座席に座ってみるとそこには物理的な余裕があることに気づきます。

スペースに余裕ができると心にもゆとりができます。

逆も然りです。心にゆとりができると、ほんの一輪の花を飾るなどの行動が生まれるものだと思います。

時間的余裕、人的余裕

余裕や余白について、空間やブランドづくりだけの話ではありません。

これは時間にも当てはまります。

僕たち飲食店には必要な店のシフト管理。

きつきつに余裕のないシフトであれば、生産性はあがり、人件費は削ることが可能となります。ただそれだと何かのトラブルなどがあれば他の人の負担がふえてしまう。人員などにほんの少しのたるみや余裕をもてるぐらいにもっていくことが必要となってきます。

僕たちの店では今年はこの余裕や余白を念頭に、なるべくスタッフを増やして、運営をしていこうと募集に力をいれています。

人が増えれば、きっと心に余裕ができ、きっと面白いことが生まれてくることと思います。

もちろん、その分のコストが必要になってきますが、次に進むための投資と考えられるのではないでしょうか。

覚悟を決めて僕たちは飲食業でも完全週休2日を実現したところ、かえって業績はあがってきており、賞与も与えることができています。

クラフトマン、飲食業の未来のために

なかなか大変な投資ですが、離職率を下げて、飲食業がよい職業であることと認識してもらうことが今後、大事なことになっていきます。

うちで働くスタッフの話だと、飲食の専門学校を卒業してわずか2年で、未だに飲食業に残っているのは同じクラスでわずか2人だと聞きました。。とても残念なことです。

環境を整備することから若者が飲食業やクラフトマンの世界を選択し、継続できるよい職業にしていけると考えます。

過去の習慣や思想ではなく、今後のために何をすべきかを考え、皆でよい飲食業やクラフトマンの世界にしていきましょう。




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