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若木信吾の「つかずはなれず」写真講座

写真家の若木信吾です。 写真に関するあれこれです。写真家たちのインタビューや、ちょっとした技術的なこと、僕の周辺で起こっていること、それらについて考えていることなど、ざっくばらん… もっと読む
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#写真集

Youngtree Annual 制作中

Youngtree Annual 制作中

 あっという間に12月に入ってしまって今年も終わりに近づこうとしているが、僕自身もあと数ヶ月で51歳を終える。コロナ禍のせいにはしたくないが、50を超えてもあまりこれといって変わり映えしないというか、体の老化の始まりを感じる以外改めて大きな変化を遂げることもまだない。50歳になったからといって急に何かが変わることではないのはこの一年10ヶ月くらいでよくわかったから、やはり自分の意思で少しずつやって

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Episode #7
トムウェイツとナポレオンピッツァ

Episode #7 トムウェイツとナポレオンピッツァ

 スーパーラボ・ストア・トーキョーでの展示も無事始まり、写真集も発売されました。是非手にとってご覧ください。紙も印刷もすばらしい出来です。

 ナショナルシティについて調べていた時にもうひとつわかったのは、若い頃のトムウェイツがナショナルシティのナポレオンピッツァで働いていたということだ。その頃の歌が、僕の好きなアルバム2枚に入っていた。まさかこのジョーとサルのピザ屋さんにいけるとは!ハートオブサ

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Episode #6 ロチェスターのベトナム料理

Episode #6 ロチェスターのベトナム料理

写真集「Things and seen」いよいよ明日金曜日発売です!!! 神保町のSUPER LABO STORE TOKYOで夕方からレセプションがあるのでぜひお立ち寄りください。

 30年ぶりに戻ったロチェスターで、最初の夜に行った店は全く馴染みのない、ネットで検索した中華の人気店だった。こじんまりとした店構えと、味は悪くないが、込み合った夜のレストランにひとりで食べに行くのはいつでも気がひ

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Episode #5

ナショナルシティ

Episode #5 ナショナルシティ

 スーパーラボからいよいよ今週末に出版される新写真集「Things and seen」に入っている写真たちのエピソードを綴る第5回目はナショナルシティについて。

 去年、2019年の三月に訪れたサンディエゴの大きな目的は映画「TOTEM Song for home」のUCSFでの上映会だった。UCSFの教授を務める宮尾大輔さんが、その時アジア映画について教えていた流れで、日本人が撮った台湾のドキ

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Episode #4 幽霊の写真

Episode #4 幽霊の写真

 2019年は井上円了先生a.k.a妖怪博士の没後100年だったそうだ。この写真を撮ったのはその10年前の2009年のこと。井上円了先生が中野に作った哲学堂というものがあって、その入り口は哲理門という。その哲理門の両脇には木で作られた幽霊と天狗の像が奉納されている。現在はレプリカに変わってしまっているが、僕が撮った当時は結構痛んだ状態であったが、オリジナルが置いてあった。

 円了先生は明治の頃、

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EPISODE #3 サンディエゴ、ジェリーの家

EPISODE #3 サンディエゴ、ジェリーの家

 2019年の3月、 詩人のジェローム ローゼンバーグ氏のお宅を訪ねた。詩人の伊藤比呂美さんが住んでいた家の目と鼻の先にあり、奥さんのダイアンさんとふたりで住んでいる。彼らは同じ87歳、とても元気だ。今日は大ちゃん(今回UCSDの大学院のレクチャーで呼んでくれた宮尾教授)が、インタビュアーだ。ジェリーさん(ジェロームさんの略称)の家は住みはじめて40年経つということだがとても綺麗な外観とインテリア

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新写真集「things and seen」いよいよ今月末リリースです! エピソードNo.1

新写真集「things and seen」いよいよ今月末リリースです! エピソードNo.1

 今回の写真集には文章がついていません。リストをご覧になっても分かる通り、場所も年代もランダムです。これってなんなんだろう、と思うかもしれません。それでも成り立ってしまうのですから写真集って不思議ですよね。

 イメージは詩のように作った人の経験を超えて、それを見た人それぞれの記憶に関わる鍵のようなものになっていることが多々あります。映画の断片が、ストーリーとは関係ない自分の記憶を急に引き出してし

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チェキで写真を撮り始めた。最近。

チェキで写真を撮り始めた。最近。

 この秋にSUPER LABOから出る写真集の先行予約特典にするため、最近チェキを撮り始めた。ポラロイドは一点もの、それを全部で100点ほど作りたいと思っている。1週間で20枚くらいを目指しているのだが、プレゼントできるクオリティの写真を短期間で作るのは至難の技だ。どんなカメラでもいい写真は撮れるはずだが、チェキとなるとなかなか手強そう。早速フィルムを60パック仕入れた。1パック10枚入りで、計6

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写真家A to Z
Wolfgang Tillmans

写真家A to Z Wolfgang Tillmans

 僕の本棚の「T」の棚の大部分を占めているのは、高橋恭司さんとWolfgang Tillmans だ。僕にとっては近いようで遠い存在、というのがふたりの間の共通点となる。捕まえることができないふたりとでもいうべきか。常に提示するイメージは新しく、謎に満ちている。何度もよくみて、考えて、なんとなくわかったような気がすると、次の展示や写真集はまた全然違っている。まさにアーティストとはそうあるべきだ。ど

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写真家AtoZ
Gus Van Sant

写真家AtoZ Gus Van Sant

 以前も書いたことがあるが、僕の本棚は作家のラストネームの頭文字の順に並べられていて、この「写真家AtoZ」は、その本棚のAから順に気になった本をピックアップして紹介している。今回紹介するガス・ヴァン・サントはSの棚に入っている。映画監督ガス・ヴァン・サントは写真集も出しているのだ。Gus Van Sant の先祖はオランダ系移民で、もともとの名前はVan Zandt. 「砂の」という意味だ。だか

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写真家A to Z  ロバート・ラウシェンバーグ

写真家A to Z  ロバート・ラウシェンバーグ

 今回は写真家ではなく、美術家のラウシェンバーグ(1925-2008没)の写真集だ。彼はいくつか写真集を出しているのだが、その中でもポンピドゥーセンターでの展示に合わせて作られた、1981年出版の「RAUSCHENBERG PHOTOGRAPHS」をピックアップしてみた。

 僕の好きな、写真を使った現代美術のアーティストのビッグスターの3人はみんなRの頭文字なので、本棚には自然と彼らの本が集まっ

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新作写真集制作中

新作写真集制作中

 昨年の3月にSUPER LABOから写真集を出して、あっという間に一年がすぎ、今年もまた新作写真集を同出版社から出版させていただくことになり、現在制作中です。今回のテーマは以前から気になっている「物と風景」です。数年前に代官山ヒルサイドテラスで「表面」というタイトルでStill Life、僕なりの視点で物撮りの展覧会をしましたが、その中からも数点入っています。新型コロナウイルスの影響で発売日がは

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