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アリは喜んで角砂糖に群がるという思い込み[国会蟻事堂の構想]

鈴木真梧

プロローグで自分の馬鹿さ加減を晒してしまったので、このnoteでは気楽に綴っていこうと思います(笑)どうぞ気軽に読んで楽しんでいってください。

さて本日は、前回の[プロジェクトについて]で書いた「国会蟻事堂」の作品についての話です。角砂糖で作られた国会議事堂のようなオブジェに集まるアリたちの姿を、国家や政治と国民や民衆という構図でビジュアル化したい。この作品を構想し始めたとき、そう「アリたちは甘いもの、特に砂糖には目がなく、長〜い行列を作って砂糖を運ぶ」というおぼろげながらも確かな思い出が、子どもの頃からずっと頭の中にありました。おそらく私だけでなく多くの人たちがそう記憶していると思います。このことを確かめるべく、私は角砂糖で作った小さな国会議事堂のモデルを近所の植え込み数カ所へ設置して、アリたちの行動を暫く観察することにしました。

しかし何分経とうが何時間経とうが、アリたちは角砂糖に興味を示すことはあれ、群がることなく通り過ぎて行きます。初めにこの実験をしたのが昨年の11月。春先や夏の暖かい時期に比べるとアリの活動が活発ではなかったこと。また行列をつくるようなアリの種類がこの近くにはいないせいかも、なんて思いながらも、子供の頃に確かに目撃したと思っていた、砂糖に群がるアリの行列というデフォルトが音を立てて崩れていきました。


それから色々とアリについて調べていくうちに、その理由がだんだんと明らかになってきたのです。どうやら多くのアリたちは乾燥しているものはあまり好まないようだと…

そこで今度は、そのままの角砂糖と、少し水で湿らせた角砂糖、形が崩れるくらい水を含ませた角砂糖を置いて実験してみました。要するに蜜のように吸えるような状態にしてみたのです。すると効果てき面、間もなくアリたちが水分で溶けた角砂糖に群がってきました!


野良猫ならぬ野良アリたちが、自分が与えた砂糖に関心を持ってくれると少しだけ嬉しくなります。でもまだアリたちとちょっと目があって、軽く微笑まれたに過ぎません。これを恋と呼ぶには早すぎる気もします。

当初この「国会蟻事堂」の作品は、屋外に設置したケース内に角砂糖のオブジェを置き、ケースにアリたちが入れる小さい入り口をつくり、自然界に生息している野良アリたちに友情出演してもらうという構想でした。しかし今回の実験を機に、これでは恋はおろか友情も芽生えないかもしれないと思い始め、アリのことを更に調べていくうちに、高度な社会的構造をもつアリのことに深く興味を注がれていくこととなったのです。

そしてもっともっと彼女らのことを知るためには、女王アリの飼育から始めないといけないと決心したのは、今年の夏になってからことでした。

アリというのは翅の生えた雄アリと雌アリ(いわゆる羽アリ)が、新しいコロニーをつくるため結婚飛行というランデブーを、早い種類だと4月から始め10月の秋頃まで続けるのだそうです。

ちなみに木造の家を食い荒らしてしまうシロアリの羽アリは、結婚飛行の羽アリとよく間違われてしまいます。実はシロアリはアリではなくゴキブリの仲間で、一方の本家アリはといえばハチの仲間なんだそう。名前こそ同じアリですが異なる分類なのです。確かに結婚飛行をするアリは、どことなくハチに見えなくもないですね。

さてアリの採取ですが、都心の自宅周辺では結婚飛行後の女王アリをタイミングよく捕獲するのは素人の私にはなかなかに困難、しかも時期的に既に結婚飛行を終えている種類もいるので、アリを専門に販売するアントルームさんや、オークションサイトを利用し個人でアリを販売している方などから入手し、飼育を始めてみることにしました。

そして手始めに入手したアリは2種類。正にザ・アリという感じの大型で存在感のあるクロオオアリという種類と、中型のクロヤマアリという種類です。この2種は共に北海道、本州、四国、九州、屋久島と日本の広い地域に分布し、山地や市街地でもよく目にするごく一般的なアリで、初心者にも飼育しやすいとのこと。たかがアリと思うかもしれませんが、めっちゃ一生懸命に生きている小さな姿を眺めていると色々と気付かされることがあり、ずっと見ていても飽きないから不思議です。う〜ん、これは紛れもなく大人の自由研究という様相になってきました。

ともあれ作品をつくるに当たって、先ずはアリの視線になって小さな世界を見つめていこうと思います。角砂糖に群がるアリはいるのか否か。高度なアリの社会はどのように成り立っているのか。そして人の社会と何が同じで、何が違うのか等々。アリの飼育と観察と検証がスタートしました。

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