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【ミカタをつくる広報の力学】#60 メディアリストをつくろう

広報の人から寄せられる質問で多いのが「メディアリストのつくり方」です。

人それぞれの使いやすさもありますし、メディア戦略や展開規模によっても異なるので一概には言えないのですが、今回は私の個人的な見解として、「メディアリストのつくり方」について書きたいと思います。

※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。

メディアリストの目的を考える

PRや広報で言うところのメディアリストとは、「自社の情報を配信する相手(メディア)の一覧表」を指します。

分かりやすく言うと、プレスリリースの配信先、メディアキャラバンやプレスセミナーの相手をまとめた表ですが、ただのアドレス帳と異なる点は、目的やプライオリティを考えてつくってある点だと思います。

メディアに対して情報を配信する目的は取材誘致や掲載獲得ですが、お願いすれば取材してもらえるというわけではないので、配信するニュースに興味を持ってもらうための手段としてリストをつくりましょう。

そのためにはリストをつくる前に「メディア戦略」を立てる必要があるのですが、最初はそんなに難しく考える必要はないかと思います。

「自社の配信するニュース特性に対して、どんなメディアが興味を持つか」くらいで考えれば良いのではないでしょうか。

例えば自動車部品製造業の製品情報であれば、工業系や自動車業界のメディアが興味を持つと思いますが、同じ企業のニュースでも、IR系の情報であれば金融・投資系メディアにニーズがあるでしょう。

さらに進んで、もっと細かいニーズを把握したくなったら、メディアの人たちと関係値を高めなくてはなりません。メディアの人と直接会話することで、情報に対する具体的なニーズを引き出す必要があります。

このように、配信する情報ニーズと関係値を軸にリストをつくると使いやすいかと思います。

情報ニーズと関係値でリストをつくる

では、具体的にどうやってメディアリストをつくれば良いのか。
私が個人的に実践しているお勧めの方法をご紹介します。

まず「情報ニーズ」について。

広報が配信するリリースは新製品の情報に限った話ではありません。

社内の人事制度であったり、事業提携や新しい取り組み、CSR活動や社員表彰など、多岐にわたっているかと思います。

なので、自社の情報ニーズがどこにあるかを考えるときには、自社業界や製品に関する視点だけでなく、各部門別に様々な視点からニーズのありかを探ると良いでしょう。

例えば、工場見学に関するニュースの場合はレジャー系や観光系メディアが配信対象になり、福利厚生や人事制度に関するニュースの場合は採用系メディアが配信対象になる、という感じです。

次に「関係値」について。

まったく面識のないメディアでも一方的に送り付けられるのがプレスリリースです。逆にメディアキャラバンなどは関係値が無いとなかなか難しいと思います。

この差は「信頼関係があるかどうか」の差

「おもしろい情報を持ってきてくれる」とメディアから信頼されている場合には、直接会う時間をつくって話をしてくれます。つまり関係値が高ければ、きちんと話を聞いてくれて、記事になる確率も上がるというわけです。

まずはメディアが欲しい情報を推測して信頼関係を構築するところから。
それを続けることで、いずれ直接話ができるようになっていきます。

リストを構成する連絡先の集め方

メディアリストの元になる「連絡先の集め方」について、いくつかご紹介します。

①メディアに直接問い合わせる
メディアに直接問い合わせて連絡先を聞く方法です。
新聞や雑誌などの署名記事を見て、リリースなどを送りたい記者を見つけたら、その企業に電話して、「○○さんにリリースを送りたいのですが、どこに贈れば良いですか?」と聞けば、大抵教えてくれます。
最近では、リリース送り先のメールアドレスがホームページに掲載されているケースも多いので、より簡単に送れるようになっています。

②リストを買う
メディアの連絡先が掲載されているリストを購入する方法です。
私は日本パブリックリレーションズ協会の会員なので、個人的には「広報・マスコミハンドブック(PR手帳)」をお勧めします。
新聞社、テレビ局、ラジオ局、雑誌編集部、記者クラブなど、様々なメディアの連絡先が掲載されています。

③記者を集める
記者発表会やプレスセミナーなどを開催して記者を集め、直接名刺交換をすることで知り合う方法です。
そのためには記者が集まるネタを用意しなくてはならないのですが、それはリリースでも同じこと。
面白いネタが用意できるなら、リリースを送るよりも直接会える機会をつくった方が効率的です。

おわりに

今回は、私の個人的な「メディアリストのつくり方」についてご紹介しました。冒頭にも書きましたが、メディアリストは使いやすさが重要なので、ここでご紹介した方法は参考程度にお考えください。

リストはツールとして活用する一覧表に過ぎないので、そこに至るまでの戦略やメディアインサイトを大切にしていただければと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
共感してもらえましたら、スキやフォローをいただけると励みになります。

ではまた次回お会いしましょう。



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