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【ミカタをつくる広報の力学】 #52 周年コンテンツを考える

前回、前々回に続き、またまた周年事業の話。今回は「周年コンテンツ」について書きます。

今まで書いてきたようにブランディングが重要なのは言うまでもないのですが、多くの人を巻き込む周年コンテンツはどんなものか、ということを書いていきます。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


周年コンテンツは「受け手」を主語に

本日9月3日は、未来から来た猫型ロボットの誕生日です。

それを受けて翌日の9月4日にはアニメ特番が組まれ、告知として8月30日に掲載された新聞広告がバズっているようです。
広告の内容は、サプライズ誕生日会をやるからテレビの前に集合、という旨の、キャラクターからの手書きの招待状でした。

アクションとしては、記念日に絡めて特番というサービスをローンチするだけなのですが、アウトプットとしては、特番を誕生日会と捉えて広告を招待状にする、という演出が施されています。

前回のコラムで、アウトプットには「周年特設サイト」の開設がお勧めと書きましたが、サイトの中身が興味を引く内容でないと、人を集めることは出来ません。
つまり、周年事業のキモは「アウトプットの面白さ」にあると考えるわけです。

ですが残念ながら、社史・年史や記念式典、ビジョンの表明など、周年事業で実施されるアクションのほとんどが関係者向けなので、市場や社会の興味を引くようなエンタメ性を求めるのはなかなか難しいのではないかと思います。

そこで、関係者向けの周年事業とは別に、多くの人の興味関心を引き付けられるコンテンツのアウトプットが必要になります。

重要なのは、コンテンツマーケティングと同様に、周年を迎える自社を主語とはせずに、受け手を主語にすること。

その好い例が上記の特番告知で、「特番を放送します」という発信型のメッセージではなく、「誕生日会に参加してください」という相手を主語にしたコミュニケーションになっています。

それもテレビ局からではなく、出演するキャラクターからの手書きの招待状。ちょっとワクワクできるコンテンツとして仕上がっています。

この例を応用して周年事業で新製品を発表するのならば、ローンチタイミングを創業日に合わせて、発表会をバースデーパーティに見立てて参加者に招待状を送るのが、受け手を意識したコンテンツということになるでしょう。


周年は実はいつでもできる

この猫型ロボット、昨年と今年が、2年続けて50周年です。

2020年は漫画の連載開始から50年だったのですが、今年2021年も再度50周年にするという広告を年頭に出しました。

広告で表現した仕切り直しの理由は、2020年が緊急事態下だったというよりも、彼の大嫌いな「ネズミ年」だったから

洒落が利いていて、受け手への気遣いがあって、そのうえで2年連続の周年というコンテンツです。

このようにコンテンツとしての理屈さえ通せば、周年は実はいつでもできるのです。

海外では、10年周期だけでなく、25年、75年、125年といった「25年周期」が潮流であったり、昨今のゲーム界隈では、0.5周年や1.5周年などの小数ブームであったりします。

113周年記念のユニフォームを発表したサッカーチームは、中途半端な数字が逆に話題になりました。これは中途半端な違和感をコンテンツにした好い例といえます。

周年には「マイナス」も存在していて、上記の猫型ロボットは2012年に「生誕マイナス100周年」を実施しました。
彼が実際に誕生するのは2112年9月3日ですからね。未来から来たキャラクターならではのコンテンツです。

ローンチが近い場合には「カウントダウン」ですが、100年後になると「マイナス周年」の方がピンときます(笑)

ここまで来ると「面白ければ何でもあり」という感じもしてきます。

前回紹介した今年50周年のカップ麺にいたっては、確認できた限りですが、38周年から毎年実施しているようです。

このカップ麺、前回も少し触れましたが、50周年企画として高級ホテルとコラボしています。

このテクニックが「同い年コラボ」です。


周年の定番「同い年コラボ」で増強

このカップ麺の50周年企画は、人気スナックとのコラボで味のバリエーションをつくったり、ファッションビルとのコラボでアパレルブランドとグッズ展開をしたりと、ユニークなものが盛りだくさんですが、興味深いのは、同じく50周年を迎える高級ホテルのシェフがカップ麺をアレンジして至高の料理をつくったこと。

スナック菓子やファッションとのコラボもインパクトはありますが、ターゲット層が比較的近いので違和感はありません。
一方で高級ホテルとカップ麺のコラボは、同じ「食」ではあってもイメージは真逆なので、2者をつないでいるのは「50周年」のキーワードだと言えるでしょう。

このように「同い年コラボ」でつながると、イメージやターゲットの壁を越えて意外な相手とコラボすることが可能になります。
共通点は「同い年」ということだけですから。

もちろんその先にはPR戦略が必要で、異業種とコラボしてリーチの幅を広げるか、同じコンセプトの企業で集まってメッセージを増強するか、メディア系企業とコラボして情報拡散を重視するか、など、お互いのメリットを考えながら企画を立ててコンテンツをつくっていきましょう。


おわりに

今回は、周年コンテンツの様々な事例とテクニックを紹介しました。
タイミング的に丁度良かったのと、事例が分かりやすかったので、猫型ロボットを例に使いましたが、少々頼り過ぎましたかね(笑)

ちなみに本日は海賊王の100巻発売日だそうで、そちらも大きな話題になっていますね。

100巻記念とか、1000日記念とか、記念日マーケティングは奥が深いので、またいずれ。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。



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