2020年2月シンプル決算分析

【エンタメ企業のシンプル決算分析】まとめ記事 ~ゲーム業界は、開発、運営、セカンダリー運営、どの局面も簡単ではない~

2020年2月決算発表があったゲーム会社のうち、4社の決算説明資料について分析したので、今回はそのまとめ記事を書きたいと思います。
ゲーム業界の決算を網羅的に分析したわけではないので全体トレンドが正しいかはわかりませんが、今回分析した会社の個社動向から読み取れる示唆を述べます。ゲーム業界といっても、家庭用ゲームではなく、運用型タイトルを前提にしたスマホゲームを前提とします。

モンストほどのタイトルを運営していてもそれだけでは成長期待に応えられない

スマホ向けの運用型タイトルを事業の基盤に置く場合、ヒットタイトルが出て成長局面にあるうちは安定的な事業成長を実現できます。これは新作のヒットを積み重ねなければならない家庭用ゲームを基盤に置く場合とは異なる点です。
また、ヒットタイトルの生み出す超過利益はとても大きく、それに見合う運営体制の拡大はリニアに行う必要がないので決算の数値は目覚ましいものになり、投資家の期待値をあげます。
一方で、減少トレンドになると維持する対策は取るものの、成長トレンドに持っていくことは難しく、投資家には別の手段で成長を求められるようになります。

mixiもそんな課題を持つ会社です。適切なダウンサイジングをしていけば一定の利益水準は保てるはずですが、成長期待にどう応えるかが課題です。

でも新規タイトルの開発の難易度はどんどんあがっている

現在のスマホゲーム業界で新規タイトルが成功することは簡単ではありません。投資規模は10億円が超えるのが当たり前になり、ある程度成功したとしても開発費の償却負担や大規模運営体制によって利益が出にくくなっています。
また、全く売れない場合も多々あり、その場合は多額の投資額を掛けたにも関わらず、短期間でクローズとなります。

Klabも開発ポートフォリオの見直しに直面しているようで、カジュアルゲームへの参入を表明しています。

mixiやKlabのように大規模タイトルを主戦場にしている会社だけが苦労しているわけではなく、女性向け恋愛ゲームの老舗ボルテージも新規開発案件には苦戦しています。投資規模は数億円なので比較的短期間に様々な形のゲームシステムをトライできますが、まだ収益源にはできていないようです。

新規開発案件の難易度向上によりセカンダリー市場での生き残りも難しくなっている

数年前までは開発規模も数億円という規模で、成功確度もきちんと作れればある程度あったので、収益性が下がってきた運営案件から開発案件に自社リソースを回す流れがありました。そこで成長を遂げたのがセカンダリーマーケットでしたが、開発案件の難易度向上で収益性が高い運営案件は内部に残され、不採算案件ばかりがセカンダリーに出るようになりました。

それでも成長を目指して不採算案件にも取り組んだのがマイネットでしたが、なかなかうまくいかず、構造改革に取組み中です。

最後に

2020年2月に決算発表したボルテージ、mixi、マイネット、Klabの決算を分析したので、それを材料にしながら業界構造にも言及しながらまとめ記事を作ってみました。

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