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2019年に読んだ、おすすめデザイン関連本

2019年はコンセプトデザインをつくったり、noteやTwitterでの発信を継続的に取り組んだりと、今までとは違う取り組みに力を入れた一年でした。その時々の関心や課題感に沿って本を選んでいましたが、振り返ってみると今後の指針になりそうな言葉を見つけるために読書をしていた感じがします。色々読んだ中でおすすめしたい本を取り上げます。

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ /  細谷 功

2014年発売。現実を観察し抽象化することで知識として蓄え、複数の知識を組み合わせることで新たな発想を生み出し、実践を通して再び具体化していく方法論。複数の事象に共通のパターンを見つけ、法則として活用可能にする手法はデザインやアイディアの創出法としても活かせる。 メモの魔力 / 前田 裕二が面白かった人にもおすすめ。

融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論 / 渡邊 恵太

2015年発売。発売当時UIデザイン界隈で話題になっていたが未読だった。自己帰属感〜自己拡張のインターフェース、人の理解と行動を介さずに直接情報と繋がった道具、時間や活動を起点としたインタラクションなど。少し未来のインタラクション・デザインを考える上での道標。後述の「デザインの輪郭 」を併せて読むことで理解が深まった。深澤直人が、デザインの輪郭は使う人や周囲の環境によってつくられると言ったように、インターフェース、インタラクションはあらゆる時間や空間に偏在して融けていくのだろう。

デザインの輪郭 / 深澤直人

2005年発売。発売当時に読んでいたはずだが、改めて読み直したら予言めいた内容にドキドキした。デザインの輪郭はもののカタチそのものではなく、使う人やまわりの環境によってつくられるという思想。iPhone以降、生活のあらゆる場面に広がり続けるヒトと情報システムとそれらを取り巻く場や状況との間のインタラクションを考える上でとても面白い。

takram design engineering|デザイン・イノベーションの振り子

2014年発売。Takram社内で実践するプロトタイピング、ストーリーウィーヴィング、プロブレム・リフレーミングという方法論について。なぜその製品やサービスが必要なのかはプロトタイプからは導きだせないのでストーリーが必要。初期コンセプトもプロトタイピングを通じて、より良いものに変化させていく。プロトタイピングとコンセプト開発の相互作用を重視した制作プロセスに魅力を感じた。自分たちの仕事にも取り入れてみたい。

時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」 / ジェイク・ナップ, ジョン・ゼラツキー他

2019年発売。時短テクではなく、意識的・無意識的に習慣化されてしまった予定や行動を見直し、自分自身の時間と集中を取り戻す方法。多忙は強い意志や生産性向上では解決しない。毎日のデフォルト(習慣)を見直す必要がある。「気が散らないiPhone」と「カフェインの意識的な摂取」を実践している。脱スマホ依存を勧めるこの本を、GmailとYouTubeの元デザイナー2名が書いている点が面白い。テクノロジーは本当に人を幸せにしているのか?という批評性を帯びている。

SHIFT イノベーションの作法 / 濱口 秀司

2019年発売。アイディアを集めバイアスを一旦可視化した上で、それらを破壊し新たにアイディアを生み出すバイアスブレークという手法を試してみたい。図が多く登場するが、その図の作られ方にも興味を持った。ある課題があったらそれを抽象化し、その構造を図として可視化することで誰にでも理解可能にする方法が徹底されている。

イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き / 田川 欣哉

2019年発売。アイディアの作り方とプロトタイプでの具体化について。前述の 「SHIFT イノベーションの作法 」と扱うテーマが共通している。合わせて読むと立体的に捉えられる。

アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る / 藤井 保文、尾原 和啓

2019年発売。OMO (Online-Merge-Offline型ビジネスについて。断片的に見聞きする中国テック事情を各企業の戦略から実践まで把握できる。情報システムが生活のあらゆる場面に融けていったとき、デザイナーはどんな課題を扱っているだろう?

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番外) 三体 / 劉 慈欣

デザインと関係なく、夢中で読んだSF小説。文革からVR・多元宇宙までをテーマに扱う。スケールの大きさと重厚さと読みやすさが両立してて、無類に面白かった。続編の翻訳が楽しみ。再びSF小説を読み始めるきっかけになった。

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