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アティテューディナル・ヒーリングについて/愛か、怖れか

唐突ですが、今回はアティテューディナル・ヒーリングとはどういったものなのかを参加者の視点から説明したいと思います。これは何かと申しますと、位置付け的には自助グループとなるのですが特定の依存症や、精神疾患の有無に関わらず、日常の中でのモヤッとしたことを抱えている方なら誰でも参加できる場所です。

アティテューディナル・ヒーリング(以下AH)というと耳慣れない響きですし、発音するのも少し大変なのですが(笑)、なるべく上手くニュアンスが出るように訳するなら「態度を選択することによる癒やし」とでもなるでしょうか。
もう少し広げると、嫌なことやモヤッとしたことに対する自らの態度や見方を自分で選びとることで癒しが発生する、そういった場所なのです。

発祥はアメリカで、精神科医のジェリー・ジャンポルスキー氏が始めた活動です。日本ではその薫陶を受けた精神科医の水島広子氏が発起人のAHJ(アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン)という団体が執り行っていて、全国的に展開されています。

では、AHで具体的にどんなことを行うのか説明していきます。AHは複数人で行うものです。ファシリテーターと参加者が輪になって座り、自分の話をしたくなった人から挙手し話して行きます。話を聴く方はアドバイスや意見などを場に出さず黙々と話を聴いていきます。
AHでのメインは話を聴くことです。聴き手は頭の中に雑念(「私だったらこうするな」とか「その気持ちわかる」などなど)が湧いたら脇に於いて黙々と瞑想のように聴くのです。話し手の話に対して、評価やジャッジメントをしない。存在と暖かい関心のみを場に差し出すイメージでしょうか。
話し手としてのポイントは、なるべく出来事でなく気持ちを話すと自分にとって良い効果が見込めます。

AHでは、参加者の身の上話の他は何も場に提出されません。しいて言えば、話終わった後にAHカードという、世界に対する見方のカードをおみくじ的に引いたりはしますが、おみくじの言葉をかならずしも受け取る必要はありません。
心理療法の経験者などは「それで何か良くなるの?」と思われるかもしれませんが、ただシンプルに聴くだけで参加者は元気になったり、各々の課題に取り組み直したりということが起きます。

AHには聴くことはあっても、応答がありません。応答がないので対話ではないのです。地球上でもっともシンプルな聴き方と言えるかもしれません。
日常、我々は聴き手になった時マナーとしての応答を求められたり、応答しないにしても心の中でふいに評価してしまったりします。それらが発生しない空間とはとても特殊な空間なのです。

AHでは、「不要なことはやらない」といったいくつかの共有がありますが、またある一定の思想(ガイドラインや原則)を皆で共有してから場に入っていきます。これも色々とあるのですが、中心となる思想は「愛」でありその反対に「怖れ」が配置されているのが特徴です。
「愛」とは抽象的な概念であり、人それぞれの定義があると思うのですが、AHにおける「愛」とはまず持って経験して感じるものであると言われたりします。その上でもう少し言葉にするなら「ポカポカと
心が暖かくなる感じ」
くらいの意味合いで「愛」は使われています。
暖かい心(愛)を抱いている時、人は怖れを持てない。これはかなりの卓見であると思います。皆で怖れを手放し、暖かい心と空間を作ることが出来れば人はそれだけで前に進めるのかもしれません。
また、これは聴き手としての視点なのですが、ジャッジメントや評価を手放して、応答せずに場に存在すると無駄にに疲れないのです。日常、どれだけ自分で自分を疲れさせているか、という事が体感できます。また、疲れないどころか、とても元気になることも出来ます。聴き手のみで自分の話をしない会だとしても元気になるのは不思議なものです。

〈参加方法〉
ここまで読んでいただけた方で、AHに参加したくなった方向けに情報を記したいと思います。

参加するには、AHJのホームページにアクセスしていただき、スケジュールから入門ワークショップをメールでお申し込み下さい。
ワークショップの前にAHの教科書的な書籍『怖れを手放す』を読むと良むことになっています。ワークショップ後は各地・オンラインのグループワークに原則無料で参加することが出来ます。
最近では、水島広子先生のYou TubeチャンネルなどでAHの情報発信をされていますので、雰囲気をつかむのに視聴するのもまた良いかもしれません。


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