『孟子』84滕文公下―孟子と公都子の対話 理屈っぽいわけ〈3〉楊朱・墨家批判
*前回の孟子の言葉は、さらにつづきます。
……。
孔子が『春秋(しゅんじゅう)』を作った後も、結局、聖王はあらわれず、諸侯は好き放題にしている。
そして、遊説する学者たちも横柄な議論をくりひろげ、楊朱(ようしゅ)や墨翟(ぼくてき)の言説が天下に満ちあふれている。
天下の言論といえば、楊朱でなければ、墨翟を信じてしまう、という状況だ。
楊朱の一党は、あらゆることは自分のためだけに行動するのだというが、これは君主をいただく秩序を失わせている。
墨翟の一党は、誰彼かまわず差別