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呪いの正体 ―前提を書き換えるー

わたしはずっと、心のどこかで「自分は女らしくあってはならない」と思って生きていました。

そして、同級生が男子からちやほやされたり、親戚が集まるたびに従妹がもてはやされたりするのを見ては、「あの子は可愛いから特別なんだ」とあきらめ、「どうせわたしは可愛くないから」と陰で卑屈になっていました。

わたしは不細工だから、陰でみんなに笑われている。
わたしは可愛くないから、可愛い服を着ちゃいけない。
わたしは美人じゃないから、人に甘えちゃいけない。
わたしがきれいに化粧をしたって、どうにもならない。
わたしが着飾っても、嘘の自分になるだけだ。
やるだけ無駄だ。やらないほうがましだ。

自分が女っぽいふるまいをすることが、とにかく恥ずかしかった。
格好つけているようで。媚びを売っているようで。

変に女扱いされることも苦手でした。
別にわたし弱くなんかないし。ひとりでなんでもできるし、と。

ひどいときは、女に生まれたことを恨めしく思ったこともありました。
男に生まれていたら、こんなことで悩まなかっただろうに、と。
(男性には男性なりの悩みが当然あるんでしょうけど。)

でも、そんな思いとは裏腹に、ちやほやされている人に嫉妬していたのも事実。なんであの子ばっかり、って。

劣等感からの反動か、人より優位でありたいという思いばかり強く、「あの子より私の方が髪がきれいだ」とか「あの子より私の方が頭がいい」とか、自分の勝手な基準で相手が自分より劣る部分を見つけては、自分を高めようと必死になっていたこともありました。

しかし、数年前のある時、ふと「なんで?」と思ったのです。
なんでそう思ってんの?って。
それまでの人生で、一度も持ったことのなかった疑問でした。

わたしが女らしくなったら、誰かに怒られるんだろうか。
わたしが可愛い服を着たら、機嫌を損ねる人がいるんだろうか。
わたしがきれいになったら、世界が滅亡したりするんだろうか。

仮に、わたしが女らしくなって怒る人がいたとして、その人は何の権利があって怒るの? ほんで、それは誰なん?

仮に、わたしが可愛い服を着て機嫌を損ねる人がいたとして、なんでわたしがその人の機嫌を取らなきゃなんないの? てか、それって誰のこと?

仮に、わたしがきれいになって世界が滅亡したら、一体誰がわたしのせいだって責めるの? 滅亡したら誰もおらんくなるやん。

待って待って、それってつまり…

そんなやつ、どこにもおらんてことやんかーーー!!!!

どうやら人は、自分の中にある「呪い・前提」をもとに世界を作り、その世界がすべてだと思い込んで生きてしまう生き物のようです。
わたしの場合は「自分は醜い=愛されない」という前提があったからこそ、その前提にふさわしい自分になるような言動をしつづけていたのです。

何気ない「なんで?」によって滑稽かつゾッとする呪いの存在に気付けたことで、わたしはようやくそれを解くことができました。

呪いが解けたら、なんだか肩が軽くなった気すら。
これが、憑き物が落ちたってやつなのか。ひぇっ。

身軽になったわたしは、いっそのこと新しい呪い、もとい、前提を設けることにしました。

それは、「自他から愛されているわたし」。

わたしはずっと、自分が醜いから愛されないんだと思い続けてきました。
醜いから自分を愛せないんだと思ってきました。

でも、そうじゃなかった。

無条件に愛される価値が自分にはある。
そして、実際に愛されているかどうかをわざわざ確認しなくてもいい。
ただ、そういう前提で生きていればよかったのです。

すると、辛いときに寄り添ってくれた友達のありがたみだったり、勇気を振り絞ったおかげで貴重な経験ができたことだったり、雨風がしのげる住まいがあることへの感謝だったり、あらゆる場面で自分がいかに満たされているのかに気付くことができました。

自分にないものにばかり目を向けていた視線をほんの少し変えてみたことで、自分がすでに手にしているたくさんの大切なものの存在を愛おしく思えるようになりました。

そして、自分を満たしてくれていた人やものや環境に、わたしの美醜なんてこれっぽっちも関係がなかったことにも気付けました。

その後、そこからさらに自分の心持ちがどんどん変化していきました。

わたしが本当にやりたいことってなんだったけ?
やってみたいけど躊躇していたのはどうしてなんだっけ?

こんな風に他にもいろんな呪いがかかっていたことに気付き、それらも次々に取っ払っていくことができました。

もちろん、まだまだしつこくこびりついている呪いはいくつも残っています。それでも、以前に比べると格段に生きやすくなりました。

もし、何かで過度に自分のせいにしている瞬間に出くわしたら、なぜそう思うのかを掘り下げてみてください。もしかしたらそれは、自分が勝手に作り上げた虚像だったりするかもしれません。

そんな虚像、がちーんと割ってしまいましょう。
びりびりと破ってやりましょう。

呪いが解けたら、美しいお姫様や王子様の姿がよみがえる…! なんてことはないかもしれませんが、視野が広がり、視界がぱぁっとクリアになること間違いなしです。

何気ない思考のクセ、一度とことん疑ってみてください。ぜひ。


Shina

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いろんな分野に好奇心丸出しで首を突っ込みつつ、野球にまつわる絵を描いたり、もっと野球を楽しむための学びに取り組んでいます。みなさんの素敵なnoteに触発されながら、わたしならではのnoteを綴っていきます。よろしくお願いします。