落日の公明党
先の統一地方選挙の結果から今後の公明党の未来について、創価学会2世会員の視点から考察してみる。
支持団体、創価学会の衰退。
学会内部からの視点でかつての勢いを知る私の感想は、率直に言って、創価学会は確実に衰退しているという事である。
日々の活動から客観的に見て感じるのは、総じて学会内の活動家の高齢化である。
学会活動の基本ともいえる、月に一度の座談会はまさしく衰退を絵にかいた様である。
基本的に座談会は月に一度行われ、地域の約10~20世帯を1ブロック単位に構成されるが、定期的に参加する人数は、約5名~10名程度というのが多い。
構成は、座談会を主催するブロック長、そして女性部のブロック責任者の白ゆり長、地域を統括する担当幹部、もしくは地区部長もしくは、地区婦人部長(地区とは、3~5ブロックをまとめたエリア)そして、活動家3~5人程度。
参加者の年齢層は極めて高い。
20代~30代の学会員、男子部、女子部(現在では、女子部・婦人部を合わせて女性部という)は、それぞれの会合があり不参加が多い。
人材が豊富であれば、ブロック長は、壮年部(40歳以上の男性)がなるべきであろうが、かつて地区部長・支部長・本部長を務めた人が、還暦を過ぎ、社会的にも一線を退いたのちになり手不足を補充するかとごとくブロック長として老体に鞭打ち活動をされたり、兼任をしている場合がままある。
若手がいないのである。
また、昨今のコロナ禍により不参加者の増大に拍車が掛かるとの同時に、LINE等で、自宅もしくは会合場所以外からの参加という手段が可能になった為、出席率は下がる傾向にあるし、今後増える要素は見えてこない。
また、人材グループ(創価班、牙城会等)に登用される場合、一年間の教育期間として大学校に所属する必要がある。
私も、牙城会大学校を経て牙城会に所属するわけだが、大学校での一年の間に、小説「人間革命」の全巻読了、新聞啓蒙1部12ポイントの獲得、1世帯の折伏が目標として課される。
近年、創価班、牙城会それぞれに大学校を設けていたが、統合された。
人材グループへの参加者が確実に減っていると思われる。
創価学会の機関紙「聖教新聞」から見る衰退。
学会では、新聞啓蒙運動(購読者数拡大)の打ち出しが年に数回各末端組織に出される。
購読者数は550万部ともいわれ、全国紙の中ではランキングは、読売新聞につぎ2位である。
しかし、内容は、ほぼ学会内の広報誌で、機関紙と言っていい。
有名な話ではあるが、聖教新聞は自社で輪転機をもたず、毎日新聞、朝日新聞等の各社の輪転機の稼働していない時間帯を共有して発行してる。
先述の通り、学会組織内で、人材グループ育成の度に毎年ある一定の部数増は見込め、新聞啓蒙運動を機に新聞の購読の継続もしくは増が見込まれるが、その新聞を配達する人材不足が露呈する。聖教新聞は、活動家が低額の報酬で各家庭に配達するシステムが出来上がっている。学会内では、「無冠の友」と呼ばれる。しかし一部の地域では、配達を読売新聞の販売店に委託するケースも出ている。
様々な理由はあるにせよ、配達員の不足を邪推せざるを得ない。
かつて、私も日曜日限定で一時期、3ブロック分配達していた事があった。
学会員ではあるが、いわゆる未活動者で、新聞だけを購読している人や、単身所帯にも関わらず複数購読していたり、1世帯で4部、5部と購読している世帯もあった。
実際に聖教新聞の内容をどこまでの人が熟読して理解をして信心を深めているのかは疑問である。
若年世代の創価学会離れ。
学会エリートとか学会公務員と揶揄される人達がいる。
彼らは、学会2世、3世で、創価小学校、中学、高校、大学出身者達だ。東京、大阪にそれぞれあり。東大、京大といった一流大学を蹴って創価大学に進学する者もいる。
彼らは、学会組織で育まれ、大学卒業後は、学会本部や聖教新聞、その他関連会社に就職する者もいる。また、学会組織では、先に述べた人材グループに入り、青年部内での幹部役職に就いていく事が多い。
また、学力が高い子供達が、一流大学を蹴って敢えて創価大学を目指すため、法曹界、医学界、教育界、高級官僚、一流企業へ進む学生も多い。
創価大学出身でなくとも、高学歴の者も多く、学会内で上場企業に勤める者達のグループに所属する事になり、地域組織の幹部になっていく場合も多々ある。
かつてその親世代は、創価学会が躍進している時代に苦労を重ね何とかして我が子を創価高校、大学に進学させ、子の幸福を祈ったことであろう。
当の子供達は、学会内で大人になるまで純粋培養された為、世間の学会批判や様々な世間的な仕打ちから逃れられていたかもしれないが、いざ社会に出てみると思わぬ現実に向き合う事が多い。また、これだけの情報過多の時代に様々な情報に触れ、現実を知り悩み苦しむ若年世代も多い。
当然ながら、創価学会の組織からドロップアウトする人もいる。しかし、幼少の頃から信仰という名で心を支配され、退転者に対する仕打ちを見てきた者たちが、創価学会を脱会するという選択肢は低くせめて自分の意思表示として未活動者となる人が多い気がする。
脱会するという事は、親兄弟、親戚、配偶者を巻き込んでしまう事を知っているからである。
この現象は、この10年、20年インターネットを中心に、新聞やテレビではなく自分から簡単に情報を取得して、解釈をして、発信し、共有できる環境になってきた事も原因の一つかと考えられる。
市民権を得た保守主義という思想。
民主党政権時の3年3か月、尖閣沖中国漁船衝突事件の処理を巡り、民主党政権が隠し続けた事故当時の動画が流出した事で、民主党政権が、中国にあまりに忖度をしすぎている事に不信感がつのり、東日本大震災を経験した国民は、誰しもが、自分が日本人であり、日本の国土を意識し始めたのではないだろうか。
また、当時の野党としては公明党は、力強くそして厳しく民主党を追究する事で、自民党と一緒に大きな支持を得たのは確かだが、それ以上に、左翼への嫌悪感が国民の間で広まったのは確かである。
第二次安倍政権は、賛否両論ありながらも巧な政権運営で、選挙を勝ち続け8年8か月の期間に確実に自民党の岩盤支持層を固め、多くの国民に保守主義を浸透させてる事に一定の成果を見出す事ができた。
それは、ある意味、民主党(立憲民主党)、社民党、共産党のおかげでもある。
駅前や公園等で「アベ政治を許さない!」のプラカードを持った動員された老人達に、誰が共感を持てたというのか?
テレビで情報を得る事を辞めた人達は、自分でネットから情報を得て、自分なりの解釈で判断してくことがここまで進むと正しい情報なのかフェイクなのかもネット上で注意喚起が行われる。
現在でも左翼のネットでの発信も稚拙極まりない状態で、保守層から恰好のネタである。
既に、保守主義は確実に日本のサイレントマジョリティーにしっかり浸透していて、それは創価学会会員にも浸透してると思われる。
それは、公明党の得票数にも表れていてると思われる。
学会員が、己の意思を持って選挙の投票するようになったのである。
出口調査で、多くの学会員は公明党支持者で、公明党に投票しましたと答えるだろう。
しかし、一定数は、公明支持者を自称しないはずで、ましてや、公明支持者だけど、今回は他党に投票したとは、学会員であればかなり勇気のいる事だろう。
今後の公明党
今後の憲法改正論議、LGBT法案の件についても、自民党支持層と公明党の考えには乖離がある。しばらくは自民党は公明党を切る事は出来ないが、保守層で、自民党に入れたくないという人達は、維新や国民民主党へ流れるだろう。
かつて、自民党にお灸を据えるといって民主党に投票しその後の民主党の3年3か月の事は、忘れる人はいないだろう。
そうなると、その受け皿としての上記2党なら安心して保守の受け皿になると判断するだろし、維新の躍進は、今後、公明党には忖度しない体制をとっていく事が確実で、常勝関西と呼ばれた公明党にとって象徴的な絶対死守の防衛ラインが、主戦場になる事は確実である。
現在の自民党執行部は、自民党支持層からは、決して評価は高くない。
岸田政権は、支持率を背景にサミット後に衆議院解散を打つ可能性が高い。今なら、立憲民主党と共産党を壊滅に追い込む最大のチャンスである。
維新が解散までに関西以外にどこまで候補者を擁立できるか、立憲民主党の内紛がはたして始まるのか。
公明党は、創価学会は、どこまで組織内の引き締めができるのか、お得意の「反転攻勢」が組織内で浸透するのか。
今後も注視していきたい。
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