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図書館という世界

先日、祖母が亡くなった。  

祖母は、75歳の時に大学(通信)心理学専攻に入学し、レポートとスクーリングを難なくこなして卒業した強者だ。

スマホを使いこなし、亡くなる直前まで、LINEで「元気だよ」とスタンプを送ってきていた。

そんな祖母は、私が幼い頃、よく”図書館”に連れて行ってくれた。

1968年に建てられた市の図書館は木々に囲まれ、建物自体も葉で覆われているようなあまり生気を感じない外観であったが、ほんのり香るカビ臭さや薄暗く迷路みたいな間取りから”ミステリアス”という魔物が住んでいそうで、祖母の手を引き”探検”するのが好きだった。

”本を読む”祖母を”本を読まない”孫が見守るというなんとも滑稽な構図であるが、当時は”本が好き”というよりは”祖母が大好き”だったようだ。

祖母との思い出を回想しつつ、まわりを見渡すと、新聞を読んでいる人、走っている子ども、そして「しーっ」と注意をするお母さん、椅子で寝ているサラリーマンや勉強している学生がいる。

私も他者から”そのように”見られていることがあったのかと思うと可笑しくなる。

これからも祖母が教えてくれた”図書館という世界”を味わい深く感じていこうと、私はいま図書館でそんなことを考えている。

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