見出し画像

「続ける」ことを阻む最大の敵について

「続ける」ことを阻むもの──
飽きる、忘れる、面倒になる、いろいろあると思うけど、
最大の敵は「目的を達成する」ことだと思った。

達成は魔物だ。

「目的を達成する」それ自体はとても素晴らしい。
だいたい「続ける」こと自体が
何かの目的を達成するためにやっていることがほとんどだ。

1日1冊100日、本を読む。
1年間毎週noteを書き続ける。
何らかの目的を決めて人はがんばる。

やってる間は、情熱を注いでやっていく。
途中で脱落する人もいるとは思うけど、
がんばる人は必死でやり抜く。

がんばって、がんばって、ついにその日がくる!
やったーーー!!やりきったーーーー!!!

達成感は最高潮に高まって、祝いだ、祝いだ! 酒もってこい、ビールだ、ビール!!わっしょい、わっしょい!!
やったー、やったよ、やりきったよ。

そう、これが「魔物」だ。

目的が大変なら大変なだけ、やりきった感も大きい。
そしてものすごい解放感を味わう!!
それまで上がってきた熱が、最高潮に達する。
そして少しすると熱が冷めていく、
解放感と同時にそりゃもうすごい勢いで熱が冷めていく。

さて、そのあとどうする。
この先もまだ続けられるの?

ちょっと休んでから、気が向いたらまた続けようかな…
なんて思ってると、もうはじめるのがイヤになる。

強制力の働く仕事とかならまだいい。
でも実際にはやらなくていいようなことの場合は
再開するのがキツイ。

やることの大変さを知ってるから、
また同じことをしようと思っても「またあれやるの〜?」ってなる。
あの情熱の火はどこへ…

……これが一昨日のわたしだ。

noteを1年がんばって書いて、そりゃ解放感がハンパなかった。

もう書かないでいいんだーって、解放感。

本気で「もうやめよう」って思っていたんだけど、
何を間違えたのか、うっかり「続けます」って書いてしまった。

あとで冷静になってみて、
「またあのつらい思いをするのか〜」ってちょっと憂鬱になった。

例えばこのあと何週か休んだとして、いったいいつはじめるんだろう、「ゆるく続けます」って言ってはみたけど「ゆるく」って何だろう…

やる気を失いかけてたんだけど、
ちょっと待て!
と、思い直した。

自分で書いていたじゃないか!
「仕事にやる気を出し続ける習慣術」

「やる気」を出し続けるためには、動くことを止めないこと。
常にほどよくエンジンをかけておく。
そのためには負荷をかけること。
あえて負荷をかけることでエンジンを持続させる。

これしかないじゃん。
負荷をかける。

解放感で満たされてるから、中途半端な負荷じゃエンジンがかからない。
そう思って翌日、連続でnoteを書いた。

休むとかそういう考えを捨てて、今すぐ始めるしかない。
生まれ変わろう!
そういう宣言の意味もこめて書いた。

書くと決めたら、すぐエンジンがかかった。
この方が楽だ。

休んでエンジンをかけ直すより全然楽に動き出せる。

当たり前のことだった。
100冊の本を読むと決めて達成したらどうするか? 次の日に101冊目を読む、それだけだ。

ゴールにたどり着いたときこそ、淡々と続けてやる。

「目的の達成」をゴールだと思うと、そこで試合終了だ。

映画監督になりたいという夢があったとして、
がんばって映画一本撮って、やった夢がかなった!
映画監督になった!!
で、その一本で夢は終わりか?

ライバルに勝つために特訓を重ねて、遂にそいつに勝つ。

好きだった人に振り向いて欲しくて、自分を磨いて、告白してついに付き合うことになる。

映画なら、それがラストシーンだ。
そこで物語は終わる。

しかし、現実ではそこで終わらない。
その後も人生は続いていく。

「目的の達成」は終わりじゃない。
次の目的の始まりだ。
ゴールじゃなくて通過点。

簡単な目的も、大きな夢だって、日々の仕事だって、結婚だってなんだって同じ。
何か「目標」を叶えた後に、また当たり前の日常が続いていく。

「達成」は終わりじゃなくて、新たなスタート。
そう思っていないと達成は魔物になる。

目的を達成したら、そのときは喜ぶだけ喜ぶ。大いに祝った方がいい。
でもまたすぐに新しい目的に向けて歩き出す。
淡々とまた新しい目的に向けて積み重ねていく
そういうマインドセットが必要だ。

数年前に見た「フリーソロ」って映画に、その究極系のようなものを見た。

数百メートルの断崖絶壁を命綱となるロープや安全装置を一切使用することなく、自分の手と足だけで登るという「命がけ」のクライミングを撮ったドキュメンタリー。
指先の動きを1mm間違えただけで即ゲームオーバー=死が待っているという危険きわまりない挑戦だ。
この映画撮ってる最中もフリーソロをやっている他のクライマーが死んだニュースが入ってきて、こんなこと続けたらたぶん確実に死ぬ。
※念のために言っておきますが、この映画、高所が苦手だったり心臓の弱い人は見てはいけません。

ネタバレも何もないと思うので言っちゃうと、主人公は登頂に成功する。
8年間思いをはせて、体を作り込んで、ルートを研究して、前人未踏のエルキャピタン登頂を達成する。
ふつうなら歓喜して、喜び狂いそうなところだけど、この主人公はまったくそうならない。
登り切って、笑ったような、何かをかみしめるよな顔をして、それだけ。
彼女に「登ったよ」って電話して、今日のトレーニングをまだやってなかったなーって、トレーラーハウスに戻って何もなかったかのようにその日のトレーニングをはじめる。
長年夢見た偉業を達成したのに、何という淡々とした日常感。
そのくらいのマインドじゃないと、こんなとんでもない偉業は達成できないのかもしれないが、とにかくそのあまりの達成感のなさに正直言って驚いた。

これこそがある意味で究極だ。
「こうなりたい」とは、とても思えないけど、この姿勢は見習ってみたい。

なので今日もわたしはnoteを書いた。

別に毎日書こうと思ってるわけじゃない。
さすがにそんな余力はどこにもない。

それではまた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?