見出し画像

ライブハウスをプラットフォーム化する

音楽練習スタジオを利用していると、いつも思うのだが、どうしてオンライン予約ができないのだろう(できるところもあるが)。どうして支払いを事前にできないのだろう。レンタル品もサイト上でポチれたり、スマホを掲げるだけで入退室できたり、今あるテクノロジーをちょっと使うだけでユーザーエクスペリエンスを大幅に向上出来る。

とまあ、スタジオについては企業努力といくつかのスタートアップに頑張ってもらうとして、そのいっぽうで、慣れ親しんだライブハウスが次々と無くなっている現実がある。再度バンドマン達やライブハウス事業を活性化する方法はないのだろうか。

テクノロジーで解決できることは多そうだ。


プラットフォームとしての問題点

そもそもライブハウスって典型的なオフラインにおけるプラットフォームビジネスだ。コアな取引となるのは、リスナーとアーティストをマッチングさせること。でも実態は?

近年経済を支配しているのは明らかにプラットフォームビジネスである。Google、Apple、Amazonが良い例だ。Googleであれば、情報を探したい人と、情報を提供したい人をマッチングさせること。このどれもがインターネットを活用した事業であることが前提であるが、オフラインと融合することは出来ないのだろうか。

プラットフォームビジネスにはネットワーク効果というのがある。利用者が増えれば増えれるほど、プラットフォーム自体の価値が上がるというもの。例えばUberは、タクシーの運転手と移動したい人をマッチングさせるが、運転手が増えれば増えるほど、利用者はより簡単にタクシーを捕まえられるようになる。価値が上がれば上がるほど利用者はどんどん増えていく。

では、ライブハウスはどうだろう。リスナーが増えれば増えるほど、バンドマン達はそこで演奏する意味が出てくる。だがこういう仕組みにはなっていない。なぜならプラットフォーム側(ライブハウス)が、コア取引(リスナーとアーティスト、もしくはアーティストとアーティストのマッチメイキング)をコントロールしてしまっているからだ。

リスナーは、お目当のアーティストは観れても(そもそも知っているし)、対バンについての情報収集は労力を割かないといけないし、アーティスト側は対バンも日程も選ぶことができない。プラットフォームの参加者同士に透明性と自由度がないのだ。ここを円滑にすることが出来たら、ネットワーク効果が生まれ、利用者が増え、ライブハウス事業の活性化に繋がるんじゃないだろうか。


それぞれの課題を整理してみる

ここで、ライブハウス、アーティスト、リスナーの3つの視点で課題を勝手に洗い出してみた。

ライブハウス
・ブッキングや企画のスケジュールを組むのが大変。
・アーティストによって集客力がバラバラ、毎月の収益が予測しづらい
・拘束時間が長い

アーティスト
・あのバンドと対バンしたい、でも出来ない
・お客さんがいつも身内ばっかり
・ノルマがつらい

リスナー
・1バンドだけ観てドリンク代混みの2,000円の心理的ハードル
・基本立ちっぱなしで、疲れる
・タバコ臭くなる
・腹減った

三方良しになる方法はないだろうか?UberやAirbnbのようなWebプラットフォームを作り、いまや一般的になったそのテクノロジーを用いる前提で考えてみよう。


アーティスト同士をWeb上で自動マッチングさせる

ライブハウスは、アーティストを集めて魅力的なイベントを企画しないといけない。ここを自動でマッチングさせる。ライブハウスはカレンダーにおおまかなスケジュールだけ入れておく、この日はブッキング、店企画、とか。そしてアーティストはライブをやりたい好きな日を選ぶ。

マッチングさせるための機能として、アーティストにスコアリングをする。つまり点数を与えるのだ。今までの出演回数、平均集客数、リスナーからのレビューなどを要素に、加点していく。数値化できそうなものはすべて、だ。

それによりアーティストのレベルが可視化され、近いレベル同士のアーティストがマッチングされ、ジャンルなどの要素も合わさって日程の候補がレコメンドされたりもする。加えて単純にTinderのように、「対バンしたい / 興味ない」という2択の仕組みがあってもいいかもしれない。

ライブをたくさんやる、集客をがんばる、を繰り返していけばアーティストのスコアは上がり、高いレベルのアーティストと共演できるようになる。

ライブハウス側はブッキングや企画の手間が省けるし、アーティスト側はスコアリングされることで、現在自分たちが、どの立ち位置にいるかが分かるようになる。


リスナーにとって過ごしやすい環境を提供する

私はイギリスとシンガポールでバンドやってたのだが、海外のライブハウスは(どちらかというとPubとかBarである事が多いが)、飲食スペースとステージがはっきり分けられてることが多い。

日本の多くのライブハウスは会場内に逃げ場がない。18:00にオープンして、22:00頃まで全アーティストを観るのに、ずっと立ちっ放しなのは正直ツライ。タバコの煙にもまみれるし、飲食スペースで飲んで食べて休んで、良さそうなアーティストの音が聴こえたらステージに観に行くというのは肉体的にもラク。

リスナーが気軽にライブハウスに行けるようにするためにもこういう工夫があるといいかもしれない。これが実現できると、知らないアーティストでもフラッと観に行くようになるかもしれない。


月額制のサブスクリプションモデルを導入する

たとえば、リスナーは毎月3,980円を払えば、ライブは観たい放題というようなプラン(サブスクリプション)を作ればいい。

解約されなければ毎月の収益は安定するし、上記のように飲食スペースが確保できれば、収益はそこでも確保できるし(美味しい料理とドリンクを提供することが前提だが)、そうなればアーティスト側がノルマを払わなくていいようなモデルも構築可能なはず。

リスナーにそのプランを解約されないように、ライブハウス側は努力をし続けなければならないが。


真のプラットフォームを目指すには

ライブハウスには音楽好きが集まる。アーティストはリスナーでもある。リスナーはアーティストでもある。そこにはデザイナー、カメラマン、PA、イベンター、いろんなクリエイター達がいる。お互いがお互いを必要としているはず。

その全員がライブハウスというプラットフォームを通じてもっと円滑なコミュニケーションをとれたらいいと思うし、そうすればいろんな機会も生まれる。

防音施設、法律、立地の問題など、日本ではなかなか難しい側面もあると思うが、オンラインでもオフラインでもクリエイター達がもっと自由に交流が出来るようになり、そしてバンドマン達が増えるような状況を作り出したいと考えている。

ちょっと雑な内容になってしまったが、是非みなさんと議論してみたい。

#ライブハウス #音楽 #バンド #スタートアップ #スタジオ #プラットフォーム #UX #ビジネス #IT #ネットワーク効果


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?