バリスタが、コーヒーについて考えていること。(味覚編)
こんにちは!ROKUMEI COFFEE CO.バリスタのShimoです!
働き方や業界について書いてばっかりなので、そろそろバリスタらしいことも書いていこうかと思います。
お前本当にコーヒー淹れられんのか?とか言われないように、バランスをとっていきますね。笑
実際に僕がコーヒーについて考えていること、ということで。
本日は味覚に絞って簡単にポイントにまとめてみました。
初めての方にも分かりやすいように出来るだけ、シンプルに書いていきますね。
はじめに。
人間は基本五味(酸味・甘味・苦味・塩味・旨味)で味覚情報を判断しています。
この中で、コーヒーが味覚に情報を与える大きな要素は酸味・甘味・苦味です。
そしてコーヒーの成分は酸味→甘み→苦味→渋み・えぐみの順番で可溶性物質が溶け出ているということを覚えるだけで、まずワンランクアップです。
もちろん、「酸味が全て出終わったから甘味が出てくる」みたいにパキッとセクションに分かれているなんてことはありません。可溶性の高い順だと思ってもらえるといいと思います。
その中で、酸味は非常に溶け出しやすいです。
そして実は、甘みと苦味は意外と溶け出しにくいんですよね。
まず、これを前提条件として一つの液体としてカップ内の『酸味・甘み・苦味』のバランスが適性か。というところを大切にしています。
ここで大切なのが、どこからそれを感じているのか。
嗅覚なのか、味覚なのか、痛覚なのか。というところ。
酸味と甘みと苦味は味覚です。コーヒーのフレーバーは嗅覚です(味覚と連動した印象も存在します。)渋みとえぐみは痛覚なんですね。
味覚のパワーバランス
味覚には力関係があります。その力関係とは、感じやすさですね。
苦味が1番感じやすく、次に酸味、その次に甘みなんです。
甘味に関しては、コーヒーに含まれる糖類の総量自体少ないのですが、その中でも甘みの弱い多糖類という成分が多く、強い甘みを感じられる単糖類はごくわずかなんです。
なので僕は、ちょっとの苦味と、最大限の甘み、そして適度な酸味を抽出することでバランスを構築していくわけですね。
その味覚は舌に乗って、味蕾で感知されてから脳へ信号が送られます。
感じ方に個人差も大きく、同じコーヒーを飲んでも「美味しい」「酸っぱい」「苦い」と意見が分かれるんですね。
体調によっても大きく感じ方が変わります。
プロはこういった感覚の誤差を埋めるためにキャリブレーションと言って、複数人で同じカップを共有して、感覚をすり合わせることで客観的に液体を評価できるように調整します。
超絶悪者、SHIBUMI&EGUMI
そして厄介なのが、痛覚で感じる渋みとえぐみ。こいつらは伝達スピードが脳に直接伝わるくらいの早さです。熱いものを触った時に、「アチッ!!」って反射がおきますよね。それと同じです。
同じ液体の中に潜み、入り口も同じ口からなので判別が難しいかもしれませんが、感じ方の構造がそもそも味覚と違うんですね。
よっぽどのコーヒー好きでもない限り、苦味と渋みの違いがわからないと思います。実際にバリスタでも判別出来ない人もいるんじゃないでしょうか。
よーい、ドン!
ということで、渋みとえぐみは、味覚で感じる情報よりも早く脳に伝わってしまいますので、味覚で感じたコーヒーの美味しさを脳が確認する前に、脳内の情報を占有してしまう悪いやつなんですね。
渋み・えぐみの成分が多いと、最後まで飲みきれないような、ちょっとしんどい液体になってしまいます。
「苦くて飲めなーい」の真実は、渋み・えぐみの仕業かもしれません。
もちろん、深煎りであれば苦味の割合が多くなるので一概には言い切れませんが。
みたいなことを考えてます。
美味しいコーヒー。
上述したとおり、味覚バランスが綺麗に整っているカップであるということが大前提になってきますが、この味覚バランスが整うということは、酸味・苦味・甘味の量が常に一緒という訳ではありません。
相対的なものではなく、絶対的なものです。コーヒーの種類、コンディションによって、バラバラなんですね。
ただ調和させるために十分な甘味は必須だと考えています。
熟していない酸っぱい果物と、熟した甘い果物。皆さんはどちらが好きですか?
後者が好きな人がほとんどだと思います。コーヒーも同じなんですね。
「酸味のあるコーヒーが苦手」を一つとっても、個人の体験からくる感覚的なものなので、「好みとしてが酸味が苦手。」なのか「そのとき飲んだカップのバランスが悪くて酸っぱすぎると感じているだけ。」なのか。
この差というのは、私たち提供する側からするととても大きく、でもなかなかお客様へ踏み込めない領域なんです。善意の提案も一歩間違うと、”押しつけ”になってしまいますからね。
ぜひ、次にコーヒーを飲む時(特にスペシャルティコーヒー)は酸味と苦味と、甘味をどのように感じるかちょっと考えてみてください。
自分の好みが少しだけ、明確になると思います。
もちろん、考えすぎてしんどくならない程度に。笑
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
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