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田舎には就職先がない…?あるよ。

田舎に移住して5年、ドーナツ化現象の団塊ジュニアです。自然農の稲なのに所々倒伏している、水を張りすぎたかな。稲刈りまでもう少し何事も起こりませんように。

田舎に就職先はない、みんな言ってます。何をもって田舎に就職先がないのか、都内の外資系で働く年収1000万以上のビジネスマンにとっては間違いなく就職したい会社はない。しかし、都内のブラックで働く年収500万くらいまでの営業マン・作業員にしてみれば田舎にも就職してもいいかなと思える会社はある。

田舎の人気就職先トップは、同率で学校の先生と役場の職員である。ようは地方公務員で、このツートップはどこの田舎でも間違いなく翼くんと岬くんであり異論はない。親は皆子供をこの二つのどちらかに就職させたい、そして2世帯にするか近くに家を建てるかいずれにせよ子供は地元で暮らす、孫も地元で育つ、これこそが最大にして最高の成功だ。

地方へ移住するならば、夫婦のどちらかがこのどちらかの職に就けばまちがいない、あらゆる角度からみて間違いない、なんの憂いもなく子育てを楽しみ田舎暮らしを満喫できる。いまの時代、年齢制限も緩和され多くの自治体で45歳くらいまで受験可能だ、学校も役場も外での経験新しい風を求めてる。一年間オンライン授業で必死に勉強して一次さえパスすれば二次はかなり優位な状況だ。田舎に移住して、農のある生活を子育てから老後まで長きにわたり楽しみたいなら、ここを頑張れもしくは相方に頑張ってもらえ。

このツートップに続く人気就職先は地域差があると思うが、郵便局・農協あたりだろうか。しかし、この二つは移住して就職するのはちと難しい。郵便局が中途で職員を募集しているのは聞いたことがないし、話相手がほしいじじばばに如何わしい保険という名の金融商品を売るのもちょっと考えものである。農協の職員は完全にコネとツテがなければ募集があったことすらわからなし、一部の産直市が盛り上がっている支部を除いては、最近はめっきり元気がなく統廃合を繰り返し人員も減ってきている。

ガテン系なら土建屋の設計測量または重機土方、大工、電機屋、塗装屋、水道屋、左官屋、建具屋いろいろあるし、求人はしているので就職したければできるだろう。ただこのへんは田舎にも昔やんちゃだったけど、いまはしっかりと働いて家族を養っているという人たちが一定数いるので彼らにまかせて、それ以外のガテンで林業作業員。

林業はなかなかきつく厳しい世界でかなりの危険も伴い、かつ残念ながら斜陽産業であるとされていることから待遇もいまひとつ。よって、人も集まらないので、林業作業員はつねに求人募集状況、人足りてません。しかし、見方によってはかなり将来有望の優良銘柄とみることができる。日本は国土のほとんどが山林の森林大国にもかかわらず外国から木材を大量に輸入している。こんなことは相手国の環境によくないし、大量の重油をたいて船で遠くから運んでくるのもよくないし、防腐剤・防虫剤のかかった木材を使って生活するのもよくない。そして日本には私たちのおじいちゃんたちが植えた60年生くらいの刈り旬を迎えた杉が大量にある、杉は知る人ぞ知る木材の王さま最高品質の木材である、しかも全国どこでも原価はタダ同然だ。現在、高知県など複数の自治体で自伐林業なるものに力をいれている。これは戦車のような大型機械ではなく、個人が軽トラとチェーンソーと架線の小型機械のみで少しずつ木を切り出して生計を立てるといった取り組みで、都会のサラリーマンくらいの年収は十分に稼げるとのこと。しかし、実際には自分でユンボを操り搬出路を作る必要があり、また次のステップに行くためにはウインチや林内作業車など中型機械が必要となり、現状素人が移住して自伐林業ですぐに生計を立てるのはかなり敷居が高い。しかし、10年後を見据えてまずは森林組合付きの林業作業員として腕を磨きツテを作り、時代が変わったあかつきには自伐林業家のトップランナーとして花を咲かせる。かなり確度の高い読みだとおもうがどうだろうか。

試験も無理、ガテンも無理なら、介護職員通称ヘルパーさんだ。田舎でも老健、特養、デイケアサービスと様々な形体で介護福祉サービスが提供されている。高齢化による需要増と仕事がら若者の低定着率で求人募集は常にしていて、よほどのことがない限り不採用にはならない。ヘルパーは施設にもよるが多くはオムツ交換に入浴介助となかなかハードな職ではある、お金を稼ぐのは何をやってもそれなりに大変なことだ。だが田舎ならマイカー通勤で満員電車はない、数字に追われるわけでも納期に追われるわけでもない、残業もない平日8時半から5時までしっかりと働かせてもらい、それ以外の時間は思いきり田舎暮らしを満喫できる。田畑付きの中古の戸建を購入してウッドデッキにピザ窯に薪ストーブとDIY 、田畑では米麦野菜を自給して、夏は河原でキャンプにBBQ 。何年か現場で頑張り、経験を積んだら介護福祉士、そして社会福祉士かケアマネの資格を取り社協への転職も可能だ。ただし、欲を言えば作業療法士か理学療法士を多少無理をしてでも遠回りしてでも取っておけば、より快適に田舎暮らしを楽しむことができる。

夫婦共働きのどちらかがツートップ×ガテンまたは老健、この場合家事育児は3:7だ。老健×ガテンまたは老健、この場合は5:5だ。いづれのパターンも子供二人なら余裕だし、三人でも大学の数年間は多少きついかもしれないが、普通に生活していれば十分回せるはずである。年に二回、夏休みと冬休みには家族旅行にいける、なんなら近場の海外旅行でもいい。十年に一回くらいは新車に買い替えも可能だし、プラス軽トラを所有することもできるだろう。日々ちゃんと自炊しコンビニで無駄遣いしなければ、子供らが大学に行きたいといえば、行かせてやることもできるし、Bパターンだとちょっと厳しいが留学させてやることも不可能ではない、医学部は無理だ。

皆が皆カフェ経営者やらヨガインストラクターになれるわけではないし、田舎がカフェとヨガスタジオだらけになっても困る。雑貨屋とセラピストもしかり、なんならパン屋とコーディネーターコンダクターファシリテーターもそうだ、もちろん太鼓を叩きギターを弾きながら生きる人生を羨ましく思うときもあるがなかなかそうは生きられない。独立して起業してフリーランスとしてやっていくのは大変なことだ。仮に数年間は頑張れたとしても、20年30年稼ぎ続けていくには相当の努力と才覚が必要だ。会社の9割は十年以内に廃業する、ネットを開けば皆フリーランスとして活躍してるが、そのキラキラさん達も2年後にはほとんどいないだろう。平成生まれ令和育ちの彼らにはそれもあっているのかもしれないが、一億総中流階級、年功序列終身雇用、学歴大企業、父親サラリーマン母親専業主婦の私たちにその生き方ができるだろうか。

できなかったら、子供の学費の目処がつくまでどこかの会社にしがみつき、時がくるまでじっと待とう、独立し一旗揚げるのはそれからでも遅くない。

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