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山陰の有名酒蔵の蔵人による酒の話【前編】

https://onansasa.stores.jp ←の中の人です。

外出した杜氏の代打で麹の管理を任され現在待機中。

時々温度管理しながら七時くらいまで待つことになります。


その間割合暇なので、麹について語ろうかと思います。

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麹とは

蒸した米にコウジカビというカビを繁殖させた物体です。日本酒で使われるのは黄麹呼ばれる種で、胞子は青きなこのような黄緑色をしてます。


黄麹は醤油や味噌を作るのにも用いられています。

国花や国鳥のように、国菌というものも定められており、黄麹菌は国を代表する菌と言うことになってます。


酒造り

蒸米に麹の胞子を振りかけ、湿度と温度が適量に達すると、麹カビが発芽します。

菌糸を伸ばし成長するための栄養源に、米のデンプンやタンパク質を使おうとして、デンプンを糖に変える糖化酵素やタンパク質分解酵素を作ります。


酒造りでは主に糖化酵素、味噌醤油ではタンパク質分解酵素を利用します。


余談ですが、

菌が繁殖しきって表面が胞子に被われた麹を「もやし」といいます。

本来の意味での萌えと同義で、わさわさと生えてくる感じです。

古代では麦芽や稲芽(共に糖か酵素を持つ)も「もやし」と呼ばれ使用されていたそうなので、穀物の芽と菌の胞子は同様に見なされていたみたいです。


おおむね、蒸米に胞子を接種してから40~60時間くらいで麹は完成します。
酵素を利用する目的なので、胞子を作る手前で止めます。


菌糸をどの程度繁殖させ、中心部まで食い込ませるかによってできる酵素の種類や量が変わるので、目的にあわせて水分管理や温度管理をすることになります。


日本酒の場合、菌糸の量、タンパク質分解酵素の量、液化酵素(デンプンを液化する酵素)、糖化酵素(液化したデンプンを糖に変える酵素)が重視されます。


同じ原料からなるべく多くの酒を造りたい場合にはこれら全てが多い方が良い。
吟醸の場合は逆に、糖化酵素以外は少ない方がよいとされています。


この辺の話はマニアックなのであれですが、

要するに目指す酒によって必要な酵素の量(配分)というものがあって、その必要量を満たすための麹作りがあるわけです。

目的に応じて麹の菌種をつかいわけたり、接種方法を変えたり、水分管理や温度管理で麹を作り分けています。


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【後編へ続く】

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