日々子育て 電車三昧日帰りの旅 山形へ
ゴールデンウィークに夫と息子と久しぶりに旅してきました。といっても近場での日帰りの旅でしたが、なかなか渋い面白い旅になりましたので、記録しておきます。
1万字超えの長文です。(読んでくださる方いらっしゃるかしら?)
お時間ある方、お付き合いいただけると嬉しいです。
久しぶりの旅
旅は本当に本当に久しぶりです。
いつ以来?妊娠出産してから、夫と息子と一緒に電車での県外への旅は初めてのようなものです。車やバスでの県内の旅、冠婚葬祭のための県外の旅などありましたが、純粋に家族3人だけで電車の長旅を楽しむことは、初めてになります。
妊娠中はお腹や腰に痛みがあったりトイレが近かったり、長時間座っていることが困難で旅どころじゃありませんでした。無事に息子が生まれた後も、ちょっとした交通事故のような出産を経験し、これまた長時間座っていることがますます困難、トイレもますます近くなるし、長時間出かけることが苦痛で困難と思うようになっていました。今でも出産前の身体には戻れていないように思います。そして完全母乳で育てていた私は、私と息子の母乳の管理(授乳できないと、胸がパンパンになって石のように硬くなり乳腺炎になりそうになったことが何度もあった)、育児中の方が皆さん味わうであろうオムツや着替え、衛生用品、飲み物などの準備、授乳やオムツ替えできる場所、エレベーターやエスカレーターの有無、子供同伴可能なお店の確認などなど、子連れの荷物の多さや重さ確認事項や準備事項の多さに辟易していました。荷物が増えるし重いし、そもそもそんな余裕もないので、好きなカメラもしばらく封印していました。
育児中は、色々なことが私の容量オーバーで色々なことを楽しむ余裕など、全くなかったのです。
そうこうしているうちに感染症が蔓延り、旅どころの話ではなくなりました。
息子が小学生になり、親子ともに精神的にも肉体的にも余裕がでてきたと思ったら、今度は金銭的、時間的な余裕が親にはない!そして感染症もまだまだ流行っていて自由に移動し難い、という残念な日々を過ごしていました。
感染症もやっと落ち着いてきた昨今、世の中も以前のように「旅に行きましょう」という流れがある中、なんとか夫が休みをとってくれて、旅の計画を立てることになりました。休みだと教えてくれたのは、ゴールデンウィークの数日前だったけど!なにゆえ?!
とりあえず行き当たりばったりで、近県を電車で巡ることにしました。息子がずっと乗ってみたいといっていた山形県にある左沢線に乗ることにしたのです。
仙山線に乗って山形へ
当日こちらは雨模様。山形は前日に雷雨の予報が出ていて、「電車の旅に行ってきます。晴れますように雨が酷くなりませんように、見守っていてください」と晴れ女だった母にお願いしました。
まずは仙山線で山形へと向かいます。
仙台駅から山形駅まで1時間30分ほどかかります。すれ違った仙台行きの電車は混雑していましたが、曇天のせいもあるのか?ゴールデンウィーク中なのに大丈夫?っていうほどに山形行きはガラガラと空いていました。おかげさまで、のんびりと車窓を楽しむことができました。空いていてラッキー!途中から貸し切り状態。
仙山線、何度も利用したことがありますが、終着の山形駅まで乗っていたことは数えるほどしかありません。二十代の頃に友人達と、かみのやま温泉に行って以来だと思います。すっかりと情景は忘れてしまっていて、まるで初めて仙山線に乗ったかのようなワクワクとした楽しさがありました。
仙台駅から進むにつれて、高層ビルや住宅街、街並みは消えて緑が深くなっていく。常に上り坂を電車が走っていく。こんな傾斜の線路を、山の中を走っていくのか!
雨は降ったりやんだり、時たま明るい空や青空を見せてくれたり、土砂降りにはならなそうで母のおかげかもしれないと嬉しく思い、ひと安心しました。
県境の山間は恐ろしいほどに何もない。熊とか猪とかいるだろうな。雨がチラつく灰色の空、闇のように暗くて鬱蒼とした木々が生い茂る奥深い山を見ていると、こんな山の中で遭難してしまったら、と考えてゾッとしてしまった。自然の厳しさを垣間見て、恐ろしいと思ってしまった。人が立ち入ってはならない場所があるのかもしれない。しかし、よくもまぁこのような山間に鉄道を!と感心する。どれだけの苦労があったことだろうか。鉄道を通してくれた方々に感謝です。
東照宮駅近くには仙台藩二代藩主伊達忠宗公が1654年に創建された、仙台東照宮があります。愛子はアイコではなくあやしと読みます。作並は温泉が有名です。作並駅よりニッカウイスキーの宮城峡蒸留所まで金土日祝日のみ無料シャトルバスが運行されているようです。奥新川までが宮城県それ以降は山形県になります。
面白山高原ではトレッキングができるようです。山寺には山寺の通称で知られる宝珠山立石寺があります。登山口から大仏殿のある奥の院まで1015段もある長い石段を登ります。石段は登ることにより煩悩が消滅すると言われているそうです。奇岩や怪石の絶景をぜひ見てみたい!小雨が降る暗い空の中、大きなリュックサックを背負った何人かの外国の方が山寺駅で降りて行きました。私はまだ参拝したことがありません。いつかはあの石段を山を登れるのだろうか?参拝させていただきたいな、と思いました。羽前千歳駅から奥羽本線へと乗り換えができます。奥羽本線は山形新幹線が走っています。北山形駅からも奥羽本線、そして左沢線へと乗り換えができます。今回は、北山形駅で降りることにしました。
左沢線キハ101形
「あ!左沢線が来たよ!」「かっこいい!」
車両の姿が見えた瞬間、息子以上に嬉しくなってしまいました。水色のボディが可愛らしい。念願の!左沢線です!
左沢線を走るのはディーゼルカー。
正確には電車ではありません。電化されていない路線を走っています。
ディーゼルカーは動力を伝える方式により液体式、電気式、ハイブリット式の3つに大きく分けられます。左沢線キハ101形は液体式です。
フルーツライン左沢線の名の通り、羽前山辺駅ではりんご、寒河江駅ではさくらんぼ、左沢駅では梨(ラフランスかな)の形の可愛らしい駅名標がありました。残念ながら撮影できたのは、左沢駅だけでしたが。
ワンマンカーに久しぶりに乗って、ちょっとアタフタとしました。整理券を取り忘れた。整理券をとって、降りる時に運賃を運転士さんに支払う。バスのような仕様です。そうかそうなんだ、suicaが使えない。
全線単線のディーゼルカーでロングシートに座りながら、大きな窓から両側に流れていく田園風景や最上川や山並み、街並みの景色を眺めていると、まるで映像を見ているかのような不思議な気分になりました。何かのアトラクションに乗っているような異世界気分。行きは空いていて、ゆっくりと景色を堪能できました。行きはよいよい帰りはこわい。
息子が鉄道に興味を持つようになり私も調べていくうちに、電車ではクモハとかサハ、ディーゼルカーではキハなどのこのカタカナが気になるようになりました。寝台列車カシオペアを見た時にはスロネフなんて書いてあって、「スロネフ???何それ?」未知との遭遇に息子と大喜びしました。
キハ101ー8は、エンジンを載せた気動車の普通車、ディーゼルエンジンで一般形、1系列の8番目の車両、となるのかな?
ちなみにスロネフは、客車の記号です。
ス:42.5t未満の重さ、ロ:グリーン車/A寝台車、ネ:寝台車「寝る」のネ、フ:緩急車(車掌室・非常ブレーキがある客車)「ブレーキ」のフとなるようです。
息子が運転席に座っている運転士さんと何やらお話ししている。「ガチャガチャなら駅にあるよ?それのことかな?」といって運転士さんが運転席から降りて、駅構内までわざわざ案内してくださった。「え?何を話していたの?運転士さん降りて大丈夫なの?」と思いつつ一緒に運転士さんについていくと、駅の構内にガチャガチャが確かにあった。左沢線は2022年に全線開通100周年を迎えていて、その記念に発売されたものだった。左沢線のキーホルダーや缶バッチがあるらしい。「え!よかったじゃん!教えてもらわなかったら、こんな素敵なものがあるなんて知らなかったね。記念になるね。わざわざ、ありがとうございます。時間大丈夫ですか?」「大丈夫ですよ」優しく親切な運転士さんに感謝。こんな素敵な出会いが旅の醍醐味だと思う。夫と私も嬉しくて興奮してしまった。「ガチャガチャやってもいい?」「もちろん!いいよ!」早速ガチャガチャとまわす息子。
本当は家の近所で売っている電車のガチャガチャがやりたかった息子。昨夜そんな話をしていた。なんの流れでガチャガチャの話を運転士さんとしたのか?ただガチャガチャやりたいっていう願望を口にしただけなのだとは思うのだが、息子グッジョブ!と思った。好きや願望を誰かに伝えることで、引き寄せる何かがある。
「あ!左沢線だね」一緒にニコニコと見ていた運転士さん。「当たりじゃん!よかったね!思い出になるね。ありがとうございます!」左沢線の可愛らしいアクリルキーホルダーだった。息子は結構、引きが強い。持ってる人。息子と一緒に嬉しくて喜んだが、夫が一番に喜んでいたように思う。時間がなくて、じっくりと見れなかったことが少し心残り。
乗っていた車両にまた乗って折り返し、そのまま山形駅へと向かう予定だったので、左沢駅で何かしようとは考えていなかった。車両や駅の写真を撮影して過ごしていたから、まさかの出会いに息子様様、運転士さん様様だった。「息子が左沢線が好きで、どうしても乗りたいっていっていて念願かなったんです。ありがとうございます!」運転士さんはニコニコと聞いてくださっていた。
人との出会いが旅だから、借金してでも行きたいな
ってスチャダラパーのボーズくんが歌っていたけれども、本当にそうだな。いい旅にはいい出会いがつきものだ。
山形行きの左沢線は左沢行きの時とは打って変わって、たくさんの学生さんが乗ってきて大混雑していた。やはり通勤・通学客の多い左沢線なのだ。
山形新幹線 E3系
山形駅に到着。
北山形駅で山形新幹線がビューンと走り去るのを見ていた。結構速くてびっくりした。「やっぱり、線路幅が標準軌で広いね」と息子がいっていた。
線路幅にも色々とあって、在来線は主に1067mm。新幹線は1435mmとなっている。山形新幹線は線路幅の広い在来線を走るのだ。
「オシドリカラーもかっこいいね」
山形新幹線がとまっているとワクワクする。
オシドリカラーの山形新幹線は、山形の県鳥「オシドリ」の紫や赤色、県花の「紅花」の黄色、蔵王の雪の白、山形の彩豊かな自然を表現している色鮮やかな車体が美しい。E3系は近々引退や廃車となり、E8系へと引き継がれていく。
夫が線路側の窓を食い入るように見ている。
「シルバーカラーがとまっている!」「シルバーカラー!?」「えー!ラッキーだね!見たいと思っていたけれども!出会えるなんて」やっぱり息子は持ってる人です。
シルバーカラーの山形新幹線に乗りたかったのだけれども、1編成しかないシルバーカラー。どの時刻に走っているのか?日によって運用が変わり時刻表も発表されてはいないので、運が良かったら出会える、そんな貴重なシルバーカラーなのだ。見られただけでもラッキーです!「雨もそんなにひどくならず、ついてるねー!よかったね」息子よりも夫の方が大興奮。とても嬉しそうにしていた。
山形駅周辺をぶらぶらと散策してきました。
山形駅から徒歩圏内に私が焦がれているどら焼き屋さんがあるのです。
雨が本降りになってきましたが、夫にナビしてもらいながら念願の榮玉堂さんへ行ってきました。途中息子が「トイレに行きたい」とかいいだして、ハラハラしながらもなんとか無事に、漏らすことなく到着しました。
楽しみにしていたどら焼きは、完売していました!!!
ちょっと甘く見ていたようです。時刻は15時近く、ちょうどおやつ時間に、どら焼き気を食べれたら嬉しいなと思っていたのですが、完売。ひどく落ち込みました。喫茶室もありましたので、そちらで私は抹茶ラテを夫は抹茶パフェとコーヒーを息子は善哉をいただいてきました。抹茶も小豆もとても美味しくて、これはやはりどら焼きも美味いはずだ!と確信しました。場所が分かりましたので、近々絶対に!午前中にリベンジします!
お店を出る頃には、雨は上がっていた。
旅の時の私のルールがあります。食べている時には撮影をしない。
旅先でおいしいものを味わっている時には、そのものを満喫します。素敵なお菓子に心踊って写真に残しておきたい、とも思うし昔は撮影していたのですが、撮影に夢中になりすぎると、せっかくのあたたかい料理が冷めてしまったり、何よりも集中して美味しく味わえないように思います。だから、旅先で何かをいただく時にはグッとカメラを我慢して、おいしいを思い残すことなく堪能します。なので今回も食べ物の写真はなし、でした。
山形新幹線に乗って仙台へ
宮城県(山形県)から山形県(宮城県)へ行くのには、料金が安いし時間もかからないので車やバスが便利だと思います。そこをあえて山形新幹線を使って山形(仙台)から仙台(山形)に行く人は、あまりいないのでは?と思います。時間もかかる上に料金も高いのですから。そして山形新幹線は仙台には乗り入れていないのです。
山形駅から山形新幹線で福島駅まで行き、その後、東北新幹線やまびこにて仙台へ向かいます。なぜこんな回りくどい旅を?息子と一緒に山形新幹線を鉄道を楽しみたいと思ったからです。
山形駅からE3系に乗って福島駅へと向かいます。
山形新幹線は全席指定です。行き当たりばったりの旅、当日の予約でしたが、なんとか指定券をとることができました。シルバーカラーだったのならば、なおさらに嬉しいのですが!オシドリカラーも素敵で、ウキウキします。
暗くて長いトンネルを通過中
「ママ、知ってる?これはトンネルじゃないんだよ。シェルターなんだよ」と息子がいった。「ふーん。そうなんだ。トンネルじゃないんだ?」あまり気に留めずに聞いていた。夫が「これ見て。今から通過するみたいだよ」とスマホを差し出してきた。見てみると峠の駅の写真が載っていた。峠の駅・・・そうか!あの峠の駅か!
またトンネルのような暗いところを通過した。その時に峠の駅名標を見た。
「峠の駅だったんだね!シェルターって何?雪を防ぐため?」「そうだよ。雪で駅や線路が潰れないようにしてあるんだよ」息子は、気がついていた。この路線が奥羽本線であり、シェルターがあり峠の駅を通過することを。ムムム・・・やりおるな息子と感心した。
峠の駅
米沢駅から福島駅の途中にあり、奥羽本線の中では標高が一番高い駅。
鉄オタ選手権という番組で知った山の中にある秘境駅。1日に6本しか走っていないらしい。力餅という大福のようなお餅を駅のホームで昔ながらの立ち売りで販売していて買うことができる。このお餅がまた美味しそう!いつかは食べてみたい。
温泉街や田園風景、牛舎を通り抜けまた山へと入っていく。県境の山は、本当に奥深い。ここから数分で本当に街へ出るのだろうか?そんな不安を他所に、住宅街が広がっていく。空が暗くなり始めた頃、福島へ到着した。
福島からは、東北新幹線やまびこに乗り換えて仙台へと向かう。福島駅で待っている間、ハヤブサが通り過ぎて行った。最高時速320Kmのハヤブサは、その速さに風圧を感じて、その轟音に驚いて身動ぎできないほどの物凄いスピード。
E2系のやまびこは、E3系の山形新幹線よりも古い車両で座り心地もあまり良くない。もうすぐ引退してしまう車両だから、息子が乗れて良かったように思う。
見慣れた街並みが見えてきて、ほっと安心した。
私の住む街は、あんがい都会で緑が少ないが住みやすい街だと気づいた。
日帰りの旅なのに、見慣れた風景を見てやっぱり安心してしまう。「あーこのほっとする感じ、懐かしいな」と思った。
海外や県外で見慣れたコンビニやお店に出会った時、安心してしまうのは何故なのだろう?家について、やっぱり我が家が一番落ち着く、なんて思ったりもする。犬のように帰巣本能が人にもあるのだろうか。
それでもやっぱり、人との出会いが旅だから借金してでも行きたいな、と思う。新しい出会い、新しい価値観、まだ見ぬ街へと、旅はいいものです。
お土産 和なチョコレート
山形駅ビルで夫が購入してくれていた。職場の方へのお土産かと思っていたから嬉しかった。
以前、何度か食べたことがあって、とても美味しかったから、また食べてみたいと思っていたのだ。
甘さ控えめ、スッキリほろ苦。白餡と寒天の入ったしっとりなめらかで濃厚な生チョコレートの上に、酸味がキュッと効いた!甘酸っぱい乃し梅がのっています。口溶けのよい、やわらかなチョコレートと寒天のコキコキした歯ごたえが楽しい!ほろ苦さ、甘さ、フワッと梅の風味が後に残る絶品です。
白餡が入っているとは!わたしの味覚では全くわからない。違和感なく和と洋が融合しています。りんごチョコレートのようで、梅とチョコレートも美味。果物の酸味は、チョコレートの苦味とよく合います。
久しぶりに旅をして、とても楽しかった。
雨ではありましたが雷雨や土砂降りになることなく、風情ある雨でした。
息子もとても喜んでいました。家族で楽しめて本当に良かったです。
息子は電車で寝てしまったりちょっと飽きてしまうこともありましたが、雨でも傘をさすことさえも楽しんでいました。このくらいの旅程ならば親子一緒に楽しめる、ということを知れました。
日常から非日常へ。
ちょっと足を伸ばせば、楽しみが増える。
旅はいいものです。
今度は、もっと計画的に行きたいものです。
う・・・1万字を超えました。
ここまでたどり着いてくださった方、お付き合いいただき一緒にご乗車いただき、誠にありがとうございます。
皆さんも、良き旅を!
ここまで、貴重なお時間を!ありがとうございます。あなたが、読んで下さる事が、奇跡のように思います。くだらない話ばかりですが、笑って楽しんでくれると嬉しいです。また、来て下さいね!