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日々子育て 電車三昧日帰りの旅 福島へ

夫と息子との福島への旅の記録です。
今回も長文です。1万字越え。
お時間ない方、ご興味ない方は、快速列車並みの猛スピードでビューンと閉じてくださいね。
お時間ある方、お付き合いいただけると嬉しいです。
それでは、出発します。
閉まるドアにご注意ください。
プシュー



「明日、電車でどこかへお出かけしようか?」
息子は夏休みだけれども、復職してしまった私には夏休みらしい長期の休みはないし、なぜなんだ?何故なんだろう?いつも夫は前もって休みを教えてくれない。
なので、突然の旅になることが多い。
義父母たちとの温泉旅行の予定はあるのだが、わが家としての夏休み旅行計画は白紙のままだった。というか、予定が立てられずにいた。
「久しぶりに、仙台空港まで遊びに行ってみない?」
電車好きな息子。仙台空港に行きたいというよりは、仙台空港アクセス線に乗りたがっていた。ここの路線は第三セクター鉄道である仙台空港鉄道株式会社が運営していて、JRよりも運賃が高い。そして、昨今の感染症のこともあったから、ここ数年は仙台空港へは行かないようにしていた。
そろそろ解禁してもよいだろう、せっかくの夏休みだし、と思っていた折だった。
「僕は福島に行きたい!飯坂線に乗りたい!」
息子から予想外の言葉が返ってきた。
「え!仙台空港アクセス線に乗りたいって言ってたじゃない。福島?!福島か・・・急だな!明日、福島?福島か・・・とりあえず、明日は仙台空港に行こうよ?」
方向音痴なくせに、じっくりと地図を読まない読めない。「きっと、なんとかなるだろう」という謎の自信の元に、知らない場所でも直感で動いてしまって迷うことの多い私。私と息子の二人旅は、正直ちょっと不安だ。そして、うちの男子は何で急なの?突然なの?計画性のなさに面食らってしまう。

しばし考える。
せっかくの夏休みだしな。
前から「飯坂線に乗りたい」って息子はいっていたからな。しょうがない、調べてみるか。
福島までの路線や電車、時刻表を調べてみた。飯坂線ってことは、飯坂温泉に行けるから温泉に入れるね。数日後に義父母とも温泉に行くのだけれども・・・しかし楽しそうだ!行けそうな気がしてきた!
「ママ飯坂線を調べてみたよ。行けそうな気がする。東北本線で福島まで行って、その後、飯坂線に乗って飯坂温泉まで行ってみる?今回は新幹線にはのらないよ。それでもいい?」
「うん!行く!」嬉しそうに満面の笑顔で息子はいった。

明日、福島まで息子と旅することを夫に伝えてみた。
「え!あさって休みだよ。一緒に行きたい」夫からの返信に驚く私。夫は、あさって休みなのか!知らなかった!だーかーらー早くに言ってよね。
「あさって、お父さん休みなんだって。一緒にお父さんと福島に行かない?」
「明日がいい!」と息子。
「え!お父さんと一緒に行かないの?」
「うん。大丈夫」と息子。
お父さんと一緒じゃなくても息子は明日、福島へ行きたいそうだ。可哀想な夫よ。息子との話の顛末を夫に伝えてみた。
「寂しいな。お父さんも一緒に行きたいよ」と夫。
「お父さん寂しがっているよ。ママ、行ったことのない場所は不安だし迷うかもしれないから、お父さんが一緒の方が安心だよ。明日は仙台空港へ行って、あさって、お父さんと一緒に福島へ行こうよ」
「えー、じゃ、いいよ。あさってお父さんと一緒に福島に行く」息子は渋々と渋々と承知した。

電車時間や路線を調べて計画を立てる。あさってのことなのですが。しかし泊まりではないし、行き当たりばったりでも、なんとかなる、はず。
そういえば、阿武隈急行あぶくまきゅうこうで福島まで行ったことがないような気がする。夫も息子も阿武隈急行に乗ったことすらない、といっている。
ということで、行きは阿武隈急行で仙台から福島まで行き、帰りは東北本線で福島から仙台まで帰ってくることにした。

阿武隈急行あぶくまきゅうこう

阿武隈急行は仙台から梁川やながわ行きが出ていますが、1日の本数が少ないので乗り換えが必要になります。
仙台から岩沼までは、東北本線、常磐線、阿武隈急行が走っています。常磐線は岩沼で別れ、阿武隈急行は槻木で別れます。
阿武隈急行にて仙台から福島まで乗車する場合には、槻木と梁川とで2度の乗り換えが必要になることが多いようです。

今回は東北本線で仙台から槻木まで行き、槻木から阿武隈急行に乗り換えて終点駅の梁川まで行きます。その後、反対ホームに停車している福島行きの阿武隈急行へ乗り換えて福島まで行きます。乗り換え時間は1分。
仙台から福島までの乗り換えがうまくいっても、1時間40分くらいかかります。主に槻木・梁川間、梁川・福島間が始発・終点駅となっているようです。乗り換えが多く時間もかかるので、敬遠されがちな阿武隈急行ですが、長閑な風景、駅近郊の名所が各駅に記されており、地域に根づいた優しい鉄道という印象が残りました。レトロな雰囲気の電車も可愛らしかったです。

東北本線 約27分
仙台せんだい長町ながまち太子堂たいしどう南仙台みなみせんだい名取なとり館腰たてこし岩沼いわぬま槻木つきのき(阿武隈急行へ乗り換え)
阿武隈急行 約1時間17分
槻木つきのき東船岡ひがしふなおかおか横倉よこくら角田かくだ南角田みなみかくだ北丸森きたまるもり丸森まるもりーあぶくまーかぶと富野とみのーやながわ希望の森公園前きぼうのもりこうえんまえー 梁川やながわ(福島行きへ乗り換え)ー新田にった二井田にいだ大泉おおいずみ保原ほばら上保原かみほばら高子たかこ向瀬上むかいせのうえ瀬上せのうえ福島学院前ふくしまがくいんまえ卸町おろしまち福島ふくしま

旅の当日は晴れ、お天気に恵まれました。南の海上では台風が発生していて天気が崩れることを心配していましたが、晴れ間が見える暑い日となりました。天気予報では福島の気温は36度!熱中症に気をつけましょう。
阿武隈急行は、Suicaなどの交通系ICカードが使えないので、槻木で切符を買います。久しぶりの切符にワクワクドキドキ。地震による被害がありましたが、2022年6月27日に全線開通しています。

槻木駅
8100形 懐かしい雰囲気の電車
梁川行き

私は、この古めかしいデザインが結構お気に入りで乗ってみたいと思っていたのですが、息子曰く「新車がよかった!」と。
2019年にAB900系が8100形の置き換え用として登場しているようです。
「これから乗れなくなるかもしれないから、古い電車で良かったんじゃない?ママは好きだけど」「そうか、そうだね」と息子。

乗客の少なさに、ちょっと驚く
おかげさまでパチリと撮影できました
連結部分にドアがない!
濃いピンク色の座席と連結部分のこのやわらかな曲線
なかなか素敵なデザイン
車窓から
田園風景が広がっていて川も流れていました
川沿いを走るのかと思っていたら
思っていたよりも住宅地が多い
新車AB900系とすれ違う!
反射鉄

福島が近付くにつれて、乗車客が増えてきました。「あ!新車だよ!あれに乗りたかった」すかさず息子が教えてくれました。すれ違った電車に、私たちが乗車している電車が写っています。建物のガラスなどに写っている電車のことを、反射鉄というらしいです。
梁川にて、伊達市PRアニメーションである政宗ダテニクルのラッピング車両へと乗り換えました。

福島駅
政宗ダテニクル ラッピング電車

福島駅に無事到着。阿武隈急行の反対側に飯坂線が停車する!どのようなホームなのだろう?と思っていたら、まさかの目の前に飯坂線!同じホームだった。このホームの駅舎側に改札があります。
一度改札を出て飯坂線の切符を買います。ちなみに、ホームは和製英語で正式にはプラットホームだそうです。

福島交通 飯坂電車

今回は、いい電1日フリーきっぷ(当日限り乗り降り自由で800円)を購入しました。 
いい電1日フリーきっぷには、いい電1日フリー乗車券+共同浴場入浴券(1回分)+沿線店舗サービス特典+小学生1名分無料+幼児2名分無料!が含まれています。

小学生以下のお子様と利用される方におすすめ
このフリーきっぷは、1枚で大人1名、小学生1名、幼児2名までが自由に一日乗り降りすることができます。
切符は季節毎に4種類あり、季節毎のフリー切符を集めると記念品がもらえます。
共同浴場入浴券
・鯖湖湯 ・天王子寺穴原湯 ・仙気の湯 ・八幡の湯 ・大門の湯 
・十綱の湯 ・波来湯 ・切湯 ・導専の湯
以上の9カ所の共同浴場以外のホテル・旅館の入浴にはご利用いただけないので、ご注意下さい。

福島交通 飯坂電車

福島ー飯坂温泉まで往復で740円、そこに入浴料200〜300円、子供の運賃も含まれているので、とてもお得なきっぷだと思います。今回は下調べが不十分で他を巡れませんでしたが、沿線に福島県立美術館や福島片岡鶴太郎美術庭園など見所がありますので、乗り降り自由な1日フリーきっぷは大いに有効活用できるだろうと思います。他にも日帰り温泉お食事付きの切符などあるようでした。気になる方は福島交通を覗いてみてください。

福島交通 約23分
福島ー曽根田そねだ美術図書館前びじゅつとしょかんまえ岩代清水いわしろみずいずみ上松川かみまつかわ笹谷ささや桜水さくらみず平野ひらの医王寺前いおうじまえ花水坂はなみずざか飯坂温泉いいざかおんせん

1000系 飯坂線
おー!!!かわいい!!
いい電のニコニコ顔文字が素敵です

1000けい福島交通ふくしまこうつう
東急電鉄とうきゅうでんてつの1000けいがうつってきた電車でんしゃです。
もと中間ちゅうかん連結れんけつされていた車両しゃりょうに、あたらしく、運転台うんてんだいりつけて、2りょうや3りょうなおしました。

小学館の図鑑NEO 鉄道 104ページ
おー!!!
飯坂温泉の暖簾!!!
風情があります
気分が上がります
阿武隈急行と並走
車窓から
百日紅の花が

阿武隈急行でも、車窓から鮮やかなピンク色の細やかなワサワサとした花が目についていました。「百日紅さるすべりの花だ」夏の空に夏の空気に百日紅はよく合います。いろんなところで美しく咲いていました。

飯坂温泉の暖簾や椅子の色合いや
車内も可愛らしい
かわいいウサギも見ているよ
ウサギの名は「ももりん」

飯坂温泉

福島から23分ほど、飯坂温泉までいい電は走ります。思っていたよりも短い時間に感じながら、ももりんとお別れして飯坂温泉へと着きました。電車の外へ出ると、息苦しいほどのモワッと暑い空気、ジリジリとした痛いほどの太陽の光。荷物になるけれども日傘を持参して良かった。焦げるほどの日差し。
「やっぱり福島は暑いね。空気が違うね」と夫。
こんな暑い日に温泉に入る?と思いつつも、せっかく来たのだし街をブラブラとしながら考えましょう。とりあえずは、お昼ご飯を食べる場所を探します。駅前にある観光案内所にて、おすすめを教えていただきました。暑さゆえ?歩いている人は少ない。息子は数分歩いただけなのに、暑さにぐったりとしている。
「暑くて息子が熱中症になりそうだし、とりあえずここに入ってみようか?」灼熱から逃れるように、おすすめされた駅近のお店に入ってみることにしました。こちらのお店が大正解で、とても美味しかった。

アットホームな優しいお店。さくさくなチキンかつ、粕漬けのような脂ののった焼き鮭、のりと豆腐の味噌汁、なめこと大根おろしの酢の物、きゅうりとにんじんの漬物、ラジウム玉子、トマトと鳥のササミのお洒落なサラダ、白髪ネギが添えられたキンピラゴボウ、粒あんのおはぎ。デザートにはもったりとろりとした優しい甘さのヨーグルトに苺ジャムがかかっていた。全てが美味。
最近、餡子を食べなくなってしまった息子を残念に思う。餡子の団子や大福をあんなにたらふく食べていたのに。食べ物の好みが変わって男子らしく肉肉肉になりつつあり、これまた残念。野菜も食べて欲しい。
チキンカレーは売り切れだったから、きっと美味しいに違いないと、とても気になる。ここのお店のお向かえにある渋すぎる佇まいのラーメン屋さんも気になった。
息子は味噌汁を「美味しい美味しい」とがぶ飲み。チキンカツや白米は完食したが、やはり野菜には見向きもしなかったから、「野菜も食べてね?」といった所、付け合わせのキャベツを少し、そして、よりによってパセリをパクリと食べてしまった。「うわー!苦い。変な味がする」と目をパチクリさせていた息子。私でもめったにパセリは食べないから、笑ってしまった。「パセリは、あまり美味しくないよね。無理しなくても大丈夫だよ」息子のアレルギー用に用意してくれた、デザートのぶどうも甘くて美味しかった。
其れにしても、長ネギの入ったキンピラゴボウが、やたらと美味!だった。長ネギの入ったキンピラゴボウを初めて食べました。丁寧にそぎ切りされ、程よい塩加減に甘辛く炒められ味付けされただろう、茶色の地味なゴボウ。その上には白髪ネギが添えられていた。「なんだろう?ネギなのかな?いつもと少し違う味がするけど、美味しい!」味の確認をするように、何度も何度も噛み締めました。長ネギをキンピラゴボウに入れるとは!ふむふむ、美味しいのか、合うんだな・・・メモメモ、今度、真似してみよう。この暑さの中、塩分を欲した身体にしみわたる地味だけれども滋味深い美味しさでした。息子には、完熟すぎる甘さ増しましのオレンジ色のメロンもサービスしてくれました。
ちょっと待たされたり席を移動させられたりしたけれども、その都度、丁寧に対応してくださって、息子のアレルギーにまで!優しく対応してくださって!また訪れたくなるお店でした。美味しい、お腹いっぱい、サービス満載、コスパ高い。お心遣いが、とても嬉しかったです。ありがとうございました!ごちそうさまでした。お店にいらしゃるのは、地元の常連の方ばかり。
地元に愛されているお店は美味しい、間違いない。

古い街並み
しかし人がいない

人がいない。ちょっと寂しい閑散とした街並。日中の温泉街とは、こんな感じなのだろうか?飯坂温泉駅の近くには十綱橋がかかっており、周辺には大きな旅館が立ち並んでいる。その大半が廃墟のようになっていた。壊れた窓やカーテンがひかれた閉ざされた窓が寂しくもあり、何だか怖かった。街並みの旅館や趣のある古い建物も人気ひとけがなくて幽霊の街のようだった。せっかくの建物が残念だな、と寂しく悲しく思い、感染症の影響で閑散としてしまったのか?そもそも閑散としていたのか?いや、もしかしたら千と千尋の神隠しのように、実は夜に暗くなってからワサワサと人やら何やらが動き出して、ワイワイと賑やかに楽しそうに店を開けたりするのだろうか?円盤餃子を食べたいと思っていたら、夕方からしか開いていないお店がほとんどだったから、本当にそうなのかもしれない。夜の方が活気のある街、なのかもしれない。そんなことをもろもろと妄想しながら、暑さに辟易しながら飯坂温泉街を散策してきました。息子はご飯を食べて元気になって、この暑い中、幽霊の街のようなしんとした街並みを駆け抜けていく。生気の化け物、子供はエネルギーに溢れている。

古い建物
細やかな意匠が気になる
夾竹桃きょうちくとうの花だと思った

夾竹桃には毒があるらしい。ちょうど、ドラマ「ミステリと言う勿れ」の再放送を見ていて、夾竹桃には毒があると言っていて気になってしまった。母もそんなことを言っていたな、とふと思い出した。こんなにキレイなのに、花にも葉にも枝にも根にも果実にも全ての部分に毒があるらしい。
百日紅といい夾竹桃といい、夏の花はピンク色。

旧採進堂酒店

観光案内所でいただいた飯坂温泉遊歩マップによると、もともと酒屋として建てられた採進堂。明治期の風格ある商家の様相を窺い知ることができる重要な建造物として、2019年に国登録有形文化財に登録されたそうです。

映画のセットのような古い建造物が立ち並ぶ
なかむらや旅館

なかむらや旅館の歴史は元禄元年(1688年)、花菱屋が現在のなかむらや旅館の地で創業したことから始まります。
 明治時代中頃まで18代に亘り土湯温泉にて旅籠を営んでいましたが、たび重なる洪水と火災に悩まされ、このまま土湯に留まっていては家運が衰えると判断して飯坂温泉湯沢地区に移り住むこととしました。明治20年に当時の花菱屋を買受け、明治23年になかむらや旅館として創業して以来、一世紀以上の歴史を重ね、現在は七代目に受け継がれております。
 飯坂温泉湯沢地区は歴史が長く、二世紀ごろには日本武尊が東征の折に、また元禄2年(1689年)には俳聖 松尾芭蕉が奥の細道の途中に立ち寄ったとされる鯖湖湯や旧堀切邸、ほかにも歴史ある建物が数多く残っており、現在でも古き良き温泉情緒を感じられる人気のエリアとなっています。
 平成10年 江戸館・明治館の二棟が文部科学省より国登録有形文化財に指定されました。平成23年3月の東日本大震災で大規模半壊の被害を受けましたが、その後4期工事を経て元の姿に修復された事が評価され、平成28年には第32回福島県建築文化賞において復興賞を受賞しました。

なかむらや旅館

風情のある建物がとても素敵でした。こちらの目の前には、あ〜しあわせの湯という足湯もあり、観光客の方もちらほらといらっしゃいました。なかむらや旅館にて日帰り入浴ができたようです。是非とも入ってみたかった。また、今度のお楽しみ。

鯖湖湯さばこゆ

いい電1日フリーきっぷで入浴可能な共同浴場は、鯖湖湯さばこゆ天王子寺穴原湯てんのうじあなばらゆ仙気せんきの湯、八幡やはたの湯、大門だいもんの湯、十綱とつなの湯、波来湯はこゆ切湯きりゆ導専どうせんの湯の9つあります。どちらも飯坂温泉駅から歩いて数分の距離にあるようでした。

松尾芭蕉もつかったと伝えられている鯖湖湯へ入ってきました

鯖湖湯は、元禄二年(一六八九年)奥の細道の途中、飯坂に立ち寄った松尾芭蕉が湯につかったと伝えられている名湯です。
 明治を偲ぶ共同浴場(明治二十二年)として、松山市道後温泉坊ちゃんの湯(明治二十七年)の建築より古く、日本最古の木造建築共同浴場で、長い間飯坂温泉のシンボルとして、地元住民や観光客に親しまれてきました。
 平成五年十二月に新たに建築された鯖湖湯は、当時の面影をそのままに造りにもこだわりました。
 内・外観に使われている香り立つヒバ、銅板造り出しの屋根、輝く御影石の湯舟。透き通った温泉が旅の疲れを癒してくれます。
 明治時代を偲びゆっくり流れる時間を感じながら湯につかってみませんか。
 近くにはお湯かけ薬師、鯖湖神社、足湯のあーしあわせの湯があります。

飯坂温泉湯めぐりマップ
湯温47度
熱い湯として有名なのだそうです

せっかくなので、やっぱり温泉に入ることにしました。暖簾をくぐるとすぐに番頭さんがいらっしゃいます。今回は、いい電1日フリーきっぷを切ってもらって、靴を脱いで中に入りました。引き戸を開けると、すぐにお風呂場になります。ちょうど誰も人がおらず、独り占め!気兼ねなく温泉につかることができました。暑い中、温泉はどうだろうか?と思いましたが、がらんと広い室内で服を脱いで汗を拭き取るだけでもさっぱりとするし、扇風機の風が心地良い。木の床のサラッとした肌触りが心地良くて、ヒバの良い香りに癒されます。熱いと言われている温泉。ドキドキしながら、掛け湯をしてみる。「あれ?思っていたより熱くない!これなら入れる」泉質はアルカリ性単純温泉。透明でクセの少ない入りやすいお湯でした。あまり長く入っていると汗だくになるので、さらりとつかってきました。
天井近く上の方のガラス戸から太陽の光が入ってきて、木造の少し薄暗い湯場に湯気が立ち込めて、光の筋が見えます。「あー気持ちいいな。キレイだな、癒されるな。来て良かった。温泉に入れてよかった」心も体もほぐされて、すっきりとしました。熱くなってきたな、そろそろ上ろうかなと思った矢先、ちょうど人が入ってきたので、そそくさと出ることにしました。足の裏に触れる木の感触が香りが、本当に心地よかった。
共同浴場は思っていたよりもキレイで心地良くて、毎日でも入りたいと思わせる温泉でした。外に出てみると、夫と息子はまだ入っているようです。外で待っている間に、またじわじわと暑さで汗が滲んできました。

昨今の温泉事情。
小学生高学年の頃、福島に住んでいる親戚が飯坂温泉に連れてきてくれた事がありました。その時の温泉は千人風呂とか呼ばれていて、プールのような大きな湯舟で、しかも!混浴だったのです。薄暗い室内と湯気でよっぽど目を凝らさなければお互いに見えないかもしれないのですが、とっても恥ずかしくて入るのが嫌だった記憶があります。当時は混浴や年齢についてもあまり気にされていなかったように思います。そもそも今のこのご時世で、共同浴場の混浴ってあるのかな?
混浴ではない温泉や共同浴場だとしても、例え小さな子供だとしても、異性がいるのであれば気になる人もいるのだろうと思います。
地方自治体にもよりますが、飯坂温泉では7歳から男の子は女湯に入れなくなります。もし私と息子と二人で来ていたら、足湯だけだったかな?と思いました。薄暗く滑りやすい共同浴場や温泉で低学年の小学生が一人で着替えて一人でつかることは、中々にハードルが高いです。息子は夫が一緒で良かったと思いましたが、親と一緒に入ることのできない家庭はどうしたら良いのだろう?入らないという選択しかないのだろうか?何か良い手立てがあるだろうか?そんなことを思いました。
昔は許されていた事が今はできなくなっている。そんな事が多い世の中ですが、より良く皆が快適に過ごせるように暮らしやすい社会になるために、何ができるのだろうか?しっかりと考えたい。息子や子供たちの未来は、私たち大人が作っていくのだから。

中々上がってこない夫と息子。
「遅かったね?どうしたの?」怪我でもしたのだろうか?と心配していました。「熱くてお湯に入れなかったよ!ママは入れたの?」洗面器にお湯を溜め、お湯を冷まし冷まし体にかけていたらしい。夫と息子は、熱すぎて足が火傷しそうなほどに真っ赤になって、つかる所ではなかったらしい。
「え???入れたよ。気持ちよかったよ?」と私。女湯と男湯で温度に違いはあったのだろうか?看板を見たところ、違いはない。きっと私の冷え性のせいだったのだろう、氷のように冷たくなる私の体には、熱いお湯が心地よかったのだが。
「リベンジする!もう一箇所、温泉に入ることにする!」温泉につかれなかった夫と息子は、飯坂温泉駅に近い波来湯にも入るそうだ。

男湯には湯場への戸がなかったらしい
「通行人に裸みられたかも?!恥ずかしい」と夫
確かに見えるんじゃない?とは通りがかりにちょっと思っていたけど、衝撃だ
暑い日にはアイスコーヒー
コーヒーは体を冷やすらしい、から

いくつか美味しそうなカフェがある。せっかくなのでコーヒー好きな夫とカフェへ涼みに行くことにしました。普段はコーヒーを飲まない私も、この暑さで体を冷やしたくなる。「私は氷出しアイスコーヒーにする。息子はリンゴジュースにする?」夫は何を頼んだか・・・忘れてしまった。
氷出しアイスコーヒー グアテマラ産
ハイカカオチョコレートのような濃厚なお味。酸味があるけれども夏の暑さにフルーティな風味が合っていて、とても美味しかった。
たくさんの豆の種類があって、どれも美味しそうだったし、軽食やパンケーキもとっても美味しそうだった。いつもは食べ物の写真は撮影しないのだけれども、残しておきたくなった。「すみません、写真撮影しても大丈夫ですか?」「大丈夫ですよ。たくさん撮ってくださいね」パチリと。お母さんらしき明るく楽しげで朗らかな女性と穏やかで優しそうな息子さんらしき男性の二人で営まれているようでした。女性の方は、息子にたくさん話しかけてくださって、楽しい会話ができました。こちらのお店も常連さんがいらっしゃって楽しげな会話が聞こえてきて、心地よい素敵なお店でした。
「また来てね!」女性の方と息子はハイタッチでお別れしました。
また来ます。

百日紅
この実なんの実?
飯坂温泉駅
味のある表示板
いい電 
もりりん、ただいま!
車窓から見えていた百日紅
ワサワサと咲いている
桜水駅
いい電の車両基地があります
せっかくなので降りてみましたが、特に見学などはできないようでした
道路と並走するように走る飯坂線
路面電車に乗ったことはないのだけれども路面電車ってこんな感じだろうか?と思う
住宅地のすれすれのところを走っていく、街との距離感の近い電車
やっぱり先頭車両が好きですか?好きだよね
線路を見るのが楽しいよね
福島駅
いい電、ありがとう

東北本線

福島駅は何だか不思議な駅でした。新幹線ホームと東北本線などのJRのホーム、飯坂線・阿武隈急行のホームが離れていて、それぞれ建物や改札が分かれているようで全貌が見えにくい、わかりにくい、気がした。いつも見ていた福島駅は新幹線側だったのかな。知らない場所は面白い。

福島から東北本線で仙台へと戻ります。東北本線は何度も乗車していますが、白石までは乗車する事があっても、福島ー仙台を乗ることは今回が初めてでした。よく見かける電車なので写真を撮り忘れてしまった。見慣れた風景、既視感があって戻ってきた感、安心感のある東北本線。
福島・白石、白石・仙台、が始発・終点駅になり白石駅での乗り換えが多いようです。白石は宮城県なのですが、やはり仙台よりも福島の方が近いと実感。

東北本線 約1時間20分
福島ふくしま東福島ひがしふくしま伊達だて桑折こおり藤田ふじた貝田かいた越河こすごう白石しろいし東白石ひがししろいし北白川きたしらかわ大河原おおがわら船岡ふなおか槻木つきのき岩沼いわぬま館腰たてこし名取なとり南仙台みなみせんだい太子堂たいしどう長町ながまち仙台せんだい

吾妻山 吾妻連峰でしょうか
日が落ちてきて
雲が多くなってきた
車窓にうつる車内が面白くて
流れる緑が美しくて
ちょっとジブリのような世界観
不思議な写真
電車の蛍光灯が
異世界へと誘っているようで
そんな写真を量産してしまう
番号2の扉は
異世界への入り口、かもしれない
空の青さや
雲の煌めきや
流れる景色を残したくて
「虹が出てるよ」
夫が教えてくれた

「どこどこ?本当だ!気がつかなかった。虹じゃないよ、あれは幻日だよ!息子も見える?キレイだね。見れてよかったね。教えてくれてありがとう」うっすらと小さな虹が輝いていた。
旅の帰りに幻日に出会えるなんて、今日はなんて素晴らしい日だ。

右の方に幻日の小さな虹

幻日は、すぐに消えて、見えなくなってしまった。
夫が気付いてくれて感謝、出会えたことに感謝、家族で見れたことに感謝。

蔵王連峰が見えてきた
よりによって真ん中に電柱
こんな写真、狙っても中々撮れないかも?
面白いと思って、のせる、あえて
蔵王連峰
白石から大河原あたりで雄大な姿が見られる
雲が出てきて
山が隠されてしまった
太陽からのビーム光線!のような蛍光灯の反射
車窓でなければ楽しめない面白い景色
美しい太陽の光
日が沈んでいく
素敵な旅をありがとう
今日も一日ありがとう
また明日

無事に帰宅しました。
家でゴロゴロしている数時間、旅に出ている数時間。
同じ時間のはずなのだけれども、同じ時間ではないように思う不思議。
私は本当に面倒くさがり屋で、いつも家でゴロゴロしたり、家事をサボって家の中で好きなことばかりしていたりするのですが、外へ出て有意義に過ごす充実した時間って大事なんだよな、しかしゴロゴロする無駄な時間も大事なんだよな、と思ったり。
こうして旅に出てみると、数時間あれば結構どこにでも行ける、と実感します。まだ見ぬ知らぬ地で、美味しいものに出会って、人の優しさに触れて、心が潤う心が動く体験をする。

やっぱり、旅に出ましょう。

福島には常磐線や磐越西線など、まだまだ乗りたい電車があります。
まずは、12月で運行が終了してしまうフルーティアふくしまに乗車したい!と目論んでいます。予約がとれますように。
息子がいなければ電車の旅には出会えなかった。
息子のおかげで、もはや私も乗り撮り鉄子。
誰かの好きに寄り添って、自分の好きが増えて行く。
「福島、楽しかったね。また、行きたいね。今度はあぶきゅうの新車に乗りたい」と息子。何度も一緒に福島の旅を語り合っています。息子の中でも良い思い出として残っていくことを願いながら、まだまだ電車の旅を続けていきたいと思います。

長い!今回も!長い!
長々とお付き合いいただき、ありがとうございます。
ご乗車ありがとうございました。
お気をつけてお帰りください。
またのご乗車をお待ちしております。

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ここまで、貴重なお時間を!ありがとうございます。あなたが、読んで下さる事が、奇跡のように思います。くだらない話ばかりですが、笑って楽しんでくれると嬉しいです。また、来て下さいね!