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ダイビングの心得:手は膝、口にチャック

ここ15、6年ほどダイビングをしています。結婚相手もダイバーなので彼に出会ってからの旅行はほぼダイビングの旅です。二人ともいつこの海が潜れなくなるかも、いつこの生態系が崩れるかもしれないと危機を感じながら、潜れる今、潜ろう!と長い休暇は必ずどこかに行っています。

今は安全にそして環境に配慮して潜る知識も技術もつきましたが、始めた頃は楽しいばかりで、知らず知らずのうちにルールを無視したこともありました。

海の中でやってはいけないこと、ナンバー1はパニクることと”触る”ことです。

生物でも、岩でも、ダイバーでも、近寄らない・触らない方が事故も防げるし環境にもいいからです。動かした石は誰かの隠れ家だったかもしれない、可愛い〜と近寄りすぎた魚は多大なストレスがかかっているかもしれない、フラッシュ連写での撮影は生物の視力を奪うことになるかもしれない。そして美しいものに毒があったり、小さくて可愛らしいものにトゲがあったりします。

一緒に潜る相手に近すぎるとフィンで顔を蹴られてマスクが飛んでしまったり、腕を引っ張るとパニックを起こすかもしれない。予想できない場面で心が乱れると、海の中では命取りです。ダイビングは必ず二人以上でやるものですが、距離を取らずはしゃいだりしてバタバタしていると砂を巻き上げたりサンゴを折ったりといいことはありません。

だけど初心者はつい何でも触りたがるのです。見てください、昨日のクイズの写真ですーーー潜って3日目の私(左)。

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一緒に潜った女の子と海の中ですが ”ちょっと!見て!何これ!すげーーー” と彼女を引っ張っているかの様です。

ちょいハゲさんとミルカさんが答えてくださった通り、この紫とブツブツの正体は巨大なクラゲです。調べてみたのですがエビクラゲでしょうか?よくわかりません。傘の部分も足(なのかな・・・ブツブツです)も両手を回しても届かないほど大きく、多分私がダイビングを始めてから出会った初めての巨大生物でした。

何の生き物でも大好きな私はもう興奮して、海中でもわかるほどにキャーキャーはしゃいだのだと思います。そしてインストラクターのおっさんが面白がってこちらに向かってクラゲを誘導したので、言われるまま(ジェスチャーで)に巨大クラゲを触ってしまいました、私だけ。彼女は賢かった・・・・何が起こるかわかっていたからだと思います。

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もうこの写真で見えているのですが、ブツブツの下から無数の触手が出ているのがわかります。私は初心者のバカタレだったので、そんな細かいところは見ずにちょっと先端を触ってわーー触ったーーーと喜んでいました。そして24時間後、天罰が下ります。自然に生きるものを娯楽として扱うものに下る罰です。

目に見えなくても細くて長い触手がふわふわと何メートルも海中を漂い、そのいくつかが私の首に巻きついたのだと思います。翌日には、顔の下半分から胸まで無数の水ぶくれと発疹ができ、顔はパンパンに晴れ上がりました。一応小さい漁村の町医者に診てもらいましたが、かゆみ止めのクリームをもらっただけで、”後は自然に引いていくから” と特に同情も治療もされず痒いやら痛いやら恥ずかしいやらで、どうしていいかわからず、その後1週間は自室に閉じこもって生活しました。完全に痒みと水ぶくれが収まったのは一月後くらいです。その間もうこのままなのではないかとビクビクしていました。

触ったのは一瞬でしたが、クラゲの触手は透明で長く、首に巻きついた跡が真っ赤に腫れ上がり、まるで誰かに縄で首を絞められた様でした。解せないのはこのクラゲを手で持って私の方へ追いやったダイブマスターは無傷だったことです。ちなみに後ろで見ていた彼女も無傷でした。

これの一件以来、海の中で故意に何かを触ることはしていません。

自然の脅威を身を以て体験してからは、私はあくまでもゲストなのだ、という心構えでバタバタ・キャーキャーせず、手は膝(実際は腕組み)口にチャック(実際はレギュレーター)でお利口にしています。

シマフィー

ということで、ちょいハゲさんとミルカさん、とっても正解に近いハズレでした〜〜笑。クリスマスに何かいいことあると思います!クラゲの神様が来るかもです!クイズに乗ってくれてありがとう❤️


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