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教師シマリス

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学校の授業、教育系のアレコレ、楽しく学ぶ工夫、そんなことを書いた記事をまとめました。 現在アメリカの私立高校で歴史と科学などを教えていますが、それ以前は日米を含め6カ国で英語・コ…
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#教育

君が留学決める前に言っておきたい:関白宣言

君が留学 決める前に 言っておきたいことがある かなりきびしい話もするが シマリスの本音を聴いておけ 英語ばかりを 学んではいけない 英語だけ出来ても 何にもならない 読書の時間作れ 歴史・数学・美術史 どれも全部やれ 日本語でいいから 忘れてくれるな 国語の読解も出来ない生徒は 英語で読解、分析、論文、何にも出来ないってことを 発音よくても、教養不足で 落第ってこともあるから 英語以外も今のうちから 黙ってたくさん勉強してこい 今時の若い人、さだまさしさんの ”関白宣言”

やっぱり教室内だけでの学習では足りないんだ

昨日の記事でお伝えした通り、今日は遠足(field trip)だった。(*アメリカ東の私立校で教師をしています) 外に出られるだけで嬉しいのだが、今日は最高の天気で水族館はあまり混み合っておらず4−5人の班に分かれてゆっくりと見て回ることが出来た。 学校の外で行動する生徒たちを見るのは本当に久しぶりで、いろんなものに興味を示し、質問をして写真を撮って、また違うものを観察してキャアキャアとはしゃぐ様子を眺めていると、やっぱり教室の外での学びは必要なのだなぁと実感した。 み

宿題手伝い隊:勉強以上に大切な学び

3時に授業が終わり、その後1時間から1時間半ほどのクラブ活動やスポーツの時間があるが、そのどちらもやっていない生徒は家に帰るか残って勉強するか、を選択する(*アメリカの私立校で教師をしています) 私はクラブの顧問はしていないので教室に残り、補習や質問に来る生徒たちを待っていることが多い。 誰も来ない日もたまにあるが、そんな日はザックザックと論文の添削をしている。 今学期は最終学期ということもあり、生徒たちはなんとか成績を上げようと必死だ。遅れてしまった課題やプロジェクト、

昼休みくらい自由にさせてやれ

私が勤める学校は割と自由な思考や先進的な考えをした教師が多いと思うが、なんだか古臭い考えの大人も未だに多数存在する。(*アメリカの私立校で教師をしています) 10年ほど前から留学生が増えてきて今では15、6カ国からの生徒たちが勉強しているが、ランチの時間は同じ言語を話す生徒たちだけで固まりがちになっている。日本人の子は私とランチを食べたがるし、中国語やスペイン語や、母語の話者が多い国からの生徒たちは大きな集団になってテーブルを占領したりする。 その様子を”排他的だ、アメリ

質問から生まれる何か

授業が始まる前、休み時間、ランチ、放課後、ちょっと時間があると生徒たちからいろんな質問が飛んでくる(*アメリカの私立高校で教師をしています)。授業に関しての質問ではなく、割とどうでもいいことを聞かれることが多い。私に興味を持ってというよりかは自分たちの会話の延長で 先生にも聞いてみよ と一応聞いてみた、という感じだ。 好きな色はなに? 好きな食べ物はなに? 好きな俳優は誰? といった "What's your favorite"系の質問から なぜ歴史の先生になったの? な

全部先生のせい

時々ぶったまげることを父兄の方に言われる。 学校の先生は教えるだけではない、という記事を書いたけれど(↓ここでーす) それ以上の何かを ”当たり前” に要求されていることが色んな会話の中でわかる。 ありがたいことに私がこれまで担当してきた生徒の親御さんは、教師を全力でサポートしてくれ、あれやれ、これしろ、あそこが悪い などと指図をすることはほとんどなく、いわゆる ”ヘリコプターペアレンツ”(日本のモンペのようなもの)に遭遇することもない。それでも10年に一度くらいはちょ

教師は本当に教えるだけの仕事なのか

職業を聞かれて、“教師です” と答えると大抵の人は “大変ですね〜” と返してくれます(*アメリカで高校教師をしています)。 本当に大変なので “はい、めっちゃ大変です” と答えるのですが、会話の端々から あんまり大変と思ってないな と察することもあります。皆さん休みが長くて楽な仕事と思っているのかもしれません。 一度だけですが、“あら、簡単でいいわね〜 教えて、生徒と遊んで、3時には終わって!” と嫌味ではなく、真剣に言われたことがあり、腹が立ちましたが世間の人には(もし

Integrated Learningのススメ(again)

まだnoteを始めたばかりの昨年書いた "Integrated Learning" について、再度投稿しますよ〜!夏休みもそろそろ終わり、勉学の秋!ということで新しい学びにチャレンジする方もいるかもしれませんね。一つを学びたい、と思った時に是非その周りの何かをまとめて学習できないか工夫してみて下さい。 日本語では統合学習と訳されていましたが、ググって出てきた記事は外国語教育(内容を学ぶ過程で英語も学ぶなど)の方法としてのものが多かったように思います。Integration

かわいい君たちへ:形見分け

4−5年ほど前からなんとなくボチボチとジュエリーボックスの中身を断捨離している。若い頃に買った指輪やネックレスなど、思い入れや思い出はあるけれど、もうつけることはないもの.....受け継いでもらえる実子は私にはいないので、どうしようかと思っていた。あまり価値のないおもちゃの様なジュエリーは寄付したりしているし、高価なものは持っておきたい。悩ましいのはその中間のもの。 捨てたり、見ず知らずの人にあげたりするのはもったいないし、それに付属している思い出もある。考えあぐねていた時

シマ先生〜今年は歴史教えなくていいです〜

↑ と、校長先生から連絡が入った。今日の昼。 我が校は小さな私立の進学校だがとてつもなく自由だ(*アメリカの東です)。教師は一教科を専門で担当する人もいれば、複数の分野を教える人もいる。そして私の様に毎年ルーレットの様に何かが振り当てられる教師もいる。選択科目なら自分の得意分野や興味のあるものを提案し採用されれば、専門以外のもの教えることが出来るし、その内容もわりとぶっ飛んでいる。 今年の選択科目一覧を見てみるとスタンダードな 哲学入門 やら 中世の美術史 やら 海洋生物

私の生徒が修学旅行で学んだこと:日本は優しい国

生徒たちを連れて日本へ2度修学旅行へ行った。2020年には3度目も計画していたけれど、パンデミックでやむなく国内旅行に変更せねばならなかった(*アメリカの私立校で教師をしています)。 生徒たちは16−17歳の日本へ初めて行く子供たちばかりで、何ヶ月も前からどこへ行くのか、何を見るのか、どんなものを食べるのかを心から楽しみにしていた。 自由時間もあるので基本的なあいさつや会話の練習、地図の見方、迷子になった時にどんなフレーズで誰に話しかけるか、などの準備をして行った。みんな

好かれる教師になれ: No need to be friends but be friendly

“俺は生徒たちに好かれなくていい、嫌われても構わない” 何年か前、同僚の歴史教師がこんなことをランチの席で話した(*アメリカの私立高校で教師をしています)。 彼は12年生の現代史を担当していて、何度か授業見学に行ったが知識も豊富で話しも面白い先生だった。でも口調や態度から冷たい印象があり、きどってる様な、高慢な物言いをする人だな、と心配だった。 生徒たちが彼の授業に不満があることを私は生徒から聞いて知っていた。 話を聞いていると、体も大きく口も達者な大人の様な生徒たちに舐

成績は与えられるものではない:You Earned It!

毎年この時期になると生徒から、父兄から、怪しいメールが届く。 出していない宿題を今更提出し“出さなかった宿題がたくさんあるけど一生懸命努力したから”どうか学年末の成績を変えてくれ、というものだ。(*アメリカの私立高校で教師をしています) 我が校では年間の平均成績が75点以下は落第で、2教科以上落第すると留年になる。 なのでギリギリ足りない、もしくはだいぶ足りない、生徒が最後の1週間そこらでこれまで出していなかった10週間分の宿題を今から出すから加算しろ、とか受けなかった8週

差別について語るのは難しい

学校からメールで、アメリカの都市部ではアジア人が人種差別の対象になっており嫌がらせを受けたり暴力を振るわれたりしているようなので気をつけてください、とお知らせが来ました。 朝のクラス会で差別について話し合ってください、との要望です。 アメリカでは人種差別が大きな社会問題 なんていう新聞の見出しを見て、ちょっと思うのは、それはアメリカに限ったことではなく、差別は人種やら性別やら出身地やらで日常的に行われており、自分たちは受ける側であると同時にやる側であるということです。