見出し画像

私の生徒が修学旅行で学んだこと:日本は優しい国

生徒たちを連れて日本へ2度修学旅行へ行った。2020年には3度目も計画していたけれど、パンデミックでやむなく国内旅行に変更せねばならなかった(*アメリカの私立校で教師をしています)。

生徒たちは16−17歳の日本へ初めて行く子供たちばかりで、何ヶ月も前からどこへ行くのか、何を見るのか、どんなものを食べるのかを心から楽しみにしていた。

自由時間もあるので基本的なあいさつや会話の練習、地図の見方、迷子になった時にどんなフレーズで誰に話しかけるか、などの準備をして行った。みんな自分でフレーズノートを作り、それをポケットに入れて旅に出た。携帯電話も使えるし翻訳アプリもあるけれども、それに頼らずともちょっとの準備で旅が格段に楽しくなることを教えたかった。

生徒たちには日本に着いてすぐから私の通訳・ガイドなしで、3−4人で班になり、自分たちだけで街を歩き、現地の人々とふれあい、商店街で買い物をする、という”スカベンジャーハント(scavenger hunt)”というゲームをさせた。バスの路線地図を読んだり、周りを観察する練習をさせ、自立心を養うと共に彼ら自身の視点で ”真の日本”  を体験してもらうのが狙いだった。

そのゲームのため私は何ヶ月も前から訪ねる街の地図と格闘し、どんなルートでバスに乗ったらいいか、何を売る店があるのか、どんな名物が食べられるのかなどを勉強し、タスクを組み立てていく。

制服を着た女子高生と一緒に写真を撮る。
コンビニで違う種類のおにぎりを二つ買う。
商店街で日本にしかないものを見つけて写真を撮る。
綺麗なマンホールを見つける。
道ゆくおばさんたちに“お天気がいいですね!”と手を振り、振り返してもらう様子をビデオに撮る。
犬を散歩させている人に犬の名前を聞き、犬と写真を撮らせてもらう。
お年寄りにこの街で一番美味しいものを聞く。
靴屋さんで試着させてもらう。もし好きな靴があれば買う。
みんなで違う種類のアイスクリームを買って食べる。
自動販売機で温かい飲み物を買う。

私は一番最初のスカベンジャーハントの時こそ、心配で後ろをコソコソとついていったが、生徒たちは遠目からでも楽しそうに身振り手振りでコミュニケーションをとろうと奮闘し、街の人たちは嫌な顔せず ”あら〜外人さんが〜” と笑顔で写真に収まってくれた。

画像3

ゴールの駅やホテルのロビーに辿り着くと生徒たちは競うようにどんな楽しい体験をしたかを話してくれる。言葉もちゃんと通じない土地でも自分たちだけであらゆる”障害”を乗り越えて、私の元まで帰ってきたのが自分で誇らしく、そしてまたやりたい!違う街でもやりたい!とお願いしてくる。

こんなことが出来るのは日本だけだろう。私は彼らの姿が見えない間、誘拐されないだろうか、怪我しないだろうか、ひったくりにあわないだろうか、ぼったくられないだろうか、嫌な思いをしないだろうか、差別にあわないだろうか、そんな心配はしなかった。

このゲームを通じて彼らが学んだことはたくさんある。

コミュニケーションは言葉だけはない
周りをよく見る、細かいところも観察する
街には規則性がある
話しかけやすい人とそうでない人がいる
似たような交通標識・ルールがある
正直で親切な人がいる
チームメイトを信用する
失敗しても次がある

ちょっと大人になって帰ってきた彼らが口を揃えて言うのは

”日本は優しい国だね”

コンビニの整頓され見やすいディスプレイ、道の名前にあるローマ字、苦手であろう英語を懸命に話してくれる人、交通ルールを守る車と歩行者、大きな声であいさつをする子供・・・そしてこんなもの

画像1

見て、シマ!日本は小さいレストランにもこんなフェイクフードがあるよ!僕たちこのレストランでスパゲッティを食べたんだよ。ウエイトレスは英語が話せなかったから、彼女に これです!って指差して注文したんだよ。そしたらね、これと全く同じものが来たんだ!量も色も形もおんなじだよ!信じられる?

画像2

”日本は優しい国だねぇ。日本語が喋れなくても読めなくてもお腹は空かないよ!”

旅の思い出は優しい人と美味しいご飯!そしてみんなの笑顔!

シマフィー 

この記事が参加している募集

#わたしの旅行記

598件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?