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教師シマリス

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学校の授業、教育系のアレコレ、楽しく学ぶ工夫、そんなことを書いた記事をまとめました。 現在アメリカの私立高校で歴史と科学などを教えていますが、それ以前は日米を含め6カ国で英語・コ…
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#学校

君が留学決める前に言っておきたい:関白宣言

君が留学 決める前に 言っておきたいことがある かなりきびしい話もするが シマリスの本音を聴いておけ 英語ばかりを 学んではいけない 英語だけ出来ても 何にもならない 読書の時間作れ 歴史・数学・美術史 どれも全部やれ 日本語でいいから 忘れてくれるな 国語の読解も出来ない生徒は 英語で読解、分析、論文、何にも出来ないってことを 発音よくても、教養不足で 落第ってこともあるから 英語以外も今のうちから 黙ってたくさん勉強してこい 今時の若い人、さだまさしさんの ”関白宣言”

教師が大切にしている3密、その1 (again)

*Back to schoolの時期に読んでほしい、昨年11月に書いた記事をアップデートして再掲載します。 教師になって早、23年!この間いろんな場所で様々な生徒を相手に先生という立場で学んできました。 現在はアメリカの高校で教えていますが、それ以前は中国、ドイツ、スペイン、フィリピン、日本にアメリカ、など自分を常に新しい場所におき新しい挑戦と好奇心を追いかける生活をしていました。教える教科も様々で、生徒の年齢・国籍・言語・文化も色々ですので ”教師”としての役割や義務、

好かれる教師になれ: No need to be friends but be friendly

“俺は生徒たちに好かれなくていい、嫌われても構わない” 何年か前、同僚の歴史教師がこんなことをランチの席で話した(*アメリカの私立高校で教師をしています)。 彼は12年生の現代史を担当していて、何度か授業見学に行ったが知識も豊富で話しも面白い先生だった。でも口調や態度から冷たい印象があり、きどってる様な、高慢な物言いをする人だな、と心配だった。 生徒たちが彼の授業に不満があることを私は生徒から聞いて知っていた。 話を聞いていると、体も大きく口も達者な大人の様な生徒たちに舐

成績は与えられるものではない:You Earned It!

毎年この時期になると生徒から、父兄から、怪しいメールが届く。 出していない宿題を今更提出し“出さなかった宿題がたくさんあるけど一生懸命努力したから”どうか学年末の成績を変えてくれ、というものだ。(*アメリカの私立高校で教師をしています) 我が校では年間の平均成績が75点以下は落第で、2教科以上落第すると留年になる。 なのでギリギリ足りない、もしくはだいぶ足りない、生徒が最後の1週間そこらでこれまで出していなかった10週間分の宿題を今から出すから加算しろ、とか受けなかった8週

留守番のトリとクマ

この歳になっても可愛い男の子からぬいぐるみを貰うことがあります。 まぁ、可愛い男の子は9年生やら10年生やらの生徒なんですがね。(*アメリカの私立高校で歴史を教えています) パンデミック前、まだ学校が対面授業だったときに男の子が2人で私の教室にプレゼントを抱えてやってきました。 メキシコから可愛くてカラフルな手作りのぬいぐるみを持ってきたアンヘロ。 イタリアからグラディエイターのコスプレをしたクマを持ってきたジャンカルロ。 10年生だった彼らはお互いをけん制しつつ、俺のぬい

教師の視点:“もしも“ の力

授業が予定よりもちょっと早く終わった時は生徒たちとよく“もしも”の話をします。授業中ならお題を出して即興のスピーチをさせたり、自由に作文を書いてもらったり、小さなグループでディスカッションしたり、と楽しく簡単なタスクです。しかしながら短い時間で想像を働かせて考え、論理的にまとめ、さらに理由や背景の描写を表現する、という多スキルを練習することが出来るので、私は大好きなアクティビティのひとつです。教科を問わずお題を無限に作れるのもいいところです。 お題は雑談レベルのものからちょ

OMG, I KNOW IT IS RUM!

ある日、ランチを終えて郵便物がないか職員用のメールルームをのぞいた時に、入口からでも自分の名前のボックスに何かが突っ込んであるのが見えた。 ビンのお尻のようなものが見え、その上には手紙と小切手の封書が乗っているのが見える。 何だろうかと思い、近づいて手を伸ばそうとした時に反対側のドアから入ってきた人がいた。ペギーさんだった。理事長先生の秘書を長年している人で優しいおばさんだ。 ”あら?シマのボックスに何か入ってるわね” 彼女も私の名前の下のビンに気がつく。 そして自分

辞める人

今日の職員会議で数学の先生が1月いっぱいで辞めると聞いた。 他にもっといい条件の仕事が見つかったらしくちょっと遠くに引っ越すらしい。 仲が良かった先生ではないし、接点がたくさんあったわけではないが、見慣れた顔がまた一つ日常の中から消えるのはやっぱり寂しい。 生徒にも慕われ、面白い授業をする先生だった。料理も上手でケーキやクッキーを焼いて教室に持ってきていたのをおすそ分けしてもらったこともある。 ここで必要とされ、慕われていたのに、辞める。辞めたかったのだろうか? 再来週か

弱小運動部が弱くも小さくもない世界

我が校の運動部は弱小チームばかりです。 アメリカでは季節ごとにチームスポーツが変わり、秋はラクロス、冬はバスケット、春はクロスカントリーなど一人の生徒が3学期違うチームで頑張ることも可能です。 運動が好きで得意な生徒はあらゆるクラブで活躍しますが、そんな万能選手がいたとしても1学期という短い期間ではチームの結束やあうんの呼吸のような連帯感は生まれにくく、特に我が校では生徒の入れ替わりも多いため、チームワークの基盤を作るのが難しいようです。 去年まで(今年はオンライン授業です

自分で作る:自分をつくる

うちの学校は秋、冬、春の三学期制ですが冬と春の間に3週間の特別集中授業があります。 教師がペアやグループになって普段教えないことを3週間やり、生徒も学年関係なく興味のあるクラスに登録します。 基本的に私が企画する授業は生徒達も自分も興味があって、一緒に楽しく学べるものですが、その中でも特によかったのは数年前の 自分でモノを作る という企画でした。 私とあと三人の先生で受け持ったのですが、学びのフォーカスは 今までは買ってたものを作ってみる です。 自分たちがお金があれば

楽しく学ぶ:私とあなたに大切な3密 その3

楽しく学ぶの大切な3密、その1は人間としての距離の密でした(クリックで飛びます) その2は コミュニケーションとフィードバックの密 でした(クリックで飛びます) 3つ目の密は 蜜 です。 楽しく学ぶのに大切なのは途中と最後の段階で必ず甘い蜜を見つけることです。 蜜は、そこまで辿り着いてよかった〜、もしくはここからまた進めるよ〜と元気がでるものがいいです! 学ぶことに終わりはありませんが、もし何か大きな目標に向かって学んでいるのなら、もしくはそれが長い道のりだとわかっ

楽しく学ぶ:あなたと私に大切な3密 その2

その1は人間としての距離の密でした(クリックでその1に飛びます)。 その2はコミュニケーションの密! 当たり前のようですが何かと理由をつけてやらないことも多いですよね。 家族だから、一緒にいるから、長年の経験で、言わなくてもわかるから、別に大したことじゃないから。 私が学校でまず率先しているのは課題やテスト、プロジェクトなどの途中経過や採点後に細かなフィードバックをすることです。プリントのすき間一杯(笑) *テストで80点を取ってもどうして80点なのかわからない。 *課