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教師が大切にしている3密、その1 (again)

*Back to schoolの時期に読んでほしい、昨年11月に書いた記事をアップデートして再掲載します。

教師になって早、23年!この間いろんな場所で様々な生徒を相手に先生という立場で学んできました。

現在はアメリカの高校で教えていますが、それ以前は中国、ドイツ、スペイン、フィリピン、日本にアメリカ、など自分を常に新しい場所におき新しい挑戦と好奇心を追いかける生活をしていました。教える教科も様々で、生徒の年齢・国籍・言語・文化も色々ですので ”教師”としての役割や義務、教え方や受け止められ方もそれぞれです。

そんな中でも初年から私のモットーは 楽しく学ぶ でした。

だって、楽しくなかったら学校に来たくないし、続けられないし、私の顔も見たくないでしょう? 

そんな私がこれまでに経験した 教師の学び を3密にまとめてみました。

密1. 距離はギリギリまで縮める
学校によりますが、アメリカでは学期末・学年末に生徒がクラスを評価する Course Evalutation というものがあるます。クラスの教え方や内容などを評価するのですが、その時期にはちょっとアマノジャクな先生に出会います。

俺は厳しくていいんだ、生徒に嫌われても構わん、人気なくてもいい、鬼教師で結構、嫌な奴は俺のクラスをとるな

生徒のことを思ってないとは言いませんが、私から見ると 損してるな〜 そして 生徒に失礼だな〜 と感じます。

厳しいと一方的は違う
嫌われると自分が関わる全部が拒否されちゃう
コースの人気は表現力とコミュニケーション力、もっと言えば努力の表れ
誰しも鬼は怖いのでなるだけ避けたい

生徒の立場に立ってみると教師がどう受け止められているかというのは、生徒の学ぶ力・考える力・興味・モチベーション、どれにも直結しているとわかります。

単純なことですが、この先生が好き!という感情は生徒自身の学習意欲も興味も持続力も努力の度合いも高めてくれる、もうポジティブな影響しかない素晴らしい力になります。

私は生徒に好かれたいしずっと好きでいて欲しい!

好きになってもらうにはコミュニケーションを上手に取らないといけない。
そして魅力を見出してもらわないといけない。
裏切るような態度を見せてはいけない。
相手に興味を持たないとこっちも興味を持たれない。

生徒が幾つでも、同じだと思います。

私が教師になったきっかけはアマノジャクの先生が多かったからです。学校は楽しかったけど、授業は興味なかった、卒業して先生に会いに行こうなんて思ったこともなかった、その時に習ったことなんてほとんど覚えてないーーーそんな高校生だった私が教師になったのは、

楽しく学べるか・自信をつけられるか・チャレンジする意欲が湧くか・生涯学び続ける欲求があるか 

そんな人生に大切な基礎をコミュニケーションを通して教師から受け取れるからです。私は生徒としてはラッキーではなかったけれども、先生としてはラッキーでありたいのです。よって

生徒との距離はギリギリまで近くてもいい、と思ってます。

授業以外での触れ合い、例えば休み時間のおしゃべり、ランチで一緒に座ったり、放課後校庭を散歩したり、音楽を聴いたり、スポーツの試合や学校コンサート、そんな場面で生徒たちの意外な一面が見えるとまたそこから授業に繋がる何かのヒントになります。

どんな風に感情を表現するのか
何に対して興味を持っているのか、苦手意識があるのか
将来の夢は何か、目標があるのか
悩みはあるのか、サポートしてくれる誰かがいるのか
友人関係はどうか、他の先生との関係はどうか

教室内、45分のレッスンに限った関係でない代わりに“私の生徒”としての一つの側面だけでなく、“一人の人間”が見えてきます。

それは向こうも同じで、私の先生という一面だけでなく、色んな表情を見てくれるし授業内の課題にも“思惑”を読み取ってくれます。

ーあぁ、この記事を読むのはこの前大統領選挙の話をしたからかなぁ
ー今日のグループ分けはシャイな子と私を一緒にしてる、私が引っ張らないと
ーまた音読だ!この前上手にできたって言ってくれたから今回もこの課題かな

そして私を好きで信頼してくれるからこそ、私が出す課題も授業も”自分にとってプラスになるはず!”と頑張ってくれます。がっかりさせたくない、とちょっとやる気を出すかもしれないし、わからなければ気軽に質問に来てくれます。

教師は生徒の友達になるべきではないけれども、それとはまた違う親しい関係を築くのはお互いにとってプラスしか生まれません。

ギリギリの近い距離というのは 

We are not friends but we can be friendly to each other! (友達ではないけど、お互いに友好的でナイスな関係)

たまには一緒にランチを食べる、休み時間に一緒にぶらぶらする、放課後のサッカー場を見に行く、手紙を書く、写真を撮る、お互いナイスな事をする

一つ目の密は、そういう人間同士の距離の密です。大切なのです。


シマフィー

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