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教師シマリス

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学校の授業、教育系のアレコレ、楽しく学ぶ工夫、そんなことを書いた記事をまとめました。 現在アメリカの私立高校で歴史と科学などを教えていますが、それ以前は日米を含め6カ国で英語・コ…
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#高校教師

君が留学決める前に言っておきたい:関白宣言

君が留学 決める前に 言っておきたいことがある かなりきびしい話もするが シマリスの本音を聴いておけ 英語ばかりを 学んではいけない 英語だけ出来ても 何にもならない 読書の時間作れ 歴史・数学・美術史 どれも全部やれ 日本語でいいから 忘れてくれるな 国語の読解も出来ない生徒は 英語で読解、分析、論文、何にも出来ないってことを 発音よくても、教養不足で 落第ってこともあるから 英語以外も今のうちから 黙ってたくさん勉強してこい 今時の若い人、さだまさしさんの ”関白宣言”

Because of You

4月の末頃。私はランチ時間に学校のカフェでメイン料理のビュッフェ列に並んでいた。(*アメリカ東の私立校で教師をしています) 今日のメインはバーガーとサンドイッチ。色んな宗教と嗜好に考慮してベジバーガー、チキンバーガー、ビーフバーガー、フィッシュバーガーが並んでいる。 サラダが盛られた皿を片手に順番を待っていると大きな声が聞こえた。 ”なんだよ、最後のチキンを取ったのかよ。俺はチキンが食べたかったのに!” 二人前に並んでいた12年生のV君だ。 彼の前に並び、チキンバーガーが皿

1番の罪は何だろう

私が幼い頃、小学校の時間割には必ず道徳があった。 今はどうなのだろう。普通の公立学校でモラルや人間性を教えたり語ったりする場はあるのだろうか。 私が教える私立校では低学年も高学年も道徳の授業は組み込まれていない。(アメリカ東で歴史を教えています) その代わり、かどうかはわからないが、色んな授業のなかで時には意図して時には偶然に人間の在り方や欲望や煩悩や親切心などについて話し合う機会がある。 先日、放課後9年生の留学生たちが私の教室で行われている補習に、一緒に文学の課題を読

選ばれなかった、ごめんね

今週はハロウィーンで沸き立つ我が校だがもう一つ大きなニュースにみんなそわそわしている(*アメリカの私立校で教師をしています)。 毎年春先に特別授業が3週間ほどあり、その選択科目の発表がこの時期に行われるのだ。 私立校だけあって特別授業の内容も豪華である。 キャンパスに残る生徒たちはプロを招いた映画作りのコースやこれまたプロによるテニスやバスケットのクラス、ミュージカルやエンジニアリングのコースも他所からプロを呼び集中講座が行われる。 そして同時にキャンパスの外で行われるコー

SHE IS MY NIKE

私はアメリカの私立校で教師をしている。 日本で教員をやったことはないのであまりはっきりと断言は出来ないが、時々 ”日本ではやらないだろうな” と思われる行動を取ることになることがある。 まぁ正しく言えばアメリカ国内でも ”やらないだろうな” と思われることが多い。 その筆頭が生徒と手を繋ぐ、ということで、以前もこんなことがあった。 昨日、我が校の弱小サッカー部の最後の試合を見に行った。 チームの半分は国外からの留学生で、9月に来たばかりの子もいるし、8年生で入学して来年卒

楽しい楽しいで毎日が終わる

そんな自分はなんと幸せ者だろうか、と毎日ありがたく思っている。 パンデミックはまだ終了とは言えないが(実際居住地の郡は陽性者数も上がっている)教室内でのマスクは既に必須ではなく、学校行事もいつも通りに行われつつある(*アメリカ東の私立高で教師をしています)。 留学生の数も昨年と比べると多くなり、新入生歓迎オリエンテーションには父兄付き添いの留学生も多く、各国とアメリカの行き来が通常に戻りつつあるのだなぁと実感した。 今年はチームに大学院出立てのホヤホヤ新任の先生も加わり、

やらず嫌い:高校教師

高校生、嫌だーーーーー教えたくないーーーーー それが私が今の仕事の面接に行った時の心の声だった。イヤイヤ、シブシブ、グチグチと向かった面接だった。 それまで世界のあっちやこっちやで教師をしてきたけれど、基本私が教えてきたのはある程度の”大人” だった。大学で講師をしていたときも、企業で教えていた時も、語学学校で働いた時も、マイナー(未成年)の生徒はほとんどいなかった。(*現在はアメリカ在住です) 私は高校生に対して悪いイメージを持っていた。 ティーンというのは生意気で

私は宿題が嫌いな教師です

生徒たちは ”今日は宿題ないよ!” と聞くとイェーーーーーーイと歓声を上げる。 私も イェーーーーーーイ と歓声を上げている。 宿題を極力出したくない先生なのだ、私は。(*アメリカの私立高校で歴史を教えています) 出来ることなら 宿題ゼロ宣言 を出したいほどに宿題が嫌いだ。 理由は様々なのだが、大きな理由は生徒たちの時間がなくなるから。学生は勉強だけしていればいい、なんて時代はもうとっくの昔に終わり、しかも私の生徒は世界各国から集まっていて勉強以外に熱心な子供も多い。

”Thank you! Have a nice day!”

"Thank you! Have a nice day!" 授業終わりのベルが鳴ると、生徒たちはそう手を振って教室を出て行く。一人残らず、"Thank you!" と言いながら出て行く。(アメリカの私立校で教師をしています) 私も一人一人を手を振りながら "See you later!"と見送る。 8時の授業も、9時の授業も、10時も、11時も、1時も、2時も、同じように教室から出て行く生徒たちは "Thank you! Have a nice day!" と言いながら

破る校則、生きる校則

私が高校生だった頃、校則は恐ろしいものであり、バカバカしく意味のないものだった。まだ経験値の低い15歳の私には ”なんでよ、バカじゃねーの?” と思えた校則が生徒たちの話題に上る時は大抵が文句だった。 髪の毛は肩にかかってはいけない。 靴下は白でなくてはいけない。 廊下を走ってはいけない。 リップクリームは色がついていないものでなければいけない。 理由があってこんな校則があったのだろうから、きちんと説明して生徒たちに納得してもらえばよかったのに、と今でも思う。”して

教師は本当に教えるだけの仕事なのか

職業を聞かれて、“教師です” と答えると大抵の人は “大変ですね〜” と返してくれます(*アメリカで高校教師をしています)。 本当に大変なので “はい、めっちゃ大変です” と答えるのですが、会話の端々から あんまり大変と思ってないな と察することもあります。皆さん休みが長くて楽な仕事と思っているのかもしれません。 一度だけですが、“あら、簡単でいいわね〜 教えて、生徒と遊んで、3時には終わって!” と嫌味ではなく、真剣に言われたことがあり、腹が立ちましたが世間の人には(もし

シマ先生〜今年は歴史教えなくていいです〜

↑ と、校長先生から連絡が入った。今日の昼。 我が校は小さな私立の進学校だがとてつもなく自由だ(*アメリカの東です)。教師は一教科を専門で担当する人もいれば、複数の分野を教える人もいる。そして私の様に毎年ルーレットの様に何かが振り当てられる教師もいる。選択科目なら自分の得意分野や興味のあるものを提案し採用されれば、専門以外のもの教えることが出来るし、その内容もわりとぶっ飛んでいる。 今年の選択科目一覧を見てみるとスタンダードな 哲学入門 やら 中世の美術史 やら 海洋生物

好かれる教師になれ: No need to be friends but be friendly

“俺は生徒たちに好かれなくていい、嫌われても構わない” 何年か前、同僚の歴史教師がこんなことをランチの席で話した(*アメリカの私立高校で教師をしています)。 彼は12年生の現代史を担当していて、何度か授業見学に行ったが知識も豊富で話しも面白い先生だった。でも口調や態度から冷たい印象があり、きどってる様な、高慢な物言いをする人だな、と心配だった。 生徒たちが彼の授業に不満があることを私は生徒から聞いて知っていた。 話を聞いていると、体も大きく口も達者な大人の様な生徒たちに舐

嘘が暴かれる面接

履歴書に嘘を書くバカがいる。 我が校の教師が現職を去る時は3−4ヶ月前までには学校に離職を伝え、それと同時に学校が周辺の大学院や教師就職斡旋会社などにそのポジションの募集をかける(*アメリカの私立高校で教師をしています)。都会から離れた小さな私立校の我が校にもたくさんの応募がある。それほど教師は余っているか、違う学校へ移りたい教師が多いのか。 うちの場合はポジションごとに採用コミティーを作り、それぞれが履歴書を読んで振り分け、全員でスカイプ一次面接をし、それに合格したら学